要旨
- 米国の1-3月期の実質GDP成長率(前期比年率)は▲5.0%(前期:+2.1%)と、3月以降に実施された外出制限などの感染対策に伴う経済活動の急減速により、金融危機時の08年10-12月期(同▲8.4%)以来の落ち込みとなった。
- 多くの米国経済指標は、3月から経済状況が大幅な悪化に転じ、4月は戦後最悪の景気減速となった可能性を示唆している。もっとも、段階的な経済活動の再開に伴い、米経済は5月に底打ちした可能性が高い。実質GDP成長率は、4-6月期に前期比年率▲40%超の戦後最大の落ち込みとなった後、7-9月期からプラス成長に転換すると予想。
- 20年以降の米経済見通しは、新型コロナの感染動向や感染対策・経済対策の動向に大きく左右されるため非常に不透明。当研究所は段階的に経済活動が再開される前提で20年の成長率は前年比▲7.7%、21年は+4.1%を予想する。GDPが新型コロナ感染拡大前の水準に回復するのは22年以降になる見通し。
- 金融政策は、インフレや雇用の政策目標達成時期が見通せないことから、予測期間(21年末まで)を通じて実質ゼロ金利や量的緩和政策を継続すると予想。一方、金融市場の流動性が低下する局面では資金供給ファシリティ―を拡充しよう。
- 上記見通しに対するリスクは新型コロナに加えて、米国内政治。11月の大統領選挙で民衆党のバイデン候補が勝利する場合には、経済政策の予見可能性が低下することで、株式市場の不安定化し、消費者や企業のセンチメントの悪化を通じて米経済に影響しよう。