好き嫌いで仕事している

私が夜の銀座で出会った一流の方々には、「好き嫌いで仕事している」という共通点があります。

例えば、何かを購入する場合、同じ品物を売っている人がいて、一人が好きな人、もう一人が嫌いな人ならどちらから購入しますか? 私なら自分が好きな人から購入します。

社会人になると好き嫌いで人を評価するのは良くないことだと言われることもありますが、本当にそうなのでしょうか? 人は普段から好きか嫌いかで様々なことを判断しているように思います。

ここで言う成功している一流の男性に共通する「好き嫌いで仕事している」という意味は、「仕事の内容を個人の好き嫌いで選り好みをしている」とか、仕事関係の人を好き嫌いで判断して「態度を人によって変える」という意味ではありません。

「仕事に好き嫌いを持ち込まない」ことは、社会人としてよく言われていることだと思います。ですが、例えば、第一印象。第一印象は3秒から5秒で決まるという説や7秒、15秒で決まるという説もありますが、私はその人が目に入った瞬間に決まると思っています。

最初に感じた印象はその後も変わりづらいものです。

また、最初の印象は良かったり、悪いものではなかったのに、お付き合いを継続していく中で変わっていくこともあります。

成功している一流の方々は、今までのご自身の経験から勘も大切にされています。だからこそ「なんか好き」「なんか嫌い」という感覚も大事にしています。もちろん、社内でも社外でも仕事が円滑にいっている場合は、嫌いな人とでも割り切ってお仕事をされています。

その人に対する好き嫌いで判断しているというよりも、「信念が共感できない人とは一緒にいたくない」というのが正しい言い方かもしれません。

先日、私のお店に昔からおみえになっているお客様が私と初めて会った時のことをこう話して下さいました。

「僕が利美ママのお店にまた来ようと思ったのは、『利美ママはどうして銀座で働こうと思ったの?』って聞いた時に、10歳の時に仲の良かった友人のお母さんが自由が丘にあるクラブで働いていて、その彼女に憧れて夜の仕事をしたいと思った話と、TVを観ていて夜の世界は銀座が一番だと聞いて銀座で働こうと思った。こうしてお店を出すようになったけど、私がこのお店で飲んでいて楽しくなくなったらいつでも閉める。だって、私が楽しくなかったら、いらっしゃっているお客様も働いているスタッフも楽しいはずがない。と言ったからだよ。お金を稼ぐために夜の仕事をしているとか、そういう理由じゃなかったから、この子、面白い子だなぁ、また来ようと思ったんだ」

このエピソードは信念とまで言える内容ではないですが、私の言動に共感して下さり、長いお付き合いをさせていただけていたのだと知った出来事でした。

成功している一流の方々は「信念が共感できる人と仕事がしたい」。だからこそ、相手が持っている信念に共感でき「この人、好きだな」と思うか、「この人、嫌いだな」と思うかで仕事を選び、付き合う人を選んでいるのだと思います。

銀座のママが惚れる 一流の男
日髙利美(ひだか・としみ)
銀座ルナピエーナ オーナーママ/作家・講演 研修講師/やまとなでしこ協会代表理事

1975年生まれ。品川女子学院中退。多くの一流ビジネスマンへの接客から銀座流のおもてなしを身につけ、26歳で銀座ルナピエーナをオープン。一見のお客様が足を踏み入れることのできない銀座のクラブの経営や一流の男性へのおもてなし、女性の世界での上手な人付き合いから「コミュニケーションのプロフェッショナル」として書籍や雑誌、TVなどのメディアでも活躍。米国 ロサンゼルスやシリコンバレー、シンガポールでの海外講演をはじめ、国内の様々な業界の管理職、社員向けの研修、また、経営者団体での講演やセミナー講師としても活動。コンサルティングも行っている。日本の文化の一つである大人の社交場としての夜の銀座のおもてなしの心や、日本人の相手を思いやる美しい心の伝承のために、夜の銀座の世界を飛び出し、日本だけにとどまらず、世界中に「恩送り」していくことを使命に活動している。

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