金融庁の報告書で「老後に資産2,000万円が必要」と公表されたことは、社会の大きな不安を煽る結果となり、政府が慌てて火消しに奔走することになった。国民の間で老後資金の不安は解消されていないのが現状だ。将来に備えるために、副業を検討している方もいるだろう。本業のかたわら、個人事業主の顔を持つメリットについてみていこう。
副業の確定申告、経費を除いて20万円以下は不要
人生100年時代を迎えつつある中で、セカンドキャリアに向けての副業に注目が集まっている。インターネット上で受発注をするクラウドワークなどのプラットフォームが発達し、老後に備えた資金準備の選択肢として副業スタートを後押しする環境は徐々に整ってきている。副業に関わる具体的な手続きを知っていくことで、そのハードルは決して高くないことが分かるだろう。
プラスアルファの収入がもたらされた時に、税金の負担が増えてしまうかどうかは気になるところ。会社員で本業の給与に対して源泉徴収がされているケースにおいては、副業で稼いだ所得から経費を差し引いた額が20万円以下であれば確定申告は不要、さらなる税負担も発生しない。この場合、税務の手続きは不要となるが、副業そのものを禁止している会社もあるため、その点には注意が必要だ。
副業の収入が20万円を超えると想定される場合には、控除のメリットを受けられる手続きを検討するのが得策である。具体的には、まず、開業届けを事業開始から1ヵ月以内に管轄の税務署に提出する。開業届自体には、特段の提出の義務付けや未提出に対する罰則はないが、この提出によって税の軽減メリットが得られる青色申告が利用できるようになる。
青色申告では、所得を得るための取引を簿記の原則に沿って記帳し、それに基づき貸借対照表と損益計算書を確定申告書とともに提出する。これによって、所得から最高で65万円を控除することができ、各種税金の節税に繋がる。簿記の記帳など、会社員にとっては初めてのことで煩わしい印象を受けるかもしれないが、会計ソフトを使用すれば簡単に作成することができる。
確定申告はオンラインで完結 無料相談窓口も充実
副業をスタートして、はじめは週末などの空き時間を利用していたが、徐々に軌道に乗り、ある程度の収入が得られるようになったならば確定申告が必要になる。目安は上述のように、経費を除いて20万円以上の所得があった場合となる。
そのため、所得を得るのにかかった経費の領収書はきちんと保管しておかなければならない。会社員の場合、医療費の控除や住宅ローン控除などの手続きがなければ、税金は給与から自動的に差し引かれているため確定申告の必要がない人がほとんどだ。会社員にはあまり馴染みのない確定申告だが、確定申告手続きの簡素化を図るため国税庁が2004年からe-Tax (イータックス:国税電子申告・納税システム) 制度を導入、オンラインでも手続きができるようになっている。
無料の確定申告ソフトも充実してきている。例えば、こうした会計ソフトと経費を支払ったクレジットカードを連携させると、自動的に帳簿をつけてくれる機能など、個人事業主としての事務作業を軽減するサポートにもなる。
オンラインで簡単に手続きができたとしても、正確に確定申告ができているのか心配な人は、確定申告のシーズンに開催される各税務署や税理士による無料相談を利用してみるとよいだろう。これを機会に豊かな老後生活を目指して、気になっていた副業がある人は第一歩を踏み出してみてはどうだろうか。(提供:大和ネクスト銀行)
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