(本記事は、高橋慶行氏の著書『12万人が学んだ 投資1年目の教科書』かんき出版の中から一部を抜粋・編集しています)

トレンドと波動を理解しよう

トレンド
(画像=Vintage Tone/Shutterstock.com)

この項目の3つのポイント
1 波動を理解しよう。
2 波動を利益に変えよう。
3 トレンドと波動の違いを知ろう。

投資1年目の方に、覚えておいていただきたい用語が2つあります。

その用語というものが「トレンド」と「波動」です。

**トレンドという言葉は、方向性を示す言葉Vで、投資をしている人たちの間では「上昇トレンド」とか「下降トレンド」などという表現で使われます。

一方、「波動」は、価格変動が作る、うねりです。価格は波打ちながら上がり、波打ちながら下がるという特性があり、まるで「波の動き」のようなものなので、波動と言います。波動には、上げ波動、下げ波動の2種類があります。

また、トレンドと波動についてですが、どんなに大きい波動であっても、ローソク足数百本になることはあり得ません。一方、トレンドはいくつもの波動を伴いながら、数千本続くこともあります。

トレンドという概念は、大局的な流れを示す意味合いであり、波動はそのトレンドの中に生じる、価格の上げ下げのうねりを示しています。

3-1
(画像=『12万人が学んだ 投資1年目の教科書』より)

上の図をご覧ください。イメージを持っていただけると思います。

上の図で、大局の流れとしては、下降トレンドが続き、レンジ相場に突入したようになっておりますが、下降トレンドの中にも上がり下がりのうねりが生じています。この価格の上げ下げのうねりが、波動というイメージをお持ちいただければ、大丈夫です。

そして、投資1年目の投資家がトレードをするにあたって、利益を狙うには、波動を利益に変えるという心構えがとても大切です。

3-2
(画像=『12万人が学んだ 投資1年目の教科書』より)

なお、波動を利益に変えるという意識を持ちつつも、トレンドを把握しておくことはとても大切なことです。なぜかというと、上の図のように、下げトレンドが発生している際中には、価格の上げ下げがあるとはいえども、「下げのほうが大きい」という特徴が見てわかると思います。

それがわかると、下げトレンドの際中では、上げ幅を取りに行くよりも下げ幅を取りに行くほうが収益率が高いわけですから、上げ波動から下げ波動に転じたことを確認してエントリーをする等の手法が有効です。

少しだけ難しい話をします。投資にはさまざまな目的を持った投資家がいます。たとえば為替の場合を考えてみましょう。トヨタのような世界企業が米国で売り上げたドルは、為替を通じて円になります。このとき、個人トレーダーのように、利幅を狙ってドルに換えたり、円に換えたりすることはありません。

貿易会社なども同じです。そして、これを「実需」と言います。また、保険や年金の運用などのように、予算が決まっていて、予算のとおりに他通貨を買い、長期で保有する投資家もいます。このような投資家が、大きなトレンドを作ります。各国の政治政策や金利の動き、大統領などの発表は、この大きなトレンドを変化させる要因になるので、教養として覚えておくべきものとなります。

また一方では、利幅を狙ってトレードをする投資銀行、プロディーラーなどが市場に参加しています。彼らのことを「投機筋」と呼びます。投機筋は、基本的には個人ではなくて、投資銀行などに雇われているので、巨額な資金を収益目的で活用することができます。しかし、「今月の目標」や「今期の目標」など、勤めている会社に課された収益目標があるので、「今月の利益は今月中に決着を付けなくてはならない」という時間の制限を持っています。

このような時間の制限がある投機筋が市場で売買をすると、上げ下げといううねりを作ります。なぜならば、注文した銘柄や通貨は必ず、ある程度の短期間で決済をするからです。急激に下がって、あっという間に急激に価格が戻ったりするのは、基本的には投機筋の売買の結果によるものです。

トレンドを作るのは、実需や長期投資家の動向であり、波動は時間制限のある売買を行う投機資金の動向によって生じるものです。個人投資家が投資をして損をするときには必ず、波動を無視して何かほかのことを根拠にして売買をするためにやられるか、中長期的な大局を示すトレンドを無視してポジション(銘柄や通貨を保有している状態)を持ってしまうか、ということにありますので、トレンドをしっかり把握して、波動に沿って売買をしていく基本姿勢を持つという心得が大切です。

移動平均線でトレンドを見よう

この項目の3つのポイント
1 チャート分析の中でも移動平均線を覚えるべき。
2 安定して勝つにはトレンド相場を制覇しよう。
3 トレンド相場を制覇するために移動平均線を使おう。

私は仕事がら、世界最高峰のディーラーだった人、現役の個人投資家など多くのプロフェッショナルと話をする機会があります。彼らの話を聞いていると、経験が長くなればなるほど、そして勝ち続けている人ほど、最後はシンプルな手法に立ち返る傾向があるようです。そのシンプルな手法の代表例が移動平均線です。

株式投資をするにも、FXをするにも、仮想通貨をするにも、安い価格で買って、高く売れば儲けになるのは共通です。とてもシンプルなことなのですが、この後価格が上がるのかどうかを見抜くということが難しくて、プロを含め、多くの投資家は苦労をします。

ここで思い出していただきたいのが前項で説明した「トレンド」という言葉です。トレンドには、上昇トレンドと下降トレンドというものがあります。トレンドには「一度発生したら継続する」という特徴があります。もちろん、延々に続くトレンドはありませんが、一度発生したら、「ある程度は続く」ということはとても大切な真実です。

そして、移動平均線の第1の目的は、トレンドをわかりやすくすることです。そして、トレンドの発生を見抜いて利益を得る方法をしっかりと習得することが、初心者が投資において安定して利益を上げるための大切な鍵です。そのためにはまず移動平均線を読めるようにならなければなりません。「移動平均線」という用語は、一般生活で触れることはないと思われますが、内容はそれほど難しくありません。

移動平均線の「平均」は、小学校で習ったあの「平均」です。何の平均かといえば、ローソク足の終値の平均です。たとえば、5日移動平均線といえば、その銘柄の今現在を含めた5日間のローソク足の終値の平均を結び続けた線ということです。代表的な5日移動平均線、20日移動平均線、50日移動平均線を表示させていただきましたが、日数が大きくなればなるほど、移動平均線が緩やかになる傾向がわかると思います。

3-3
(画像=『12万人が学んだ 投資1年目の教科書』より)
3-4
(画像=『12万人が学んだ 投資1年目の教科書』より)
3-5
(画像=『12万人が学んだ 投資1年目の教科書』より)

グラフを見ればわかるように、ローソク足は時々乱高下することがあるので、それだけではトレンドがわかりにくくなります。移動平均線を描くことで、長期的なトレンドがわかりやすくなります。

 12万人が学んだ 投資1年目の教科書
高橋慶行(たかはし・よしゆき)
宮城県仙台市生まれ。成蹊大学経済学部卒業。投資の学校グループ代表。株式会社ファイナンシャルインテリジェンス代表取締役。教師一家に生まれ、日本人にとって必要な教育事業を作ることを目標にして、学生時代を過ごしながら、学生起業を経験。社会人となり、リクルート社で新卒採用に関する営業を経験し、トップセールスマンとして表彰をされ、その後独立。人生を豊かにするために必要でありながら、学校では教わらない総合的な教養を提供するうえで、自らも起業経験が必要と感じ、2008年、起業。2013年10月、投資教育の必要性を強く感じ、株式会社ファイナンシャルインテリジェンスを設立し、「投資の学校」を開校。2019年現在、正しい投資教育の学習環境を用意し、累計12万人以上の一般投資家に対して、株式、FX、信用取引、オプション取引、日経225先物、米国株などの授業を提供している。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます