(本記事は、西村 貴好氏の著書『ほめ下手だから上手くいく 「ほめられない」を魅力に変える方法』ユサブルの中から一部を抜粋・編集しています)

聞き上手
(画像=PIXTA)

出会う人を味方につける話の聞き方8つのポイント

初めての方、特に「ほめ下手」の方にはぜひ、知っていただき、実践していただきたい内容。すぐにできて効果が絶大な内容です。それが話の聞き方を意識するというもの。

「ほめずにほめる」ほめ仕草のひとつです。聞き方のポイントは次の8点です。

① 目を見る
② うなずく
③ 相槌を打つ
④ 繰り返す
⑤ メモをとる
⑥ 要約する
⑦ 質問する
⑧ 感情をこめる

大尊敬する人の話を聞くとき、あるいは大好きな人と話しているとき、皆さんは自然にこのポイントのうちのいくつかを実際にやっているはずです。

尊敬する人や大好きな人と話しているとき、無意識のうちに聞き上手になっているのです。無意識のうちにやっていることを意識してやっていく。これが「ほめ達」になるための筋トレ。トレーニングなのです。誰でも聞き上手になれますし、それが「ほめ下手」にできる最良のほめ方となるのです。

また、先輩や上司とうまくコミュニケーションがとれずに悩んでいる方には「質問して、ほめる」ことをお勧めします。

会話の途中で「すごいですね。どうやって身につけられたんですか?」「どの時間を使って勉強されているんですか?」「○○さんには仕事上の師匠っていらっしゃるんですか? どんなことを学ばれたんですか?」

など尊敬の念を示しつつ質問をしていくのです。イメージは「ヒーローインタビュー」です。ヒーローインタビューとは、質問の形をとった賞賛です。

話の聞き方、ぜひ意識してみてください。繰り返しお伝えし続けるのには、意味があるのです。

知っているかではなく、できているかレベルで自分の話の聞き方を見直してみてくださいね。そして、実践、実践、トレーニングですよ。はい。メモメモメモも。さっそく、この本の余白に思いつきを書いてみましょう。

「ほめ下手」だから使わない言葉を決める

すぐに使える言葉や仕草をプラスアルファ、意識して実践してみる。

小さなことを意識するだけで、なんだか周りの人との関係性が変わってきた、あるいは変わりそうな予感がする。その予感は、正解です。ぜひ、小さなことを実践し続けてくださいね。

次は、使わない言葉を決めるということに挑戦です。

ついつい使ってしまう言葉に私たちは影響を受けています。言葉によって、考えや行動に大きな影響が及ぶのです。急に多くの言葉を封印する必要はありませんが、まずはコレからというものをお伝えします。

脳を昏睡状態にさせる「4D」

人間の脳は、怠け癖があります。すぐに省エネモードで運転。「ほめる」ということは、怠け癖のある脳を楽しく、全力運転で「こき使う」こと。そして、口に出したり、頭の中で使う言葉によって、脳の稼働状況が大きく変化します。ただでさえ怠け癖のある脳を眠らせてしまう言葉、昏睡状態にさせてしまう言葉もあるのです。その効果は恐ろしいほどです。脳を眠らせてしまう言葉、それは言葉の、

「3D」=「でも」・「だって」・「どうせ」です。

でも、この景気の中では……」
だって、この状況では……」
どうせ、この組織では……」

これらの言葉を口にした瞬間、あるいは頭の中で使った瞬間、脳は考えることをあきらめます。

さらにもう一つDを足して、脳を一気に昏睡状態にさせてしまう人もいます。

4Dになると何が加わるか、それは「できません」です。

「でも、だって、どうせ……できません」

創造的なことが何も生まれない悲しい言葉たちです。

それでは、4Dの言葉が出そうになったときにどうすればいいのか。別のDの言葉に置き換えるのです。

置き換えるD言葉は、「だからこそ」あるいは「どうやったらできるかな」です。

「この状況だからこそ……」
「この組織の中で、どうやったらできるかな……」

この言葉さえ使っておけば大丈夫、あとは怠け癖はあるけれど、命令されると素直で優秀な脳にお任せするだけです。不思議とプラスのアイディアが浮かんでくるものです。

「ほめ下手」脱出の段階では、使わない言葉を決めることからスタートです。

その代表例が言葉の4D、まずはコレから。

さらに「ほめ達」になると「言葉を選んで」生きていきます。通常、言葉を選ぶということは、頭の中で考えていることとは違う言葉を口に出すということです。本当は、頭の中では『自業自得でしょ!』あるいは『ざまぁみろ!』と思っているのに、口では「不運としかいいようがない!」「いやぁ、お気の毒!」と言う。

これを「ほめ達」は、頭の中で使っているマイナスの言葉から違う言葉に置き換えていくのです。頭の中で使う言葉がその人の人格にも表れていく。考え方を変えるということは時間がかかり、自分で確認することが難しいのですが、言葉を変えることならできます。自分が頭の中で使っている言葉を確認することで、自分の考えをモニターすることができるのです。

「未来は言葉で変わる」

これが「ほめ達」の考え方、そして生き方です。

ほめ下手だから上手くいく 「ほめられない」を魅力に変える方法
西村 貴好(にしむら・たかよし)
一般社団法人日本ほめる達人協会理事長 1968年生まれ。関西大学法学部卒業。 「泣く子もほめる! 」ほめる達人(ほめ達)として、あらゆるものに価値を見出すことを理念に2010年に「ほめ達検定」をスタートさせる。検定3級受講者は全国で5万2千人を突破(19年8月現在)。受講者数は年々拡大している。企業向け研修、講演会やセミナーなども年間200回以上。「ほめ達! 」を導入し、「ほめちぎる教習所」に生まれ変わった三重県・南部教習所は、生徒数増加、免許合格率アップ、卒業生の事故率が半減と素晴らしい成果を上げている。 著書に、「結果を引き出す大人のほめ言葉」(同文館出版)、「人に好かれる話し方41」(三笠書房)、「ほめる生き方」(マガジンハウス)などがある。