キャッシュレス決済は無人決済店舗へ向かう?

スマホ決済は、今は注目されていますが、いずれ状況が変わるかもしれません。その未来を見据えているのが、アマゾンが運営する無人決済店舗「Amazon Go」です。

利用者は、スマホでAmazon Goアプリを起動させ、表示されたQRコードをゲートにかざして入店します。そのあとは、欲しい商品を手に取って、そのままゲートを通って退店するだけ。決済は自動的に行なわれます。

アマゾンもAmazon PayというQRコード決済サービスを提供していますが、本命はAmazon Goなのではないでしょうか。

セキュリティを事業者任せにしてはいけない

今年10月に予定されている消費税引き上げのあと9カ月間は、中小小売店などでキャッシュレス決済をすると、代金の5%がポイントとして還元されるようになります。政府がキャッシュレス決済を後押しすることを、国民の目にはっきりと見える形で示した、初めての施策です。

これを機にキッシュレス決済をもっと利用しようと思うけれども、セキュリティが気になる、という人もいるでしょう。セキュリティに不安を感じる人は、日本人には特に多いようです。

そこで、最後に、セキュリティの考え方についてもお話ししましょう。

確かに、セキュリティの問題はあります。しかし、例えばクレジットカードなら、不正使用を検知したり、被害を補償したりする仕組みが作られています。QRコード決済でも、クレジットカード支払いにすることができるものがありますし、経産省もセキュリティ対策に動いています。

また、現金も、盗まれたり、落としたりすることもあるわけですから、セキュリティが万全だとは言えません。

結局、キャッシュレス決済も現金と同じで、不正利用されないよう、自分で気をつけることが不可欠なのです。サービスを提供する事業者が対策をするのは当然ですが、それに頼って「安全神話」を信じてはいけません。

山本正行(やまもと・まさゆき)
山本国際コンサルタンツ代表
1963年生まれ。東京都出身。2009年に山本国際コンサルタンツを設立。あらゆるキャッシュレス決済サービスの仕組みやビジネスを専門にコンサルタントとして活動。行政のアドバイザーなども務め、法制度にも詳しい。日本経済新聞社運営のWebサイト「リテールテックJAPAN」のキャッシュレスに関するコラムの他、専門誌への執筆も多い。近著に『カード決済業務のすべて』(金融財政事情研究会)、監修書に『60分でわかる! キャッシュレス決済 最前線』(技術評論社)がある。(『THE21オンライン』2019年4月号より)

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