激務なコンサルタントでありながら、不動産投資家として本業の年収の何倍もの金額を稼ぎ、〝億超え〟の資産を築く。連載『資産〝億超え〟の兼業投資家が教える「時間レバレッジ」のかけ方』では、石川貴康さんがいかにして時間を生み出し、資産を増やし続けているのかを実例を交えて紹介してもらう。
第9回のテーマは「『視線化』発想で行動する」である。石川さんが何をするときでも「自分の行動に染みついている」と話す「複線化」とは、複数のことを同時並行的に行い、時間のインプットを抑え、アウトプットを何倍にも増やす発想だ。同じ時間を使ってアウトプットを2倍、3倍……と最大化するシンプルな方法とは。
インプットに対するアウトプットの最大化を狙う「複線化」
「複線化する」とは文字通り、いくつものことを同時並行することである。1つのことより2つのことを、2つのことより3つのことを同時に行えば、アウトプットが2倍、3倍に増える。同じ時間を使って、結果が2倍、3倍になれば、時間にレバレッジがかかっている、ということだ。
私は仕事をしていても、投資をしていても、生活をしていても、常に「複線化する」ことを考えて行動しているため、いつ何時でも頭に以下の「式」が存在する。
効果・効率の最大化 =Σ{アウトプット/インプット}
={アウトプット/インプット}の極大化とさらなる累積化
“1”の時間のインプットで、アウトプットが2倍、3倍に増えれば増えるほど効率的だと考えられる。コンサルタントは、スキルと時間で勝負する仕事だ。時間も限られるし、報酬も高いため、結果をシビアに求められる。従って、常にインプットに対するアウトプットの最大化を狙っているのである。
調理の例に見る、日常生活の複線化:カギは数品を一度に作ること
ここからは複線化の具体例を挙げたい。仕事における複線化の話はやや堅めなので、その前に少し柔らかめな日常生活における複線化の話をしておく。「調理の複線化」は身近な例なので、イメージしやすいのではないかと思う。
私は家でよく調理をする。3〜4種類を同時並行的に作ることが多い。家庭のコンロは3口、グリルを入れると4口ある。だいたいいつも3口はフル稼働である。
作る料理によっては4口フル稼働のときもある。さらに、シャトルシェフのような真空保温調理器(昔でいうと“はかせ鍋”のような、過熱後火から離し、保温して調理をする鍋)も使うと一気に5〜6品が同時に作れる。
最近調理した例を書こう。準備を含めて30分程度で、カレーに味噌汁(またはスープ)、炒め物1、炒め物2、カボチャの煮物、サラダを作った。材料を切った後、まずはカレーを作る。玉ねぎを炒め、他の材料を炒め、煮て、真空保温調理器で保温。同時にみそ汁も作り、真空保温調理器で保温。これで2種類の料理が同時に加熱される。このときカボチャの煮物はずっと煮続けている。水が飛び、ホクホクするまで一気に強火で煮る。
カレーとみそ汁は真空保温調理器で保温中なので、コンロが空いた。その間に、炒め物1、炒め物2を作る。炒め物1は野菜炒め、炒め物2はエリンギ+アスパラ炒めで、2種類を同時に炒める。
炒めている間に、コンロを少し離れて、トマトとキュウリを切る。カレーができる頃合いから逆算して、作り置きのご飯をレンジで温める。これは、前回「時間の作り置き」の回で書いた、事前に作って冷凍していたご飯だ。
真空保温調理器は火が通るのを時間で測ればよいので、それほど注意を払う必要はない。タイマーが教えてくれる。火にかけて注意するのは、カボチャの煮物と炒め物1、2だ。3つ同時に調理しながら、火を止めるタイミングを見る。
ご飯の解凍が終わるタイミングに合わせて、カレーもみそ汁もカボチャの煮物も炒め物も、同時に調理が終わるようにすると、すべての料理が同時にテーブルに並ぶことになる。
このように調理を複線化することで、いくつもの料理を同時に完成させることができる。大したことではないかもしれない。もっと効率の良いやり方があるのかもしれない。しかし、とりあえず私は、このように常に複線化して調理をしている。同じ時間を使って複数のアウトプットが出せるように組み立てながら調理しているのである。
セコセコしすぎ?そうかもしれない。もちろん、時間をかけてゆったりと調理することもあるが、普段は短時間に複数の品数を作ることが好みなのだ。
仕事の複線化:カギはアウトソーシングとアライアンス
仕事も同じだ。私の仕事はプロジェクトを同時にいくつも進める。複数プロジェクトだから、もちろん一人ですべては回せない。しかし、アウトソーシングやアライアンスを組むことで複数プロジェクトを同時に回せるのだ。