株式投資では、10万円以下で買える銘柄もたくさんあります。業績や配当利回り、株主優待など、銘柄を選ぶ際の切り口はさまざまですが、証券会社が提供するスクリーニング機能を使えば簡単に銘柄を選定できます。あなたの投資軸にぴったりの銘柄を見つけ出す、スクリーニングツールの使い方を覚えていきましょう。
目次
株式投資は10万円以下で始められる!
株式投資というと多額の投資資金が必要になるイメージがありますが、決してそのようなことはありません。数万円で購入できる銘柄も多く、10万円以下の元手でも始めることができます。
株価が1,000円未満なら10万円投資のターゲット銘柄となる
株式投資では、株を購入する際の単位が決まっています。なかには100株未満で取引が行われるミニ株(単元未満株)と呼ばれる株式もありますが、一般的には100株単位で取引されるので、「100株×株価」が株を買う際に必要な資金額です。
たとえば2020年11月6日時点の株価を確認すると、ヤマダホールディングス(9831)は507円、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は426.8円でした。どちらも取引単位は100株であり、100株購入するために必要な金額はそれぞれ5万700円、4万2,680円です。知名度が高いヤマダ電機や三菱UFJ銀行の株であっても、10万円以下の資金で買えることがわかります。
国内の株式市場で取引できる銘柄は約4,000あり、そのうち10万円以下で購入できる銘柄は1,000以上。10万円以下で株式投資を始める場合でも対象となる銘柄は非常に多いため、そのなかからどのような基準で銘柄を選定するかが問題になります。
利益を上げられる銘柄を見つけ出すためにも、まずは自分に合った銘柄選定ルールを決めなければなりません。
投資の切り口はさまざま、10万円で投資できるいろいろな切り口の銘柄を紹介
今後株価が上昇しそうな銘柄を選定するための分析手法には、大きく分けてテクニカル分析とファンダメンタル分析があります。
テクニカル分析は株価チャートをベースに分析する手法で、移動平均線やローソク足などを使って今後の値動きを予測します。一方、ファンダメンタル分析は企業の業績そのものに着目した分析手法で、株価を1株当たり純利益で割った値であるPERといった指標を用います。
株式投資で利益を得るには、テクニカル分析やファンダメンタル分析によって株価の上昇を狙う方法だけではありません。
たとえば配当金や株主優待を目的に株を購入するケースでは、配当利回りや総合利回りに着目して銘柄を決めることになります。配当利回りは「配当金額を株価で割って100を掛けた値」で、総合利回りは「値上がり益や配当金、株主優待などの収益すべてを合計したものを株価で割り、100を掛けた値」です。つまり、「株の購入に充てた金額に対してどれだけ収益が見込めるのか」という切り口で銘柄を選定します。
- 配当利回り=1株あたりの配当金額(※年額)÷1株購入価額×100
- 総合利回り=年間の総合収益÷株価×100
このように銘柄選定の切り口はいろいろあり、どの方法が合うかによって違うので、一概にどれが良いとはいえません。そのため、まずはどのような切り口で購入銘柄を選ぶのかを決める必要があります。
そこで、複数の条件を組み合わせて銘柄を選定する方法をいくつか紹介します。証券会社に口座を持っている人は、証券会社が提供するアプリやスクリーニング機能を使って、自分で実際に条件を組み合わせて銘柄を抽出してみてください。
※以下で紹介する銘柄は、マネックス証券のスクリーニング機能を使って条件に一致したものです。当記事で紹介する銘柄を購入した場合に利益が出ることを保証するものではありません。投資判断は各自の責任のもとで行うようにしてください。
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10万円以下で買える好業績&高配当株5選
まずは、マネックス証券のスクリーニング機能を使って以下の3つの条件で銘柄を抽出しました。(データは2020年11月6日時点)
(1)最低投資金額10万円以下
(2)配当利回り(予想)5%以上
(3)今期経常利益が10%以上の増益見込み
この条件に該当する銘柄のうち、特に注目の銘柄5例を紹介します。業績が好調で今後も安定した高配当を期待できる銘柄を見ていきましょう。
ENEOSホールディングス(5020)
- 2020年11月6日終値:363.3円
- 最低投資額:3万6,330円
- 配当利回り(予想):6.10%
- 経常利益(前期比・予想):162.61%
ENEOSホールディングスは、国内の石油元売り企業です。2017年に東燃ゼネラルと経営統合し、現在は国内で高いシェアを誇っています。予想配当利回りが高く、注目の銘柄となります。
藤商事(6257)
- 2020年11月6日終値:726円
- 最低投資額:7万2,600円
- 配当利回り(予想):6.90%
- 経常利益(前期比・予想):56.12%
藤商事は遊技機のメーカーで、2018年度の販売台数はパチンコ遊技機で市場シェア4.9%(業界8位)、パチスロ遊技機は市場シェア2.8%(業界10位)です。上記のとおり、配当利回りが高くなっています。
新日本建物(8893)
- 2020年11月6日終値:342円
- 最低投資額:3万4,200円
- 配当利回り(予想):6.41%
- 経常利益(前期比・予想):110.19%
新日本建物は、首都圏でマンション事業などを展開している会社です。戸建事業や資産運用型アパート事業など、幅広い分野を手掛けています。
VTホールディングス(7593)
- 2020年11月6日終値:374円
- 最低投資額:3万7,400円
- 配当利回り(予想):5.32%
- 経常利益(前期比・予想):117.11%
VTホールディングスは、ホンダ・日産などの新車ディーラーを中心とした自動車ディーラーグループを統括する持株会社です。M&Aによって規模を拡大し、現在では国内有数の自動車ディーラーグループに成長しています。
エヌアイシ・オートテック(5742)
- 2020年11月6日終値:801円
- 最低投資額:8万100円
- 配当利回り(予想):5.09%
- 経常利益(前期比・予想):248.86%
エヌアイシ・オートテックは、アルミフレームなどを製造しているアルミ製部材メーカーです。クリーンブース関連やFA装置も取り扱っています。
10万円以下で買える東証一部の好業績銘柄
続いて、マネックス証券のスクリーニング機能を使って以下の5つの条件で銘柄を抽出しました。
(1)最低投資金額10万円以下
(2)今期経常利益20%以上増益見込み
(3)予想PERが10倍以下
(4)時価総額500億円以上
(5)東証一部
PERは株価を1株当たり純利益で割った値で、現在の株価がその企業の利益水準に対して割高なのか割安なのかを判断するために使います。日本企業のPERは15~20倍とされ、10倍以下だと割安と判断できます。ある程度企業規模が大きく、増益が見込まれ、PERが低く割安な銘柄を見ていきましょう。
なお、社会状況により企業業績が急激に変化する可能性があるので、投資判断は最新情報を確認した上で行うようにしてください。
JFEホールディングス(5411)
- 2020年11月6日終値:801円
- 最低投資額:8万100円
- 経常利益(前期比・予想):46.13%
- 時価総額:4,694.3億円
- PER(予想):-4.40%
JFEホールディングスは、粗鋼生産国内2位・世界10位台のJFEスチールが中核をなす持株会社です。商事やエンジニアリングも手掛けています。ただし、鉄鋼需要が落ち込んだことなどが原因で、株価収益率を示すPERはマイナスとなっています。
フジクラ(5803)
- 2020年11月6日終値:382円
- 最低投資額:3万8,200円
- 経常利益(前期比・予想):242.99%
- 時価総額:1,103.6億円
- PER(予想):-10.27%
フジクラは、フレキシブルプリント基板(FPC)に強みを持つ会社です。2020年10月まで200円台後半だった株価が、11月に大きく上昇しています。
アイフル(8515)
- 2020年11月6日終値:322円
- 最低投資額:3万2,200円
- 経常利益(前期比・予想):1,082.98%
- 時価総額:1,512.0億円
- PER(予想):8.43%
アイフルは、消費者金融大手で事業者ローンも扱っている会社です。独立系で全国に店舗を展開しています。
レオパレス21(8848)
- 2020年11月6日終値:169円
- 最低投資額:1万6,900円
- 経常利益(前期比・予想):71.93%
- 時価総額:556.7億円
- PER(予想):-5.16%
レオパレス21は、単身者向けアパートであるレオパレスの建築請負と転貸を主な事業とする会社です。2020年1月に400円前後だった株価は、現在160円前後まで下がっています。
ベルーナ(9997)
- 2020年11月6日終値:873円
- 最低投資額:8万7,300円
- 経常利益(前期比・予想):128.32%
- 時価総額:844.0億円
- PER(予想):8.87%
ベルーナは、婦人服主体のカタログ通販大手です。折り込みチラシの活用で顧客を開拓し、50代・60代の女性が顧客層の中心になっています。
10万円以下で買える総合利回り7%以上の株主優待銘柄
最後に、総合利回りが7%以上で株主優待が魅力の銘柄をいくつか紹介します。
SDエンターテイメント(4650)
- 2020年11月6日終値:392円
- 最低投資額:3万9,200円
- 優待内容:カタログ(美容商品・健康商品・自社運営施設特別割引証など)から選択
- 優待月:3月
SDエンターテイメントは、RIZAPグループに属する会社です。主にフィットネス事業と保育園事業を展開しています。
一ダイニングプロジェクト(9266)
- 2020年11月6日終値:548円
- 最低投資額:5万4,800円
- 優待内容:株主優待食事券
- 優待月:3月・9月
一家ダイニングプロジェクトは、首都圏で和食居酒屋のこだわりもん一家や博多劇場などを展開している会社です。ブライダル事業も手掛けています。
イデアインターナショナル(3140)
- 2020年11月6日終値:812円
- 最低投資額:8万1,200円
- 優待内容:RIZAPグループ商品
- 優待月:6月
イデアインターナショナルは、インテリア雑貨や旅行用品などの企画、卸・小売りを手掛ける会社です。直営店を展開しています。
一蔵(6186)
- 2020年11月6日終値:365円
- 最低投資額:3万6,500円
- 優待内容:優待券または3,000円相当のチャペルコンサート・ディナー割引券または3,000円相当の自社レストラン割引券
- 優待月:3月
一蔵は、着物の販売・レンタルの和装事業を主力とする会社です。ウェディング事業も展開し、成人式の写真撮影でも収益を上げています。
共和コーポレーション(6570)
- 2020年11月6日終値:376円
- 最低投資額:3万7,600円
- 優待内容:ギフトカードなど
- 優待月:3月
共和コーポレーションは、アミューズメント施設の運営や機器販売が主力の会社です。業界シェアはトップクラスで、長野や北陸で店舗を展開しています。
まとめ:投資のスクリーニング方法はいろいろ
株式投資では、10万円以下で購入できる銘柄が数多くあります。株価チャートの分析だけでなく、業績や配当利回り、株主優待など、さまざまな切り口で購入する銘柄を選べるのが魅力です。
ネット証券であれば、条件を指定して該当する銘柄を抽出できるスクリーニング機能が充実しています。設定できる条件の種類が豊富なので、おすすめです。口座開設は無料でできる証券会社が多いので、まずはネット証券で口座を開設して、スクリーニング機能を使ってみるとよいでしょう。
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