テレビマンは常にネタを求めている!

テレビ番組
(画像=TicTac/写真AC)

テレビ番組に取り上げられたことがきっかけで、商品が爆発的に売れることがあります。しかしこれは、なかなか狙ってできることではありません。広報・PR担当者が頭を悩ます「どうしたらテレビに取り上げられるのか問題」のヒントを、情報番組の現場を知り尽くした放送作家が教えます。

あなどってはいけない「テレビのチカラ」

「テレビの情報番組で取り上げられた地方の洋菓子店に全国から客が殺到、行列が絶えない店になった!」
「肥満防止に効果があると紹介されたサバ缶がスーパーの店頭から消えた!」

このような話はよく聞きます。

「テレビはオワコン」などともいわれますが、影響力はいまだに絶大です。テレビは、世帯視聴率1%でも約100万人が見ていることになるといわれています。例えば、本なら100万部売れるミリオンセラーは年に1冊あるかないか。YouTubeだって、動画が100万回再生されればそれだけでニュースになる数字です。

テレビが持つ、不特定多数に一気に情報を届ける力は、今も他のメディアを圧倒しているのです。

当然、「自社の商品やお店もテレビに取り上げられたい」と誰もが思います。でも、コネもないしお金もかけられないと最初からあきらめていたり、「ウチの商品、テレビに出るような特徴ないよなあ……」と尻込みしてしまう経営者や広報担当者も多いのではないでしょうか。

しかし、それはどうやら思い込みのようです。第一線の放送作家として、「めざましテレビ」(フジテレビ)や「はなまるマーケット」(TBSテレビ)などの人気情報番組を担当してきた石田彰洋さんによると、「テレビで紹介されるにはちょっとしたコツがあって、世間の人が思うほどハードルは高くない」のだとか。

そのコツをひと言でいうと「『テレビマンは何を判断基準にネタ(取材先・取材対象)を選んでいるのか』を理解すること」です。コネも人脈もお金も、関係ないのです。

テレビマンはどんな考え方で仕事をしているのでしょうか。石田さんの著書、『タダでテレビに取り上げられる方法』からピックアップしました。

テレビマンはネタ不足にあえいでいる

まず前提として、「テレビマンはいつもネタ不足にあえいでいる」という事実があります。

石田さんが関わってきた「情報・報道番組」の多くは、週5日、同じ時間帯に放送されています。大きな事件や出来事があれば放送時間を埋めるのに苦労はしませんが、お茶の間に提供する話題に乏しいときも少なくありません。そんな日に120分~150分を埋めるのはなかなか大変で、番組の内容を決めるチーフ・ディレクターの中にはノイローゼになる人もいるそうです。

そんなときにネタとして使える情報を提供することができれば、採用される確率は上がるはずです。

ならばターゲットは明確です。テレビ番組にはさまざまなジャンルがありますが、自社の商品やお店を露出させたいなら「情報・報道番組」に狙いを定めましょう。その中でもとくに「ひまネタ」枠が有力な候補になります。

「ひまネタ」とは、とくに緊急性のないグルメ情報や動物の赤ちゃんの映像、便利グッズの紹介といったVTRのことだそうです。これといった話題がないときに「ひまネタ」枠に視聴者に役立つ情報を提供できれば、取材してもらえる確率がぐっと高くなるのです。

「ウチみたいな小さな店の商品を取り上げてもらえるだろうか?」という心配も無用のようです。テレビマンはむしろ小さな会社やお店を応援する傾向にあるとか。テレビマンもジャーナリストであり、ジャーナリズムの基本は「弱きを助け強きをくじく」ですから、大企業やチェーン店よりも取り上げられやすい面もあるそうです。

また、ターゲットはキー局の番組ばかりではありません。地方局も独自の情報番組を制作していて、とりわけ「地域密着ネタ」は好まれます。会社やお店が地方にあるなら、地元のテレビ局にもプレスリリースを送るなど、積極的に情報提供するといいでしょう。

テレビマンのモチベーションとは?

さて次は、「どんな情報を提供すればいいのか」です。そのためには「テレビマンはネタを選ぶとき何を考えているのか」を知らなければなりません。

もっとも重視されるのは、想像通り「数字(視聴率)がとれそうかどうか」だそうです。視聴率の高低によって番組の存続や自分の評価に影響を与えるのですから、テレビマンが数字に一喜一憂するのも当然でしょう。

「視聴率至上主義」といえばそうかもしれません。しかし、石田さんはそこに、人並外れた「伝えたがり」であるというテレビマンの本質を見ます。

「これ面白いから、みんなに伝えたい」
「これ許せないから、みんなに伝えたい」
「これ便利だから、みんなに伝えたい」
「これ美味しいから、みんなに伝えたい」
「これ感動するから、みんなに伝えたい」

これらがテレビマンのモチベーションです。(中略)テレビマンとは「伝えたがりで」で「それが多くの人に伝わるとうれしくてしょうがない」生き物なのです。

(93~95ページ)

視聴率は情報が多くの人に伝わった結果として出る数字です。「視聴率が取れそうなネタ」は「テレビマンが多くの人に伝えたいネタ」にほかならないわけです。

このようなテレビマンのモチベーションを理解しておけば、提供する情報の切り口も変わってくるでしょう。彼らは視聴者に伝えたい情報を探しているのであって、どこかの会社の告知情報を探しているのではないのです。

新製品をPRしたいのなら「大好評○○社の□□シリーズ、新製品発売!」といった自社都合の一方的な形ではなく、商品の特徴や便利さを「テレビマンが思わずみんなに伝えたくなる、視聴者にとって有益な情報」として提供する工夫が必要なのです。

そして、その工夫のために押さえるべきこととして、石田さんは以下の「テレビが飛びつく4原則」を示しています。

テレビが飛びつく4原則
「なぜ、今か?」がわかる
公共性がある
「なぜ、それか?」がわかる
画(映像)になる
(104ページ)

非常に明快な原則ですが、興味がある方はぜひ本書をご覧ください。本書にはまた、この4原則を取り入れたプレスリリースのつくり方や届け方、取材時や放送後の対応などについても実践的に書かれています。

「テレビはハードルが高い」と尻込みすることはありません。テレビマンのメンタリティ、モチベーションを理解していれば、誰にでもチャンスは訪れます。本書を手引きに積極的に情報提供して、あなたの商品をテレビに取り上げてもらいましょう!

(提供:日本実業出版社)

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