ずっと堅調なトレンドが継続していたオリエンタルランド(4661)の株価が軟化し、質問を受けることが多くなった。大阪のセミナーや昨日のオンラインでも訊かれた。これまで堅調だったことの裏返しである。これまではオリエンタルランドやリクルート(6098)など数えるくらいの銘柄しか買えず一極集中相場が続いてきたが、秋からの相場回復でバリュー株が買われたり景気敏感株が買われたりして物色対象が分散した。それで一時的に人気が離散しているのだろう。オリエンタルランドの魅力が失われたわけでも悪材料が出たわけでもないのでホールドでよい。それどころか押し目買いのチャンスである。

ずっと堅調なトレンドが継続していたが、足元でそのトレンドから下方に屈曲している銘柄と言えば、日本新薬(4516)だ。業績は絶好調だ。秋にはMSCIにも採用になった。ところがNY拠点のヘッジファンドがショート・ポジションを積み増していることが有価証券報告書から明らかになり、下げ足を速めた。株価は現在75日線あたりで下げ止まっている。こうした需給の歪みからくる押し目は良い拾い場だと思う。同社はDNAなどを使った「核酸医薬」について、日米同時に製造販売の承認申請を実施。早ければ日米両国で20年春にも販売できる見通しで、新たな買い材料があるのは心強い。

一時的にトレンドから下方乖離してもいずれ元に戻る - こうしたことを何度も繰り返してきたのがニトリ(9843)だ。3~11月期は営業利益が前年同期に比べて8%増の840億円前後になったもよう、との日経の業績観測記事を受けて一時急落したが、早晩上昇トレンドに回帰するだろう。

一方、強いトレンドがまったく崩れない、どころか加速しているのは、前回リストに組み入れたHOYA(7741)だ。今年を代表する大化け株、レーザーテック(6920)とHOYAの共通キーワードはEUV - Extreme Ultraviolet - 極端紫外線である。HOYAはICチップのフォトマスク製造用の材料となるマスクブランクスを、レーザーテックはその検査装置を手がけている。

今年これだけ上がったレーザーテックをここから追いかけるのは高値つかみの恐れもあるが、半導体デバイスの微細化ニーズは5Gの進展を考えれば高まりこそすれ、需要が減ることはないだろう。まだこのトレンドは続くと考える。

富士フイルム(4901)の日立メディカルの買収は評価できる。

商社の勝ち組、伊藤忠(8001)をリストに入れる。強いトレンドがずっと継続しているがこれだけ上がってまだPER7倍台。17%のROEでありながらPBR1.3未満。こういうのを典型的なバリュー株と言うのだろう。

新規追加
日本新薬(4516)
レーザーテック(6920)
富士フイルム(4901)
伊藤忠(8001)

広木隆 広木 隆(ひろき・たかし)マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
上智大学外国語学部卒業。国内銀行系投資顧問。外資系運用会社、ヘッジファンドなど様々な運用機関でファンドマネージャー等を歴任。長期かつ幅広い運用の経験と知識に基づいた多角的な分析に強み。2010年より現職。著書『9割の負け組から脱出する投資の思考法』『ストラテジストにさよならを』『勝てるROE投資術

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