社会的課題の認識は本業にも役に立つ

そして、社外で「二枚目の名刺」を持って活動することは、会社の仕事にもプラスになるという。

「ある百貨店の社員が、LGBTを支援するNPOの活動に参加したことがありました。その方がNPOのスタッフから話を聞いていて知ったのは、夏に浴衣を着たくても、男性柄の小さなサイズや、女性柄の大きなサイズがなくて困っているということでした。

そこで、自分の会社の商品企画部に掛け合って、サイズにバリエーションのある浴衣の商品化を実現しました。

社会的課題とは、言い換えれば、そこに人々の満たされていないニーズが存在しているということです。そのニーズを満たせる商品やサービスを提供できれば、ビジネスとしても成功する可能性があります。社会や人々のニーズを知り、本業のビジネスに活かしていくうえでも、『二枚目の名刺』の活動は有効なのです。

社会を創る活動は、NPOに関わることだけが選択肢ではありません。例えば私は、地元の町会に自ら手を挙げて参加し、地域のお祭りを活性化する活動にも取り組んでいます。町会というと保守的なイメージがあるでしょうが、今は高齢化が進んでいて、若い人の力を求めています。

自分が活躍できる場は、意外と多くあるものです。まずはフットワークを軽くして、第一歩を踏み出してください」

廣 優樹(ひろ・ゆうき)
NPO法人二枚目の名刺代表
1979年生まれ。慶應義塾大学卒業。オックスフォード大学サイード・ビジネス・スクールでMBAを取得。2002年、日本銀行に入行。在職中の05~07年、経済産業省に出向。09年、二枚目の名刺を立ち上げる(11年にNPO法人化)。14年より商社に勤務。《取材・構成:長谷川敦/写真撮影:長谷川博一》(『THE21オンライン』2019年4月号より)

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