リバースモーゲージ利用の際の問題点
リバースモーゲージの利用には、先に述べたようなメリットがあって大変便利なものに思えますが、やはりいくつか問題点(デメリット)も生じます。
【思ったほど資金調達ができない】
たとえば三菱東京UFJのリバースモーゲージでは、家の時価の50%までか1500万円のどちらか低いほうという設定になっています。仮に自宅の不動産価値が1億円だとしても、1500万円しか借りられません。
【一定の評価額以上など制約がある】
リバースモーゲージは、不動産の立地条件・規模・状況に応じて融資額が異なりますのである程度の評価額を必要とします。信託銀行のリバースモーゲージの対象になるのは、担保不動産の土地評価額が原則4,000万円以上の土地付一戸建てとなっています。加えて首都圏・名古屋・京都・大阪・神戸などエリアが限定されることも多いので、どのような不動産でも必ず融資が受けられるとは限りません。
【担保価値の下落や金利上昇のリスク】
もし経済変動が起こって不動産の価値が下落し、担保の評価額が下がると追加担保が必要になったり、ローンが途中でストップしたり、場合によっては返済を迫られたりする可能性があります。また途中で金利が上昇すると受け取れる額が減少することもあります。
【相続人リスク】
契約終了時に現金で返済できない場合、担保物件を処分することで返済する必要があります。もし配偶者など同居者がいる場合は、融資利用者の死後に住む場所がなくなります。
リバースモーゲージの今後の動向と課題
こうしてリバースモーゲージ利用の際の問題点を列挙してみますと、リバースモーゲージの利用時には恩恵よりも注意しなければいけない点が色々と見えてきます。他にも、日本では介護のために子供が一緒に同居することが認められていないなど、現状にそぐわない制約もあります。
欧米では普及したシステムが、日本ではあまり広がっていないのは、こうした課題の解消が必要だと見て取れます。問題点を補う課題としては、融資総額が不動産の資産価値を超える場合に超過分を保険でカバーする公的保険制度の整備や中古住宅の価格査定法を見直すなどの中古住宅市場整備などがあげられています。
フランスなどは、リバースモーゲージ物件を購入した購入者も固定資産税を下げるなど恩典があり、こうした国の税制面の支援などが普及の鍵となっていくと見られます。もう待ったなしの高齢化社会に突入していますから、政府としてもなんらかの対策を取る事は期待されていますし、リバースモーゲージを利用してみたいと検討している人は、今後の制度の見直しなどに注意を払っておくとよいでしょう。
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