「Yes but法」でマイナスを打ち消せ!
二つ目の方法は、「言葉を変える」です。
思考習慣は言葉で作られます。ネガティブな言葉が口グセの人は、常に否定的な自己暗示をかけているようなものです。
脳には「入力」と「出力」の二つの作用があります。資格試験の勉強なら、まずは「頑張って勉強しよう」「今年こそ資格を取るぞ」といった言葉を思い浮かべたり、口に出したりするでしょう。これが入力です。
ところが、それを受けて出力される言葉が否定的なものだったら、どんなに良い入力をしても意味がありません。「頑張って勉強しよう!」→「でも、どうせ続かないだろうな」、「今年こそ資格を取るぞ!」→「でも、この歳じゃ遅いよね」といったマイナスの出力をすると、その言葉がそのまま脳に再入力されてしまうからです。そして、脳でマイナスの出力と入力がぐるぐると繰り返され、ネガティブな思考に陥ってしまいます。
この悪い連鎖を断ち切るには、出力を肯定的な言葉に変えるのが有効です。「Yes but法」を使えば、マイナスの入力をしてしまった場合でも、プラスの出力に切り替えられます。
「勉強は大変そうだな。でも、自分ならできる!」
「この資格試験は難しそうだ。でも、自分なら合格できる!」
このように「but」のあとを肯定的な言葉にすれば、脳は後半の言葉だけを信じて、「自分はできる!」と素直に思い込んでくれます。
三つ目の方法は、「動作・表情を変える」です。
言葉だけでなく、動作や表情も出力になります。暗く疲れた表情で机に向かっていると、脳は「勉強は大変でつらいから、もうやめよう」と受け取ります。逆に、「まだまだ頑張れるぞ!」と笑顔でガッツポーズすれば、脳はその通りに受け取って、本当に頑張ってくれます。動作や表情も、意識的にポジティブなものにすると、脳を騙して楽しく前向きに勉強を続けられます。
自分のメンタルと向き合う時間を作る
マイナス思考に陥りやすいという自覚がある人には、1日の終わりに自分のメンタルと向き合う時間を作ることをお勧めします。具体的には、
(1)今日の良かった点
(2)今日の問題点
(3)明日はどうするか
を紙に書き出すのです。
ポイントは、最初に良かった点を書き出すこと。「今日も無事に自宅までたどり着けた」「コンビニで買ったお菓子が美味しかった」など、どんな些細なことでもかまいません。
悪いことばかりに思えた1日でも、良い点に目を向けて、さらに今日の問題をどう改善するかを書き出せば、今日の悪い記憶がリセットされて、「明日はまた頑張ろう」と思えます。シンプルですが、メンタルを強化するには非常に有効なトレーニングです。
《取材・構成:塚田有香》
《『THE21』2019年8月号より》
西田一見(にしだ・はつみ)
メンタルトレーナー&目標達成ナビゲーター
1973年生まれ。サンリ能力開発研究所にて大脳生理学と心理学に基づくメンタルトレーニングの研究を始め、脳の機能にアプローチする潜在能力開発プログラム「SBT(スーパーブレイントレーニング)理論」を指導。様々な心理分析データから夢・目標達成をサポートする「目標達成ナビゲーター」として、講演・講習などで数百万人もの指導実績を持つ。著書に『一流になる勉強法』(現代書林)など。〔株〕サンリ代表取締役社長。(『THE21オンライン』2019年08月29日 公開)
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