今回の決算発表では業績を下方修正しても買われて株価が上昇する銘柄が少なくない。業績の底入れ観測から目標株価を引き上げる動きがでているからだ。よく参照されるリビジョン・インデックスはアナリストの利益予想の上方修正/下方修正だが、下記のオレンジのグラフは「目標株価」のリビジョン・インデックスだ。

リビジョン・インデックス
(画像=IFISジャパンのデータをもとにマネックス証券作成)

基本的には利益と同じ動きだが目標株価のほうはすでにプラス領域に転じている。ということは下方修正より上方修正のほうがすでに多くなっているということだ。

アナリストの下方修正が一巡した背景には世界景気の底入れ期待がある。ここに示したのは製造業のグローバルPMIだが、これ以外でも半導体、OECD景気指数、工作機械受注、様々な指標から底入れしつつあることが示唆されている。

グローバルPMI
(画像=IFISジャパン、Bloombergのデータをもとにマネックス証券作成)

ただ注意しなければならないのは、欧州でも中国でもなく米国だ。米国は他の地域と違って減税の効果などもあり景気が強すぎたため、ピークアウトが半年以上後ずれしている。グローバルのピークは17年末だが、ISM製造業景気指数でみたピークは18年8月だ。

ISM製造業景気指数
(画像=Bloombergのデータをもとにマネックス証券作成)

ここから中国などが主導して世界景気は底入れ感が出てくるが、反対に米国はここからもう一段の減速がありそう。そのギャップに市場は戸惑うかもしれず、要注意だ。あるいは、そろそろ利下げの効果が出てくるころで、米国景気減速がここで止まるなら文字通り「世界景気回復」の様相が強まり、文句なしの株高へ向かうだろう。2016年後半の再現となる。

今晩発表の雇用統計とISMはそれを見極める非常に重要な指標だ。週明けにまたフィードバックしたい。

広木隆 広木 隆(ひろき・たかし)マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
上智大学外国語学部卒業。国内銀行系投資顧問。外資系運用会社、ヘッジファンドなど様々な運用機関でファンドマネージャー等を歴任。長期かつ幅広い運用の経験と知識に基づいた多角的な分析に強み。2010年より現職。著書『9割の負け組から脱出する投資の思考法』『ストラテジストにさよならを』『勝てるROE投資術

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