「階層」を合わせることが「伝わった」につながる
では、どうすれば聴き手が自分の言葉で説明できるほど「伝わった」話ができるのでしょうか。その方法は聴き手が今どの「階層」にいるのかを知ることです。
この「階層」とは「前提知識」のことです。言い換えると、その個人があるトピックスに対して持っている知識の多さと興味の深さのことです。この「階層」が自分と聴き手で離れているほど、話が伝わりません。だから、あなたから聴き手の「階層」に近づいて伝えることが必要です。
「伝わったつもり」を解消する方法は、相手の「前提知識」を基にどこから話すか、どこを省くかを決めてから話すことに尽きます。
そもそも営業の場では「階層」が広がりがち
「伝わったつもり」を解消するためには、自分の「前提知識」を基にした納得感で情報を伝えることをやめればよいのですが、なかなかできません。では、なぜそれは難しいのでしょうか。営業で自社商品を取引先に紹介するような場合、次の流れで「伝わったつもり」が発生します。
1 自社商品なので、基本的に自分が上の「階層」にいる。
2 話を聴く取引先である聴き手の「階層」が、事前にどこか分からないことが多い。
3 自分は何度も同じ説明をしているので、聴き手の「階層」も自分と同じ、もしくは近いと錯覚する。
4 いつの間にか、工夫などせず一番自分にとってスムーズで楽な自分の「階層」で話を始めてしまう。
このように、最初から階層が違う上に、それに気づかず聴き手との階層がさらに広がっていってしまうというケースが非常に多いのです。営業のように自分の方が情報を多く持っているときに限らず、自分にとって興味がある、慣れ親しんでいる、身近である、自信があることを話すときは特に注意が必要です。