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円安加速の悪影響現れる

バブルの崩壊にはじまり、さらに追い打ちをかけるかのごとく2008年に起きたリーマンショックの影響を受けて、日本経済は大打撃を受けることになりました。安倍政権は国内経済のデフレ脱却を目指し、景気回復策「アベノミクス」の効果が徐々に現れ始めてきました。
震災復興事業の本格化をはじめ、公共事業の拡大、そして不動産市場の回復が見え始め、2020年東京オリンピックの開催に向けてインフラの整備や構築、また競技関連施設などの計画が立てられ、景気回復の兆しを見せています。しかし、需要が高まる一方で、建設費の高騰という問題も顕著に現れています。その原因と考えられるのが、「建設資材高騰」「人材不足」「地価の上昇」ではないでしょうか。
円安が進み、その影響で輸入資材の価格が高騰していきました。また、国産品の資材も同様です。国土交通省の「主要建設資材月別需要予測」によれば、2014年3月はセメントが前年比21.4%増、生コンクリートが同18.8%増、木材が同12.4%増、普通鋼鋼材が同13.5%増、形鋼が同14.6%増など増加傾向になっています。
また、建築着工単価が値上がりを示す一方で、生産性が上昇しておりません。その原因は技能労働者と言われる「人材」の不足といわれています。長期に渡る公共投資の削減などによって「技能労働者」の育成が滞ったために、絶対的な人材不足をもたらしました。最近の需要増に追いつけない厳しい現状です。


オリンピックで不動産価格上昇も追い打ちをかける

そして、昨今上昇しはじめた地価も建設費高騰の一端となっています。国税庁が発表した『平成26年度分の路線価』によると、名古屋市中村区名駅1丁目で年率10.0%、東京都中央区銀座5丁目の鳩居堂前で9.7%もの高い上昇率となっています。また、国土交通省が発表している「平成26年第1四半期主要都市の高度利用地地価動向報告」によると、150地区における地価動向はその約8割が上昇地区となっています。
こうしたなか、今後、不動産のキャピタルゲインを狙う投資家たちが増えていくことを考えれば、五輪開催までは地価の上昇が続くはず。立地条件のよいエリアを中心に大都市圏、地方の中心都市などでも上昇へ転じるエリアが拡大しさらなる建設費高騰を招くと思われます。

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