不動産投資業界のベテラン社長と副業塾の講師が本音で語る!
国に頼れない将来が見えている昨今、会社から得る給与だけでも不十分な時代になっている。そんな中、働き方改革推進の流れもあり、「副業解禁」がキーワードになっている。副業や投資で収入を複線化することの重要性について、不動産業を29年間経営する日本財託社長の重吉勉氏と、副業の専門家である小林昌裕氏に、対談形式で話していただいた。(取材・構成=林加愛、写真撮影=まるやゆういち)
給与以外の「副収入」を得る道が必須になる!
近年、多くの会社で、社員の副業を解禁する流れが出てきている。副業コンサルタントとして活躍している小林昌裕氏、そして会社員の副収入となり得る不動産投資事業を手がける重吉勉氏は、この動きをどう見ているのだろうか。
小林 「解禁」の裏にあるのは、働き方改革に伴う「残業禁止」です。企業としては、残業代の負担を軽減する意図もあると思われますが、残業代込みで家計を考えていた会社員にとっては不安のつのる話です。とりわけ心配なのが老後です。「老後の生活費は年金以外に2000万円必要」という金融庁の報告がひと騒動を巻き起こしましたが、実際に必要になるのは2000万以上ではないでしょうか。
重吉 まったくその通りです。年金財政の厳しさはもはや一目瞭然。その中でやはり、副業への関心も高まっていそうですね。
小林 はい。教室には熱心な受講者が数多く来ますし、マクロミルの調査でも、会社員の83%が「勤務先に副業を解禁してほしい」と考えているそうです。企業によってはまだ「本業に支障をきたす」と警戒感を持つ会社もありますが、それも今後変わっていくと思われます。
不動産投資は「事業」という意識を持とう
今は独立し、塾で副業を教える仕事もしている小林氏だが、サラリーマン時代に危機感を覚えたことから投資や副業を始めたという。
重吉 小林さんも会社勤めのかたわら副業を始め、本業をしのぐ収入を得て独立されたとか。お若いのに素晴らしいです。
小林 恐縮です。私の場合、会社員時代に「今の収入のままでは将来やっていけない」と気づき、副収入を得る方法を考えました。結果、不動産投資から初めて、今もずっと行なっています。実は、日本財託さんでも一戸購入させていただき、現在もお世話になっています。
重吉 そんなご縁があったのですね! 不動産投資も副業と同じく「副収入」ですが、「汗をかかない」のが特徴です。購入→貸す→家賃を得る仕組みを作れば、あとは管理会社に一任。時間も労働力も必要なく、本業への影響もわずかで済みます。
小林 副業禁止の会社でも、不動産投資ならばできますね。公務員の方など、厳しく禁止される職業の方でも可能です。
重吉 はい、当社のお客様にも会社員、公務員の方が多くおられます。
副収入の手段として魅力的な不動産投資。しかしこれはあくまで「コツコツ」行なうべきものである、と重吉氏は指摘する。
重吉 投資には「転売」のイメージがありますが、私たちが取り扱う不動産投資は、「不動産貸家業」というひとつの事業です。
小林 買った物件を持ち続け、毎月家賃を得るしくみですね。
重吉 はい。また、事業である以上はリスクにも目を向けていただきたいところです。空室リスクを筆頭に、家賃下落リスク、修繕コストなど。
小林 月々入るお金だけを見て気が大きくなり、大きな買い物をした後で修繕コストが発生、となったら痛いですね。
重吉 それにはやはり事前の学びが必要。予測を立て、考えうるリスクへの対応策を考える、といったスキルを磨かなくてはいけません。もちろん、物件を見極める目も必要です。
小林 よく勉強しないまま、収入に見合わない物件を購入してしまうのも怖いですね。私が相談を受けた例でも、多額のローンを組んで後悔している人がいました。
重吉 それについては一時期、私も憂慮していました。現在では銀行の一棟アパートへの融資も厳しくなっていますが。
小林 一昨年、女性向けシェアハウスの運営会社が破綻した事件以来ですね。あの件で正常化したのは良いことだったと思います。
堅実さでは群を抜く東京の中古ワンルーム
「時間をかけずに、効率的に」と求めるあまり、ハイリスクハイリターンに走りやすい人は実に多いという。
小林 ですから私は常々「易きに流れず、難きに向かえ」と教えています。その点、御社の物件の堅実さは抜群ですね。都内の中古区分の空室リスクは限りなく低く、確実に家賃収入が得られます。
重吉 当社の「築年数の新しい東京・中古・ワンルーム」の利回りは4%前後で、提携ローンの金利は1.6~1.8%です。この金利差を活用すれば、家賃収入だけで金利も元本も返済できます。
小林 中古なら借り入れ金額も少なくすみますね。
重吉 ただし、これまた要注意な点があります。家賃から経費を差し引いてプラスが出る、という月々のキャッシュフローを見て「収入が出た」と思うのは間違い。ローンがある間は、それを収入とは呼べません。少しでも早い完済に向けて、繰り上げ返済をお勧めしています。
小林 やはりここも、易きに流れない姿勢が必要だと。
重吉 ええ、頑張りどころです。とはいえ一番大変なのは1戸目で、あとは加速度的に楽になります。1戸目の完済には15年程度かかりますが、その後2戸目をフルローンで買っても、2戸ぶんの家賃プラス繰り上げ返済で、5年程度で終了。3戸目は3戸ぶんの家賃だけで7年、自己資金も足せば3年程度で完済できます。
小林 私の提案としては、副業によって月5万円程度の収入をそこに加えればさらに有利。おそらくその年数の半分で完済できます。
重吉 それも良い方法ですね。完済すれば、その後は3戸の家賃収入が入り続けます。65歳までにこの態勢を整えられれば、不安とは無縁の老後を迎えられるでしょう。
副業・副収入で「見える景色」が変わる!
将来を見据えた地道な姿勢は、老後の安定だけでなく、さらなる可能性を拓く基盤になりうる、と両氏は語る。
小林 頑張りを通してスキルの向上や成果を得ると、さらなるチャレンジをしたくなるものです。私も20代のころは一生会社員として過ごすと思っていましたが、副業を始めて多くの選択肢が見え、独立を選びました。そして3年前には、個人営業から会社組織へ。一歩進むごとに、新しい風景が広がっていく感覚を持っています。
重吉 当社のお客様にも、そういう方がいらっしゃいます。10年前、大雪の中をセミナーに来てくださった方なのですが、1戸のマンション投資を皮切りに、その後マンション管理士の資格を取得、さらに建物管理組合のコンサルタントになり、今ではご著書も出される活躍ぶり。10年前はご本人さえ、今のご自分を想像されなかったでしょう。経済的自由を得ると、自然に次のステージに目を向くのでしょう。
小林 コツコツの基盤があるからこそ、「ワクワク」が上乗せできるのですね。
重吉 会社員の皆さんは、その最初の一歩を今こそ踏み出す時ではないでしょうか。誰しも最初が一番怖いものですが、年金危機を考えると、何もしないことこそ一番のリスクですから。
小林 「ノー残業」でできた時間を副業に使うもよし、不動産投資を学ぶもよし。将来の可能性を拓く着実な歩みを、私たちも応援していきたいですね。
重吉勉(しげよし・つとむ)
株式会社日本財託代表取締役社長
1962年、石川県生まれ。90年、㈱日本財託を設立。直後のバブル崩壊により数々の不動産会社が倒産する中、固定収入を得られる管理業こそ不動産業務の原点だという確信を得る。その理念のもと、中古ワンルームマンションの賃貸管理に特化、7,000人を超える顧客を持つ。29年間の不動産管理業務を活かし、セミナー活動なども積極的に行なっている。著書に、『低金利時代の不動産投資で成功する人、失敗する人』(かんき出版)などがある。
小林昌裕(こばやし・まさひろ)
副業アカデミー代表/レべクリ代表取締役
1982年、東京都生まれ。2009年にサラリーマンをしながら、不動産投資を始める。14年に退職し、現在は、20余りのキャッシュポイントを持ち、クライアントの収入の柱を増やす活動に尽力している。副業を教える学校「副業アカデミー」代表、明治大学リバティアカデミー講師。著書に、『ふがいない僕が年下の億万長者から教わった「勇気」と「お金」の法則』(朝日新聞出版)、最新刊『サラリーマン副業2.0』(PHPビジネス新書)などがある。(『THE21オンライン』2019年08月14日 公開)
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