(本記事は、佐伯益咲寿氏の著書『「バカ」になれる人ほど「人生」はうまくいく』クロスメディア・パブリッシングの中から一部を抜粋・編集しています)

「心」の時代だから「頭」は捨てていい

心
(画像=Watchara Ritjan/Shutterstock.com)

おもしろい時代だよ。僕は本気でそう思ってます。

これまでの時代は、いわゆる「頭のいい人」たちがつくってきた。いかに多くのものをつくって人々の欲望に火をつけて、いかに買ってもらうか。そのために、いろんなことが「頭から」考え出されて実行されてきました。

言葉は悪いかもしれませんが煽られてきたわけです。

ですが、みなさんも気付いておられるように、そんな時代ではなくなってきた。

本書のタイトルにあるように、僕はあえて「バカ」になれること、道化(ピエロ)になれること、常識にとらわれないことが、これからますます大切だと思っています。

売り手市場では、頭だけを使っていかにコストをかけず効率よくビジネス、商売をやるかで勝負が決まってきました。当然、そうした環境では大企業が有利です。

けれども、これからはまったく逆になる。もうすでにそうなってきていますが、どの先進国も経験したことのない人口減少社会の中では、逆に一人ひとりに時間や労力といったコストをかけたやり方をしないと生き残れません。

そこにAI化、ロボット化も進んできて、働く人もさらに選別されるようになる。じゃあ、具体的にどうやって僕らは生き残るのか。当然、これまで誰もやっていなかったような戦略を取らないとダメです。

手数をかけてコストが高いと思われることでも、実はそれをやらないと存在価値がなくなるし、逆にやればやるほど自分たちの存在が高まるわけです。

ただし、10人の顧客がいて全員に合わせにいく必要はない。その中の一人でも「本当にこういうものがほしい」と必要としてくれたら、その人のためにつくる。その人のためにサービスを提供できる仕組み、ビジネスモデルをつくるべき。要は、その人の「人生」に寄り添うことをする。

それは「頭の中で効率よく」なんて考えていたら絶対にできないことです。だから「心」が中心にならないと。

僕が「心の時代」というのは、そういうことなんです。決して抽象的な概念ではなく、本当に心を中心にビジネスを構築する時代ということです。

「理念集団」で生き残る

手数をかけて、短期的には労力やコストが増えることもあえてやっていく。それを1社でやるのは無理です。

そこで応援団をつくる。「事業」というのは「理念集団」なので、理念が共有できる人たちの仲間をつくっていこうと思っています。そして全国に発信していく。

自分たちですべてを持って独占的にやる発想はありません。僕は、そうしたやり方では今の時代に向いていないと思うので。だからこそ社外の人たちとアライアンスを組む仕組みをつくって事業展開をしているわけです。

いくら、これからの世の中のためにいいことをするんだといって、考えは発信できても実現させるには仲間が必要。同志ですね。

「人を真ん中」にして、「ライフスタイルソムリエ」として顧客の人生を結婚からセカンドライフ、サードライフまでサポートしていく。そのためのビジネスパートナーと、根本の考え方・価値観も共有してやっていきたい。

実は、そうしたパートナーとしていちばん多く手を挙げてもらえるのは50代以上の人たちだと僕は思う。もちろん年齢制限をしているわけじゃない。だけど、現実的にその世代の人たちがこれから、ますます厳しい状況に置かれるからです。

端的に言えば仕事がなくなっていく。だからこの世代の人たちと組んで、考え方・価値観を共有してやっていくことで日本の社会問題を解決する力にもなれると考えています。

たとえば、空き家問題。60代、70代の人たちで、働きたいのに働けず、ローンが払えないからと家を売却したい人はすごく多いんです。世の中の10%くらいは、実は住宅ローンが払えない予備軍だと言われています。

通常、住宅ローンが払えず差し押さえになると「競売」にかけられますが、その手前で「任意売却」を考えざる得ない人も相当数います。

10%という数字は、日本全体の住宅ローンの数からすれば恐ろしい数字です。そうした潜在的危機にある世代の人たちに、その人たちの「人間力」を生かせる仕事をいかにつくれるか。

僕はそこを考えているわけです。もっと言えば、それは日本全体の国力が低下することにもつながります。家と仕事がなくなるというのは、人が生きていく上で欠かせない基盤をなくすことだからです。

「バカ」になれる人ほど「人生」はうまくいく
佐伯益咲寿(さえき・まさとし)
カンシングループ会長兼CEO。1965年生まれ。香川県小豆島出身。高校卒業後、18歳で瀬戸内の汽船会社に就職。
29歳で住宅設備機器の販売会社を設立。売上70億円の会社にまで成長したが、42歳のときに倒産。17億円の負債を抱える。2009年、心機一転して株式会社カンシンを千葉県船橋市に設立。住宅の総合維持管理会社として、不動産業、ハウスメンテナンス業などを展開。誠心誠意、お客様に向き合い続け、2019年に創業10 周年を迎える。趣味は、食道楽、着道楽、旅道楽。座右の銘は、「我 事において 後悔せず」(宮本武蔵『独行道』より)。

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