仕事のできる人が絶対やらない説明の仕方
上司への報告がイマイチ上手く伝わっていない気がする……。その原因はあなたの「説明の仕方」にあるのではないでしょうか。
ここでは、研修講師として活躍する車塚元章さんの新著『仕事のできる人が絶対やらない説明の仕方』の第2章「職場で上司から評価される説明の仕方」から、伝わりにくいダメな報告にありがちな特徴とその改善例を紹介します。
手順を意識して報告する
いきなり報告しない
部下が上司に次のような報告をしてきたとします。
部下「課長、決まりました! やりました! Zプラン契約できました!」
上司「何だ、いきなり。後にしてくれ」
このように、いきなり結果の説明をされても「今聞くべき内容なのか」「改めて時間を割くべき内容なのか」を判断できず、上司を困らせてしまいます。
上司にも都合があり、状況によっては部下の報告に時間を割けない場合もありまので、まずは「~について、報告があります」「~について、相談したいことがあります」と、これから何に関する報告をしたいのか明確に伝えましょう。
次に、報告に要する時間の目安を提示します。「5分ほどお時間をいただけますでしょうか?」と、具体的な時間を提示することで、上司もより都合が確認しやすくなり「5分くらいなら、今聞こうか」などと、すぐに判断ができます。報告する本人としても、時間的なデッドラインを作ることになるので、よりわかりやすく簡潔な説明を意識するようになります。
報告は「結論」→「今後の展開」の順番で話す
報告をする際は、相手が一番知りたがっている「結論」からまず話しましょう。相手に貴重な時間を割いてもらっている以上、常に自分より相手のことを考えて話すことを意識してください。
このようなポイントをふまえると、以下のような報告の仕方になります。
部下:「課長、A社訪問の件でご報告があります。今、お時間よろしいでしょうか?」
上司:「いいよ、聞こうか」
部下:「ありがとうございます。本日A社を訪問した結果、無事にZプランでの契約となりました。サービス開始は来月からとなります。また、併せてサポートサービスについても検討いただくことになりました。こちらについては、引き続きフォローしていきたいと考えています」
上司:「おめでとう! よかったな。引き続き頼んだぞ」
部下:「はい、がんばります!」
とてもスムーズな報告で、上司もストレスなく部下の説明を聞くことができるでしょう。
上司に丸投げの相談はしない
「何とかしてください!」ではアドバイスはもらえない
以下は、部下が上司に相談している場面です。
部下:「○○社に提出する企画書の件ですが、先方からは今週の金曜日中に提出してほしいと言われています。そこで、どのような企画書を作成すべきか悩んでいます。課長、どうしたらいいでしょうか?」
上司:「『どうしたらいいでしょうか?』って。君はどんな企画書がいいと思っているの?」
部下:「私ですか。え〜と、いや……」
あなたが上司だったらこの部下にアドバイスしようという気になるでしょうか? このように「私にはどうしていいかわからないので、課長何とかしてください!」と、自分の取るべき対応の判断を丸投げした態度では、上司としても、相談に乗ってあげよう、いいアドバイスをしてあげよう、という気持ちになれません。ここまで極端でないにしても、このような傾向の人を見かけることはよくあります。
わらをもつかむような心境で助けを求める部下の気持ちもわかりますが、相談とは、判断に迷うことや一人では解決できない問題を解決するために、上司や先輩からアドバイスをもらうことです。
そのためには、自分が置かれている状況や考えなどをきちんと説明する必要があります。また、報告などに比べて相談は時間や負担がかかる場合があり、相手への配慮がとくに必要です。ですから、ここでも相手の都合を確認するようにしましょう。
以上をまとめると、次のような4つのステップになります。
〈相談をするための4つのステップ〉
- 何の相談なのかを話し、都合を確認する
- 現在の状況について話す
- 自分なりの考えを話す
- 相手に意見やアドバイスを求める
この4ステップを参考に、先ほどの相談例を改善してみましょう。
部下:「課長、○○社に提出する企画書の件でご相談があります。5分ほどお時間よろしいでしょうか?」
上司:「今ならいいよ、どうした?」
部下:「ありがとうございます。先ほど先方の担当者と話をした結果、企画書を今週の金曜日中に提出してほしいと言われています。そこで、どのような企画書を作成すべきか悩んでいます。私なりに考えた企画案がこちらになります。課長のご意見をいただけますでしょうか?」
上司:「そうか、わかった。なるほど、ポイントを押さえた企画になっているじゃないか。あとは、△△について具体的な数字を入れるともっと良くなるはずだ」
部下:「ありがとうございます!」
相談の基本は「私の考えはこうです。この考えに対して、どうかアドバイスをください」というものです。まずは、あなたの考えや答えをしっかりと述べたうえで、でもそれが本当にいいものなのか自信がない。だから助けが必要です。どうか教えてください――。こういうスタンスが大切なのです。
アドバイスをもらって終わりにしない
相談は、いいアドバイスがもらえたことで終了するものではありません。相手は自分のアドバイスが役に立ったのか、問題は解決したのか、ということを気にしています。
そのため、相談に乗ってくれた相手には必ず結果を報告するようにしてください。「ありがとうございます。おかげさまで、うまくいきました」と報告があれば、相手も「またいつでも相談に乗ってあげるよ」という気持ちになります。決して相談しっ放しにはしないようにしましょう。
『仕事のできる人が絶対やらない説明の仕方』では、上司への報告・相談のほかにも「仕事の効率が上がる説明の仕方」や「後輩や部下をうまく動かす説明の仕方」など、ビジネスパーソンにとって必須スキルである「説明の仕方」を具体的な事例を交えながら解説しています。
「上司が納得する、簡潔で説得力のある説明ができない……」
「後輩や部下に伝わる、わかりやすい説明ができない……」
「自分の説明する力に自信がない……」
あなたの悩みも、説明の仕方を少し工夫するだけで改善できるかもしれません。
(提供:日本実業出版社)
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