年初から波乱の幕開け リスクオフで下値模索の展開か
トランプ米政権が、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したことで、米国とイランの軍事的衝突の可能性が高まっている。中東情勢の緊迫化を受けて原油価格は急上昇。リスク回避の機運が高まるなか、ISM製造業景気指数の予想外の悪化もあって米国債が買われ長期金利は低下、ドル安円高の流れに傾いている。
年明けの東京株式市場は全面安で始まりそうだが、売り一巡後に下値を買う動きが見られるか注目したい。先週末のNY市場でもダウ平均は下げ幅を一時368ドルに広げたが、売り一巡後は下げ渋り結局233ドル安で終えている。
日経平均の2万3000円台前半は拾い場ではないか。なぜなら、米国とイランの軍事的な対立が強まっても、米国株相場に大きな影響はないからグローバルなリスクオフがずっと継続するような事態にはならないと思われる。世界最大の産油国である米国はホルムズ海峡依存が高くない。むしろ原油価格上昇はこれまで低迷していた米国のエネルギー株にプラスであることに加え、サウジをはじめとするオイルマネーによる投資も活性化するだろう。無論、日本企業にとってはコスト高要因となってネガティブだが、グローバル・マーケットという観点からは必ずしも悪材料だけではない。
今週の注目材料としては、9日の安川電機(6506)の第3四半期(9~11月)決算発表と10日の米雇用統計を挙げる。予想レンジは2万3000円~2万4000円とする。
広木 隆(ひろき・たかし)マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
上智大学外国語学部卒業。国内銀行系投資顧問。外資系運用会社、ヘッジファンドなど様々な運用機関でファンドマネージャー等を歴任。長期かつ幅広い運用の経験と知識に基づいた多角的な分析に強み。2010年より現職。著書『9割の負け組から脱出する投資の思考法』『ストラテジストにさよならを』『勝てるROE投資術』
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