昨今の相続税の改正により、相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられたため、いわゆる富裕層にとっては、課税対象となる財産が大幅に増加するため、早期に適切な対策をとることが非常に重要です。

特に富裕層の場合は相続財産が多いため、複数ある控除制度をフル活用する事が必要となります。

なぜ相続税改正されるのか

この度相続税が大幅に改正されることとなり、これまで相続時に縁がなかった方にまで今後課税される可能性が出てきました。さらに、いわゆる「富裕層」にとって大きな税金負担を強いることとなる改正のため、事前にポイントを理解した上で対策をとりませんと、死後にご子息が納税資金の調達に苦労するはめになってしまいます。

また、相続税には「所得の再分配」という目的もありますが、昨今、日本の金融資産残高は約1500兆円とも言われており、「高齢者の富裕世代」ができる限り生前の早い段階で財産を譲り渡すことにより、消費を促したいという意図もあるようです。

相続税の税率アップ

では、今回平成27年1月1日より適用される、相続税の改正で 相続税の税率が引き上げられました。

2億円を超える部分が40%から45%
6億円を超える部分が50%から55%

このように改正されます。

税率は、法定相続人ごとに計算されるため、自ずと相続財産が多い、富裕層にのみ大きな負担増が発生してきます。少ない相続財産については税率が変更されていないことから考えても、国はやはり富裕層の相続財産に対して焦点を当ててきていると考えられます。

これはあくまで納税額を増やしたいという意図もある反面、消費を促したり、生前贈与を促進する事で、社会全体の金銭の循環を活性化させたいという狙いも大いにあると思われます。それらをよく理解した上で、対策を検討していく事が重要です。

基礎控除額の減額

さらに、平成25年にも以下のような改正が行なわれました。もともと「相続税」には従来から基礎控除枠というものがあり、その金額の範囲内の財産相続であれば課税されておりませんでした。

従来の控除額:5000万円+(法定相続人の人数×1000万円)

例えば、法定相続人が3人いる場合では、8000万円までの財産が非課税となっていました。

改正後の控除額:3000万円+(法定相続人の人数×600万円)

上記のケースにあてはめますと、4800万円までしか控除されず、それを超える部分に関しては課税される結果となります。

これだけ大幅な減額がされますと、これまで相続税対策を行ってこなかった方にまで税金負担を強いられるため、早急な対処が必要です。とくに東京都23区内では4人に1人の割合で課税される可能性があるとも言われております。

また、いわゆる富裕層は、先ほどの税率の改正とも相まって、相続税の金額が多額になることが予想されるため、将来、ご子息が財産を相続するために自宅を手放すということがないよう、対策をとることをお勧めします。