新型コロナウイルスの感染拡大は、経済活動に大きな影響を与え、株価を乱高下させた。これに伴い、安定資産としての不動産投資に注目が集まっているという。コロナ禍における不動産市況の動きは、どのようなものだったのだろうか。
年収2,000万を超える「新富裕層」に向けて不動産を活用した資産形成の提案を行っているプラン・ドゥのオーナーコンサルティングチームのシニアマネージャーを務める河合氏が解説する。
2011年新卒でプラン・ドゥに入社以来、中古RC造一棟モノの収益マンションに特化し、オーナー様の資産コンサルティングを始め、賃貸募集や、管理まで幅広く業務を経験。
【取得資格】
宅地建物取引士、上級相続支援コンサルタント、賃貸不動産経営管理士、マンション管理士、競売不動産取扱主任者など
9月までは「消費税還付」にあわせた売買需要があった
9月までの話でいうと、「消費税還付」というニーズありました。
不動産売買においては、土地は消費税非課税ですが建物は消費税の対象となります。消費税の計算上では、支払った消費税に課税売上割合をかけた金額が実際に控除できる消費税額となります。
2020年度の税制改正によって、消費税還付を受ける方法がかなり制限されることになりましたが2020年9月末までに賃貸住宅用建物を取得した場合、一定の条件を満たすと消費税還付を受けることができたのです。そのため、これに合わせた売買需要はありました。
私が担当した案件ですと、板橋区の築浅S造物件を税理士の方に購入していただいたという事例がありました。また、弊社が7年ぐらい管理している1億円程度の市川市の築浅アパートを利益確定のために売却したいというオーナー様もいらっしゃいました。こちらのオーナー様は、売却する一方で新たに購入したいという意向もあったので、弊社が推奨している郊外、具体的には松戸の築古RCを購入していただきました。
また、弊社のターゲットである年収2,000万円以上の新富裕層の方々の中には、「コロナ禍と関係なく常に自分の資産運用先として適切な物件を探している」という方もいらっしゃいます。
最近、そうした方が購入した3億円程度の品川の物件は、平成2年に建てられた一棟RCで相場よりもやや安い賃料で満室稼働している状態でした。この案件では、とある地銀からほぼフルローンに近い条件で融資を受けることができました。
こうした条件で融資を受けることができるのは、物件の担保価値もありますが、やはり個人の属性も大きいと思います。物件の担保価値は販売価格より低く見られているので、その差額をお客様の属性でカバーすることができるというのが、新富裕層の強みなのではないでしょうか。
「不動産を経営する」という理念に共感して購入してもらう
これまで、年収700~800万円程度のサラリーマン層の方々が実際にはほとんどないにもかかわらず、エビデンスを改ざんすることによって、あたかも豊富に自己資金があるように見せかけるという手法が流行したこともありました。こうした案件では、本来融資を受けるべきではない人たちが、強引に融資を受けることになるので、破綻するリスクが高まるのは当然です。
これに対して現在は、「買うべき人にとっては良い条件で良い物件が買える」という状態だと捉えることができるでしょう。
弊社は物件の管理も行っているのですが、最近は、「この物件は売却するけれど御社との関係性が途絶えてしまうのは惜しいので、新たに購入する物件の紹介、管理もプラン・ドゥにお願いしたい」というお声をいただくこともあり、非常にありがたく感じています。
不動産投資において、物件購入はゴールではなく賃貸経営のスタートです。長期的・経営者視点を持たず、目先の損得で物事を判断し、「安ければいい」と短絡的に考えていると、大局を見誤ります。
「不動産を使って目先のキャッシュを増やすというより、資産価値のある物件を長期保有して安定収益でローンを返済して、優良な資産形成をしていくー」という我々の理念に共感して、物件を購入してくださる方が増えている現状は、非常に好ましい状況と言えるでしょう。そして、新富裕層の方々にとっても歓迎するべき状況なのではないでしょうか。