(本記事は、佐伯益咲寿氏の著書『「バカ」になれる人ほど「人生」はうまくいく』クロスメディア・パブリッシングの中から一部を抜粋・編集しています)

「営業」の意味が変化している

共存
(画像=valoshka/Shutterstock.com)

今は「営業」のやり方や行動の意味が変わってきています。昔は営業といえば「売り込む」ことでした。

そのやり方が通用したのは、売る側と買う側に情報の格差があったから。けれども、もう今は情報があふれていて、下手をすれば買う側のほうが詳しくなっているぐらいです。一方的に何かを売り込むというやり方は通用しません。

それなら、営業とはどういうものになっているのか。ひと言で言えば「共存」のために動くことです。

相手が困っていること、望んでいることに対して、自分に何ができるかを考えて動く。相手も喜ぶし、自分も役に立てる。それが「共存」のための行動であり、今の時代の営業です。

方程式で言うなら、たとえば10という値が「成果」だったとして、足し算で商品力とマーケットが10で人間力が0でも成果になる。これは今までの、新しいものに多くの人が飛びついた時代の営業でした。

ですが今は、ほとんどのモノはもう飽和していてみんなが飛びつく大ヒットはなかなか生まれない。そうなると商品力とマーケットが4ぐらいになり、残りの人間力をいかに6にするかが大事になってくるわけです。

この「人間力」が、相手のために自分が何ができるかの部分。最終的な成果=答えから逆算して、自分が何をするかという方程式は時代が変わっても同じ。その中身の数字が変わってきている。より「人間力」の比重が高くなっているんですね。

ここが理解できずに、営業ノウハウ、テクニックといった情報ばかり取り入れても今の時代の営業で結果を出すのは難しいでしょう。

時代が変わり、営業の意味、中身が変化しているのに自分が気づかずに「景気が悪い」「契約が取れない」と言ってる人は残念です。

商品力やマーケットを自分の力だけで動かしていくのは難しいですが、人間力の部分ならいくらでもやれることがある。世の中の困りごと、課題はいくらでもあるのですから、そこに自分ができそうなことを探してみるんです。

僕からすれば、こんなにチャンスのある時代はないと思う。今までの日本を支えてきたものや仕組みが、軒並み変革されようとしているわけです。

何も変化する必要がなく、すべてうまくいってるのなら個人が出る幕はないですが、今はそうではない。大企業であっても個人や小さな組織と組むのが当たり前になってきています。そうしないと生き残れないから。

大きな市場に向けて大量に同じものをつくり大量に売るビジネスはもうほとんどありませんよね。だからこそ「一人ひとり」にいかにフィットさせられるかが、どんなビジネス、商売でも大事になってくる。

それができるのが個人であり小さな組織です。

個人が自分で大きな組織や仕組みをつくるのではなく、個人や小さな組織が、自分たちの得意なこと、強みを生かして「すでに仕組みや看板を持っているところ」と組んで、顧客一人ひとりに対応できる人間力を生かした仕事をしていく。そんな時代なのです。

「バカ」になれる人ほど「人生」はうまくいく
佐伯益咲寿(さえき・まさとし)
カンシングループ会長兼CEO。1965年生まれ。香川県小豆島出身。高校卒業後、18歳で瀬戸内の汽船会社に就職。
29歳で住宅設備機器の販売会社を設立。売上70億円の会社にまで成長したが、42歳のときに倒産。17億円の負債を抱える。2009年、心機一転して株式会社カンシンを千葉県船橋市に設立。住宅の総合維持管理会社として、不動産業、ハウスメンテナンス業などを展開。誠心誠意、お客様に向き合い続け、2019年に創業10 周年を迎える。趣味は、食道楽、着道楽、旅道楽。座右の銘は、「我 事において 後悔せず」(宮本武蔵『独行道』より)。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます