人手不足が深刻化する中、外国人活用の課題は何か

外国人人材,松田秀和
(画像=THE21オンラインより)

人口減少による人手不足が進んでいる日本では、外国人人材をいかに活用するかが大きな課題になっている。飲食店やコンビニなどで外国人が働いている姿を目にするのが日常になっている一方、自分が働いている職場には日本人しかいないという人もまだ多いだろうが、そんな職場でも、外国人が働くようになるのは時間の問題かもしれない。日本語能力の高い外国人人材の紹介事業を手がけるゴーウェル〔株〕の社長CEOである松田秀和氏に、外国人と一緒に働くうえでのポイントを聞いた。

東南アジアから憧れの日本へ。就職でぶつかる壁とは……

ゴーウェルに登録しているのは、ベトナム、タイ、ミャンマー、インドネシアなど、主に東南アジア出身の外国人人材だ。

「一部を除き、日本で働く外国人人材のほとんどは、留学生として来日するか、技能実習生として来日するかの、どちらかです。技能実習生は最長5年で帰国しなければならず、日本語もほとんど話せないままのことが多いですが、留学生には、高い日本語力を身につけて、『技術・人文知識・国際業務』などの就労ビザを取得し、日本で永く活躍する人が多くいます。当社に登録している人材の43%は留学生、20%は『技術・人文知識・国際業務』などのビザの保有者です」(松田氏)

彼らが日本に留学するのは、日本への憧れがあるからだという。

「東南アジアの人たちは、幼い頃から日本製のアニメなどに触れているので、日本のカルチャーが好きで来日する人が多いですね。また、高い技術力を持っている国、高度成長を経験した国だということで、留学先に日本を選ぶ人もいます」(松田氏)

就職する職種としては、ビザが下りやすいこともあり、海外営業や旅館・ホテルが多いそうだ。

「日本語と母国語に加えて英語も話せる人がほとんどですから、母国や海外に製品を販売するのにも、世界中からの訪日客に『おもてなし』をするのにも、活躍できます。例えば、日本を観光で訪れるタイの富裕層は多く、ホテルにタイ語のわかる従業員がいれば喜ばれます。口コミで、タイ人の宿泊客が増えることもあります」(松田氏)

ただ、東南アジア出身の人材の日本企業への就職は、必ずしもうまくいっていないのが現状のようだ。

「中国や韓国、台湾からの留学生は、以前から人数が多いので、日本での留学生の就職状況や就活のノウハウについての情報を持ったうえで来日しています。しかし、東南アジアからの留学生は、ここ数年で急増したため、そうした情報を持っていません。新卒一括採用という日本独特のルールを知らず、就活に出遅れてしまうこともあります。また、例えば、ファッションの専門学校への留学生が卒業後に在留資格を得ることは難しいのですが、そうした制度を知らずに留学する人もいます」(松田氏)

留学生が東京に集中していることも、外国人人材の日本での就職を難しくしているという。

「東京では、飲食店やコンビニなどで、数多くの外国人が働いているのを目にすると思います。彼らのほとんどは留学生のアルバイトですから、東京にはそれだけ留学生が多いということです。東京にいる留学生は、当然、東京の企業に就職しようとしますが、東京には地方から日本人の若者も集まるので、競争率が高い。

一方、地方の企業では人手不足が本当に深刻です。ところが、日本語ができる外国人がいることを知りません。ですから、彼らのような優秀な外国人に地方の企業に就職していただくことが、お互いにとって望ましいことだと思います。私も、福岡や愛媛など、地方で外国人人材の活用についての講演をして、その後押しをしています」(松田氏)