「あなたは投資家ですか?」

そう問われると、多くの人は首を縦ではなく、横に振るだろう。実際に株式投資や不動産投資をしている人なら別かもしれないが、「給与は全額、定期預金口座に入ったまま」という方も多いのではないだろうか。だが、投資の本質を理解すると、「自分は投資をしていないし、興味もない」という人であっても、ただ一人の例外なく世の中すべての人は投資家であるという事実が見えてくる。

この発想を持つことで、人生を豊かに充実したものにできるのだ。

選択肢のあるすべての行動は投資である

投資家
(画像=Rawpixel.com / Shutterstock.com)

金銭の授受を伴う行為はもちろん、そうでない行動すらもすべては投資である。

そのことを実感していただく事例をあげよう。たとえばダイエットで理想の体型を得るためには、食習慣を見直す、運動をする、と言ったようにいくつも選択肢がある。また食習慣も食べ過ぎをやめる、ダイエットサプリを買うといったものや、運動も移動を電車ではなく自転車にする、ジムに通うといったさらなる選択肢に枝分かれしていく。

運動をして痩せる場合、自転車は一度買えばそれ以上費用はかからないが継続できないリスクがあるし、交通事故の危険性やメンテナンスの手間が考えられる。ジムの場合は足を運ぶ手間や月額料金を勘案して検討する必要がある。

このようにすべての行動には無数の選択肢が存在する。人の価値観やコスト感によってどれを選択するのかが決まるが、その際に「投資対象として合理的な判断」ができるかどうかで成否が変わってくるのだ。

自分の行動を投資対象と見ることで成功率を高める

一見投資に思えないものも、投資対象として見ることで成功率を高めることができる。

たとえば英語学習についていえば、多くの人が「これからの時代、英語くらいは使えた方がいいだろうから」といった感情で見ているのではないだろうか。だが、英語力を「投資対象」と見てみたらどうだろう。

英語学習のリターンを得るには、何より英語力を活用して収益を上げることである。サラリーマンであれば、今持っている専門的なスキルに英語力を付加することで年収アップを望むことができる。実際、筆者は東京でサラリーマンをしていた頃に、英語力を買われて転職し、年収を200万円もアップした経験がある。また、現在も英語力を「英語教育コンテンツ」として販売して収益を上げ、海外の株や仮想通貨、不動産といった投資をする際の銘柄の情報を収集するために英語力を活用している。

このように多面的にマネタイズの効く「英語スキル」は、数十万、いや100万円以上かけてでも、取得できれば補って余りあるリターンを得られる投資対象なのだ。

自分が取る行動に対し、「これでお金をこのくらい稼ぐのだ」という明確な金銭的メリットを掴むべく取り組むことで、取得する可能性を高めることができるだろう。

「人付き合い」に潜むリスク

日常的な行動で投資的な色彩の濃いものとは「人付き合い」である。「お金持ちは慎重に付き合い、貧乏人は気軽に付き合う」という格言があるが、お金持ちがそう簡単に人付き合いを始めないのは、何より人付き合いにはリスクがあるからである。

人と付き合うとその人の思考や行動は、自分の人生にダイレクトに影響される。愚痴や不満ばかり言う人と付き合えば、その人の負の感情の影響をどうしても受けてしまう。これは感覚論ではなく、脳科学的にそういえるのだ。脳にはミラーニューロンというものがあり、貧乏ゆすりをする人の側に行くといつの間にか自分もイライラしてしまうように、感情は脳レベルで伝染する。人付き合いを一歩間違うと、時間も精神的にも疲弊し大きな損失を生みかねない。

人付き合いの難しいところは、一旦受け入れてしまうと簡単に切ることができない点である。下手に切ってしまうと、「あの人は親切に見えて実に冷たい」など、あらぬ噂を流される可能性もある。だからこそ、慎重な行動が不可欠だ。

筆者は自分より遥かに力量のある数億、数十億円を稼ぎ出す人物と数多く会ってきた。中にはその後継続的にビジネスパートナーとして、一緒に仕事をする仲になったり、情報交換をする関係を構築できた人もいる。相手が自分と会うことでビジネス上のメリットを受けられない可能性がある場合は、必ずコンサル料としてお金を支払うことにしている。報酬を支払えば、相手側が自分と会うことのリスクを無くせるのだ。

これも「世の中はすべての人は投資家であり、すべての行動は投資である」という概念を持ったことで得られた結果である。

あなたがもし投資家思考を鍛え成功したいと思うなら、一度、自分の行動や人付き合いに対する考え方を見直してみてはいかがだろうか。

文・黒坂岳央(水菓子 肥後庵 代表・フルーツビジネスジャーナリスト)

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