会食の店を限定すると「強者」になれる?

私の1日は、眠気覚ましの3分間の朝風呂から始まります。その3分間は、1日のスケジュールを整理整頓する時間です。

今日の業務を頭の中でリストアップして、自分がやる必要のない業務を捨てて〝整理〟します。そして、効率よく進められるように優先順位を決め、”整頓”していきます。

日々の業務や行動においても判断基準となるのは整理整頓の思考です。例えば、お客さんと会食に行くときも、銀座や六本木に繰り出さず、会社がある荻窪からアクセスがいい繁華街で一番いい店に限定しています。新しいお店に行くという選択肢を捨てているのです。

一見さんやたまに訪れる程度の客ではいつまで経っても弱者。しかし、いつも利用する常連客になれば、その店の一番良い席を案内されて、手厚くもてなされる”強者”になることができるのです。

ちなみに、採用においても同様です。極端に思われるかもしれませんが、弊社で採用する社員は「中堅大学出身で、お酒が飲める人」に限定しています。

これもこれまでの経験から、弊社に合わないだろうと思われる人材は採用しないと選択肢を捨てています。

基準が明確だから、入社後によくある社員と会社側の価値観の乖離が起こりにくく、過去3年間で採用した71名の新卒社員中、辞めたのは2名だけです。

このように整理整頓の思考を身につければ、あらゆることに応用できます。いわば整理整頓とは、生き方のムダをなくし、自分が勝てる場所を見つけること。 

人生は長く様々な可能性があります。だからこそ整理整頓をして、”今、自分がやること”に集中できる環境作りが必要なのです。

小山 昇(こやま・のぼる)
〔株〕武蔵野社長
1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業後、77年に㈱ベリーを設立、代表取締役となる。89年、㈱武蔵野の代表取締役に就任。同社は2000年と10年の2度にわたって「日本経営品質賞」を受賞する。全国の経営者で作る「経営研究会」を主催、年間240回以上のセミナーを行なう。講演、ラジオでも活躍。著書に『人材戦略がすべてを解決する』(KADOKAWA )など多数。(『THE21オンライン』2019年10月09日 公開)

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