本記事は、藤原正明氏の著書『収益性と節税を最大化させる不動産投資の成功法則』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています

成功する人がいる一方、失敗する人もいる

失敗
(画像=xiangtao/PIXTA)

融資利用でレバレッジを掛け自己資金効率を劇的に高められる一方、さまざまなリスクに対して事前に対策を打てるため、資産運用の手段として不動産投資は株式やFXに比べてローリスクだといわれています。

しかし、このような対策は、適切な投資判断を前提としていることを忘れてはいけません。間違った購入の仕方をすれば、ハイリスクに豹変します。ローリスクという言葉に惑わされ、安易に始めてしまう方ほど失敗するといってもいいでしょう。ここでは、実際に初心者の方が失敗してしまった事例をいくつかご紹介します。

失敗例(1)同僚からの勧めで新築区分 ワンルームマンションを購入
Aさん 45歳 会社員(システム会社勤務) 千葉県在住 年収800万円

Aさんは東京都内のシステム会社に勤める会社員です。将来への漠然とした不安から何か投資・資産運用をしたいと考えていたところ、ある時、Aさんの同僚が不動産投資を始めたという話をしてきました。耳を傾けると、「節税ができる」、「ローンが終われば賃料収入はすべて自分のものになる」、「資産が手に入る」、「将来の私的年金になる」、「ローンを借りると死亡保険とがん保険もついてくる」といったメリットがあるということ。同僚が購入した不動産会社を紹介するというので、不動産会社の営業マンとホテルのラウンジで面会することになりました。

物件は東京都内の新築区分ワンルームマンション1室で、営業マンからは、具体的な物件の紹介とお金のシミュレーションの説明を受けました。「毎月1万円程度の負担を45年間続ければ、最終的には無借金で東京都内に不動産を持つことができます。当社で賃料保証するので空室リスクもなく、不動産投資というより私的年金という位置づけでリスクがありません。生命保険とがん保険もついてくるので、今加入している保険を解約でき節約にもなります。また毎年確定申告をすることで税金の一部を取り戻すことができます。やらない手はありません」

メリットしかないように感じたこと、同僚もやっているということから、Aさんは物件を購入することにしました。融資を受けたので、自己資金の手出しは数十万円で済みました。

購入後は不動産会社からの保証賃料のみでは、支出(金融機関への返済、マンションの管理費・修繕積立金)を賄うことができず、1万円以上のマイナス(手出し)となりました。これが事前に説明を受けていた「毎月1万円程度の負担」ということです。さらには毎年固定資産税・都市計画税の納付や火災保険料の支払いもあったので、負担はそれ以上となっています。

その後営業マンから提案を受け、2室を追加で購入し、全体で毎月4万円の手出しとなりました。Aさんにとって軽い負担ではありませんでしたが、3つの新築区分ワンルームマンションで将来のお金の不安は解消されると期待しての決断でした。

ところが物件購入から4年後、マンション管理会社より修繕積立金の値上げの案内が届きました。物件購入時に説明をなんとなく受けた長期修繕計画には、数年ごとに修繕積立金が上がっていくことが書かれていたのです。さらに、賃料保証をしていた不動産会社からは、保証賃料を10%下げてほしいという減額交渉が……。「話が違う!」と突っぱねたものの、賃料保証の契約書には、「4年後以降は2年に一度賃料の見直しが入る旨の内容の記載がある」と不動産会社は強気の交渉をしてきたので、結局その条件を飲むことにしました。

他の2室についても同様の話が出てきたため、Aさんの手出しは7万円近くまで増えました。これだけ膨れ上がると家計にも大きく影響を及ぼし、奥様からは不安と不満が噴出しました。

Aさんは状況を一度リセットしようと物件の売却を試みますが、不動産会社から出てくる査定金額は購入当初の価格から2割近く低く、ローン残高よりも低いため、足りない部分は貯金から支払わなければならず、その貯金もなかったため、売るに売れない状態です。

Aさんは毎月の手出しに耐えながら、ローン返済を減らす道を取ることにしましたが、今後さらなる保証賃料減額の話や修繕積立金値上げの話が来ないか、不安の日々を送っています。

失敗例(2)月20万円の副収入という広告を信じ、中古区分ワンルームマンションを購入
Bさん40歳 公務員 既婚(奥様、お子様2人) 大阪市在住 年収900万円

Bさんには2人のお子様(4歳、1歳)がいて、住宅ローン(借入金額3,000万円)があります。ご自身の定年時期を鑑みると、お子様達の将来の教育費負担に不安を覚え、何か対策をしておきたいと考えていました。

公務員であるBさんは服務規程があるため、副業をやるわけにもいかず、何か投資をやってみようという考えに至りました。そんななか、インターネットで頻繁に目にしたのが、不動産投資を勧める広告です。「会社員でも月20万円の副収入が得られる! マンション投資術」などと謳った内容で、Bさんは一度詳しく話を聞いてみようと考え、不動産会社主催のセミナーに参加したのです。

セミナーでは、「不動産投資は立地で決まる」ということが強調され、「利回りを求めるなら東京の中古区分ワンルームマンションがよい」という趣旨でした。投資金額も一棟物件に比べ少額で済むのでリスクが小さく、安心して始められるというのもセールスポイントでした。

セミナー後には相談会が行われ、営業担当者からも積極的な提案がありました。

「公務員の安定した収入背景を利用して、東京都内の中古区分ワンルームマンションを3戸持つことで収益が安定します。給料の一部を繰上返済に充てると早期完済ができ、将来の私的年金にもなりますし、将来の教育費も捻出できます」

面談の後半には、具体的な物件の提案があり、東京都内の中古区分ワンルームマンション(金額2,500万円、表面利回り4.5%)を勧められました。セミナーおよび営業担当者の話を信じ、提案通りまずは1戸を購入することにしました。実際に賃料が自分の口座に入ってきた時は、これでお金の悩みを解決できるかもとワクワクしたとのことです。

その後、不動産会社から追加の物件紹介があり、同規模の物件を2戸追加で購入しました。合計総投資額は7,500万円を超え、購入資金は大部分を融資で賄いました。

実際の収支は、賃料収入から管理費・修繕積立金・賃貸管理会社に支払う管理手数料、ローン返済を引くと、1戸あたり1,700円ほどの手取り(3戸合計約5,000円)。

しかし、固定資産税・都市計画税の話はセミナーおよび購入前にあいまいな説明しかなく、その分を支払えば、手取りはほぼゼロです。確定申告によって、不動産所得がマイナスになり給与所得と損益通算することで数万円の税金還付があったことがせめてもの救いでした。それでも当初の思惑とは異なる結果であり、きちんと説明してくれなかったという印象をBさんはお持ちです。

その後、毎月の手取り金額を増やしたいという思いが強くなり、不動産投資について勉強し、他の不動産会社にも相談しました。しかし、どこに行っても新たな融資は難しいという話ばかりを聞かされ、Bさんはここで初めて「融資の枠」を使い切ってしまったと知ります。

新たな物件購入ができない状況で、中古区分ワンルームマンションに退去が発生しました。幸い2カ月で新たな入居者は見つかりましたが、その間は毎月8万円近く持ち出しが発生し、Bさんは貯金を切り崩し何とか耐えました。奥様からは責められるし、投資したことを後悔しています。

失敗例(3)ポータルサイトで利回りが高いと判断し、新築一棟アパートを購入
Cさん35歳 会社員(メーカー勤務) 既婚(奥様、お子様1人) 埼玉県在住 年収800万円

Cさんは大手メーカーに勤務する会社員です。昨年結婚しお子様が誕生したのを機に、家族のために将来のお金のことを考えるようになりました。以前から株式投資に取り組んでいましたが、儲かる時もあれば損する時もあり、精神的によくありません。安定性を重視したいと、他の投資や副業などを検討していました。

そんなことを思いながらテレビを観ていた時、アパート経営を推奨するCMが流れて、Cさんは「これだ!」と直感で感じ、不動産投資について書籍やインターネットで情報収集し、不動産会社が主催するセミナーにもいくつか参加しました。分かったのは、安定的な手取り収入を得るには一棟物件、それも修繕リスクなどがない新築がよいということです。その後、収益物件ポータルサイトで見つけた物件を、関東圏で手広く事業を展開している不動産会社から購入しました。

物件は埼玉県内にある、単身者向け8戸の新築木造アパートでした。収益物件の売り物件情報が載っているポータルサイトには、中古物件は利回り8%台が多いなかで、この物件は新築でありながら利回りが7.5%と物件資料に記載があったのが決め手です。融資は提携ローンを紹介され、自己資金500万円、金利2.5%、期間35年の借入をすることができました。

物件が完成し、賃貸経営がスタートしましたが「手残りが少ない気がする」というのがCさんの感想です。物件金額と購入諸費用合わせて1億円程度に対し、年間の手残りが50万円強の状態です(所得税・住民税控除前)。Cさんは運用開始後も書籍やセミナーで情報収集をしたり、勉強を続けていました。そこで分かったことは、利回りの正しい計算方法です。表面利回りはあくまで参考値でしかなく、実際は他の利回り基準があること、そして不動産会社や建築会社が提示する表面利回りには意図的な数字の罠が仕込まれているケースが多々あるということでした。

そこで計算をし直したところ、この物件の本当の利回りは7.5%ではなく、4.5%だったのです。Cさんは後悔してもしきれない思いですが、ご自身の勉強不足ととらえ、今では新たな物件の購入に向けて情報収集に励んでいます。

収益性と節税を最大化させる不動産投資の成功法則
藤原正明(ふじわら・まさあき)
大和財託株式会社 代表取締役CEO。1980年生まれ、岩手県出身。三井不動産レジデンシャル株式会社で分譲マンション開発に携わり、その後関東圏の不動産会社で収益不動産の売買・管理の実務経験を積む。2013年に大和財託株式会社を設立。収益不動産を活用した資産運用コンサルティング事業を関東・関西で展開。全国の投資家や土地オーナーの悩みを解決し、絶大な支持を得ている。著書に『中小企業経営者こそ収益不動産に投資しなさい』、『収益性と相続税対策を両立する土地活用の成功法則』など。

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