(本記事は、西村 貴好氏の著書『ほめ下手だから上手くいく 「ほめられない」を魅力に変える方法』ユサブルの中から一部を抜粋・編集しています)

褒める
(画像=PIXTA)

「ほめ下手」とはどんな人?

まず、「ほめ下手」と自覚があるということは素晴らしいことだと思います。自分は上手に人をほめることができる、ほめることは割と得意であるという人も実は正しいほめ方が分かっていなかったりします。

一般社団法人日本ほめる達人協会を設立し、理事長を拝命している私ですが、何を隠そう元々は「ほめる」ことが苦手な「ほめ下手」だったのです。むしろ、自他ともに認めるダメ出しの達人でした。そして、「ほめ下手」だったからこそ、ほめ上手を超える、ほめる達人=「ほめ達」になれたのだと考えています。

だから、あなたも間違いなくほめる達人、「ほめ達」になれるのです。

「ほめ下手」とはどのような人か。
自分がほめられてこなかったので、ほめ方がわからない。
ほめるより前にまず伝えないといけないことがある。

相手のできていないところばかり目についてしまって、ほめるより先に欠点の指摘をしてしまう。

ほめることは甘やかすことになって成長を止めてしまうのでは……。

ほめられない理由は、人によって様々でしょう。この本では、できない理由はまず置いておき、どうすれば「ほめ下手」から「ほめ達」に進化成長できるかに焦点を絞ってお伝えしていきます。

そのために、まず「ほめ下手」とはどのような人かを定義しておきましょう。

「ほめ下手」とは、ほめるポイントを知らず、ほめるタイミングを逃している人。

「ほめる」を正しく行うには、いつくかのポイントがあるのです。そのポイントを知らないために、ほめる材料を見つけられないでいる人。また、ほめるポイントは見つけられたのだが、相手に伝えるタイミングを逃してしまって実践できないでいる、このような人が「ほめ下手」な人なのです。

ですから、ほめるポイントを知り、ほめるタイミングを逃さない、この二つを意識するだけであっという間に「ほめ下手」から脱出できてしまいます。

このあと、この二つ「ほめるポイント」「ほめるタイミング」についてくわしくお伝えしていきますが、その前に大切なことを知っておいてください。

まず一つ目は、ほめるポイントについて、気の利いたことを言おうとしないこと。こんなことでいいのか、という何気ない言葉こそ相手の心に届くことがあると知っておいてください。

二つ目は、ほめるタイミングを逃さないという点について。まず「ほめる」は実践がすべてであるということ。そして最高のタイミングとは、今ここ! この瞬間です。実践・実践・実践。ここでさらに大切なことは難しく考えないということ。間違いはない、失敗もない、すべては気づきなのです。

そして、成長とは変化、変化にはストレスが伴います。「ほめる」を実践しながら違和感を感じるなと思うとき、それはあなたが成長している証拠なのです。ぜひ、成長痛も味わってみてください。その先にある大きな成長と成果の実感を楽しみに。

「ほめ下手」だからギャップが魅力

強面の人からやさしいひと言をかけられたら「えっ?」と意外性を感じます。これと同様に、普段なかなかほめない人からほめられると、その意外性からうれしさが2倍にも3倍にも感じられたりします。

つまり、周囲から「無愛想」「怖い」「ガンコ」などと思われがちな人は、それだけでほめるための武器を持っていることになります。周囲の人を感動させることのできるこの武器を、有効活用しない手はありません。

「ほめ達」の手法を取り入れたことによって飛躍的に業績を伸ばしている自動車学校があります。それは「ほめちぎる教習所」として知られる、三重県の南部自動車学校です。

「ほめ達」を導入する前の南部自動車学校は、教官が生徒に安全第一の指導をする、ほめない、普通の教習所でした。中には強面の教官もいて、怒られて泣きだして帰ってしまう女性生徒もいました。

教官のみなさんの努力もあり、南部自動車学校は今では「ほめ達」を実践し「ほめちぎる教習所」として大人気の教習所となりました。ではどうして、強面の教官が短期間でやさしくなることができたのか。

私が教官たちにお伝えしたことは「変わろうと思わなくていいです」ということ。「変わらなくていいので、やれることをひとつずつ増やしていきましょう」と。

「ほめ下手」のままでいいので、いいところをひとつでも見つける。見つけたら伝える。笑顔で「いいですね」「うまくなりましたね」と言ってあげられるようにする。それだけで皆さんのイメージは180度変わりますとお話ししました。強面からの笑顔は最強です。

現在の南部自動車学校で、最も人気のある教官のひとりは、かつて最も強面だったベテラン教官だそうです。

魅力はギャップから生まれます。「ほめ下手」だから、ほめられなかった過去とのギャップが魅力となるのです。

心の肉体改造

◎ダイエットでは痩せない

ダイエットでは痩せない。そう聞いて驚かれると思います。なぜ世の中に多くのダイエット法やダイエット本が溢れているのか。それは、やってみたダイエット法が上手くいかず、違うダイエット、また違う方法と皆が探し続けているから。つまり得たい成果を手に入れられない人が多いので常に新しいダイエット法が編み出され続けているのです。

それに対して、「肉体改造」に関しては、それほど多くの本は出ていません。理由はただひとつ、シンプルな方法で確実に結果が出るから。正しい食事をして、トレーニングで筋肉量を増やす。基本的にはこれだけです。どのような食事がいいのか、どのようなトレーニング方法があるのかを学び、実践していく。すると1ヶ月もしないうちに体重が減る。3ヶ月もすると誰の目にも明らかなほど、顔のラインが変わってくる、体型が変わる。痩せたいのならお勧めは肉体改造です。

「ほめ下手」から「ほめ達」への成長の仕方も肉体改造のやり方と同じです。「心の肉体改造」です。

心の肉体改造における正しい食事とは、正しいほめるポイントを学ぶこと。筋肉をつけるトレーニングとは、タイミングを逃さないほめる実践です。どちらも楽しくお伝えしていきますので、どうぞお楽しみに。

心の肉体改造による「ほめ下手」脱出と本当の肉体改造を両方同時に行ってみるというのも面白いかもしれませんね。

◎まずは、正しく知ることから

私自身、8年前に肉体改造を行って4ヶ月で14キロ体重を落とすことができました。そのときに得た知識を活用して、その後もリバウンドすることなく体重をキープできています。知ると知らないでは大違い。恐ろしいことです。

この本はダイエット本ではないのであまりくわしくはご紹介しませんが、まずは「正しい食事」について。同じだけの量を食べても、次の日には体重が減っているという食事の仕方があるのです。

逆に恐ろしいお話も栄養学を学ばれている方から教えてもらいました。太っているのに栄養失調になっている人もいるのだそうです。正しい食事をしないと太っているのに栄養が足りていない状態になる。こんなに哀しいことはありませんよね。

この身体は、食べた物でできている。何を食べるかが非常に大事。そして私たちの心は、自分が受け取ってきた「言葉」でできているのです。どのような言葉を受け取ってきたか、これからどのような言葉を受け取っていくのか。さらに自分が使う言葉は、自分が一番近くで聞いて、受け取っている。食事以上に気をつけたいことですね。

「筋肉をつけるトレーニング」についてですが、私の場合、パーソナルトレーナーに付いていただいて個別指導を受けました。週に2回ジムに行き、フィードバックを受けながら1時間のトレーニング。重めの負荷をかけて。最初の数回は、次の日の筋肉痛がすごかったです。

しかし、この本でお伝えしていく「ほめ下手」から脱出へのトレーニングですが、最初から負荷の大きなものは用意しておりません。すぐにできる簡単なものばかり。「まずはこれから」を実践していただきます。私が、あなたのパーソナルトレーナーを務めさせていただきます。すぐ横にいてアドバイスをさせていただきますのでどうぞご安心を。

ほめ下手だから上手くいく 「ほめられない」を魅力に変える方法
西村 貴好(にしむら・たかよし)
一般社団法人日本ほめる達人協会理事長 1968年生まれ。関西大学法学部卒業。 「泣く子もほめる! 」ほめる達人(ほめ達)として、あらゆるものに価値を見出すことを理念に2010年に「ほめ達検定」をスタートさせる。検定3級受講者は全国で5万2千人を突破(19年8月現在)。受講者数は年々拡大している。企業向け研修、講演会やセミナーなども年間200回以上。「ほめ達! 」を導入し、「ほめちぎる教習所」に生まれ変わった三重県・南部教習所は、生徒数増加、免許合格率アップ、卒業生の事故率が半減と素晴らしい成果を上げている。 著書に、「結果を引き出す大人のほめ言葉」(同文館出版)、「人に好かれる話し方41」(三笠書房)、「ほめる生き方」(マガジンハウス)などがある。