資産運用で株式投資を選んだ場合、銘柄選定に悩む人もいるでしょう。この銘柄選びにおいて、指標の1つになるのが「配当金」です。今回は配当金が高い銘柄とはどういうものか、実際の高配当銘柄10選などもあわせて紹介していきます。

目次

  1. 配当利回りとは?
    1. 配当利回りの計算方法
    2. 高配当とは配当利回りが高い銘柄のこと
    3. 一般的には4%以上だと高配当銘柄
  2. 高配当銘柄に投資するメリット
    1. 高配当銘柄のメリット1:株式保有中にインカムゲインが得られる
    2. 高配当銘柄のメリット2:企業業績だけを見ればいいので手間が掛からない
    3. 高配当銘柄のメリット3:いくらインカムゲインが狙えるかが読みやすい
  3. 配当金が高い銘柄に投資する注意点、デメリット
    1. 高配当銘柄への投資の注意点1:企業業績が悪化すると減配リスクがある
    2. 高配当銘柄への投資の注意点2:リターンを大きく狙えるものではない
  4. 高配当銘柄を選ぶ際の注意点
    1. 高配当銘柄選びの注意点1:企業の配当に対する方針を知る
    2. 長期的に高利回りが維持できそうな財務体質かを確認する
    3. 企業業績が安定しているかを確認する
    4. 分散投資をすることで減配リスクを回避
  5. 東証一部、時価総額上位の高配当銘柄10選
    1. 時価総額2.5兆円、配当利回り(予想)4%以上でソート
    2. ネット証券はスクリーニング機能が充実している
  6. 高配当銘柄で資産形成を

配当利回りとは?

株式投資で得られる利益は、大きく分けると3つあります。株価の値上がりによる「売却益」、企業が分配する「配当金」、企業が提供する「株主優待」です。今回紹介するのは配当金です。どうすれば配当金が高い銘柄を選べるのか、そもそもどういったものを高配当銘柄と呼ぶのかについて説明します。

配当利回りの計算方法

配当金が高い銘柄とは、投資した金額に対して配当金の割合が大きいものです。配当金は、企業が事業運営で得た利益の一部を株主に配当するものです。そのため、購入している株式によって配当金の金額が異なり、配当金を0円としている企業も多数存在しています。

2020年11月時点では東京証券取引所第一部に上場している企業だけで2,176社もあります。株価も銘柄によって異なり、公表している配当金の金額だけを見ても、その配当金が高いのかどうかわかりません。

例えば、A社は配当金を1株あたり10円、B社は1株あたり20円出しているとしましょう。一見すると、B社のほうが高いように感じますが、A社の株価は500円でB社は1,000円であればどうでしょうか。

この2社を比較するときに便利な指標が「配当利回り」です。配当利回りとは、購入したときの株価に対してどれだけ配当金を受けられるのかを表したものです。計算方法は以下となります。

▽配当利回りの計算式

配当利回り=1株あたりの年間配当金額÷購入時の株価×100

さきほどの例をこの計算方法にあてはめると、A社は2%、B社も2%となり、配当金が違っても配当利回りは同じだということがわかります。

高配当とは配当利回りが高い銘柄のこと

配当利回りの計算式では、同じ株価の場合、配当金が高いと配当利回りが上がり、配当金が低いと配当利回りが下がる仕組みです。つまり、配当利回りが高ければ、株価に対して配当金が高い=高配当であることがわかります。単純に配当金額だけを見るのではなく、配当利回りに注目することが大切です。

一般的には4%以上だと高配当銘柄

一般的には、配当利回りが4%以上ある銘柄を高配当銘柄と呼びます。

日本取引所グループが公表している株式平均利回り(2020年10月)のデータをみると、日本でもっとも大きい金融商品取引所である東京証券取引所の第一部に上場している全銘柄の単純平均利回りは、1.94%です。

そのうち配当金を分配している企業の平均利回りは2.10%となっています。第二部の場合は、単純平均利回りが2.13%で、配当金を分配している企業の平均利回りは2.37%です。このデータは、1998年1月以降から公表されています。

過去をさかのぼってみると、第一部の配当金を分配している企業の平均利回りがもっとも低いのは、2000年の0.88%、もっとも高いのは2009年の2.80%でした。第二部では、もっとも低いのは1999年の0.79%、もっとも高いのは2009年の3.41%となります。

ここで紹介したものは東京証券取引所だけのデータではありますが、過去20年以上みても平均4%以上にはなっていません。結果、配当利回りが4%以上となれば、平均以上となり高配当銘柄に分類されます。

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高配当銘柄に投資するメリット

次に配当利回りが高い銘柄に投資するメリットについて考えていきましょう。

高配当銘柄のメリット1:株式保有中にインカムゲインが得られる

株式運用では、売却益(キャピタルゲイン)を狙いにいく人もいますが、長期で運用を考えるのであればインカムゲインも同時に狙ったほうがおすすめです。インカムゲインとは、株式などの金融資産を保有している間に受け取る利益を指します。株式でいえば配当金です。

例えば、2種類の銘柄を同額で購入したとします。片方は配当金がある株式、もう一つは配当金なしの株式です。株価の値動きが同じであれば、値上がり益を狙っている間に配当金を得られたほうがインカムゲインが増えます。配当金なしの株式は、売却益しか手に入らないので、これらを比べるとトータルの利益は配当金がある株式のほうが大きくなるでしょう。

このように、寝かせている間も高い収益を上げてくれるのが高配当銘柄なのです。さらに、株価が値下がりした場合も、配当金と合わせて考えればマイナス幅を縮めてくれる可能性もあります。損を軽減するためのリスクヘッジの側面もあるでしょう。

高配当銘柄のメリット2:企業業績だけを見ればいいので手間が掛からない

株式の配当金は、簡単にいえば企業がもうけたお金の一部です。そのため、事業がうまくいき成長を続けている企業や、内部留保が潤沢にあり安定した収益を継続的に上げている企業は、配当金を出しやすいでしょう。

原則からいえば、収益を上げておらず、内部留保がないような企業は配当金が出せないことになります。つまり、企業業績を見れば無理のない配当金なのかがチェックできるので、比較的銘柄選びに手間が掛かりません。

高配当銘柄のメリット3:いくらインカムゲインが狙えるかが読みやすい

配当金が高い銘柄は、配当金の金額に大きな変動がなく、長期にわたって毎回同じくらいの配当金を分配する傾向にあります。そのため、「この株式を購入したら毎年いくらくらいのインカムゲインが狙えるか」が予測しやすいでしょう。インカムゲインの目安がわかれば、資産形成の計画が立てやすくなります。

配当金が高い銘柄に投資する注意点、デメリット

配当金が高い銘柄はメリットだけではなく、注意点、デメリットもあります。

高配当銘柄への投資の注意点1:企業業績が悪化すると減配リスクがある

株式の配当金は、購入した人に必ず分配すると契約したものではありません。分配するかどうかは、企業次第です。景気が悪くなったり企業業績が悪化すると、配当金がなくなることもあります。

前回は配当金が1株あたり30円あったものが、今回は減配され10円になったり、0円になったりする場合もあるのです。ただ、長期にわたって配当金を分配している企業であれば、業績が改善することで復配や増配する可能性もあるでしょう。

高配当銘柄への投資の注意点2:リターンを大きく狙えるものではない

株式の配当利回りは高配当といえども10%ほどです。インカムゲインだけで大きなリターンは狙えません。反対に株式の売却益は、売却金額が購入金額の2倍や3倍になったりすることで、大きな利益を得る可能性があります。ただ配当金も売却益も保証されていないので、リスクがあることを忘れないでください。

高配当銘柄を選ぶ際の注意点

配当利回りだけを見て高配当銘柄だと決めつけるのは危険です。配当利回りだけでは見えていない部分があるので、高配当銘柄を選ぶ際の注意点を紹介していきます。

高配当銘柄選びの注意点1:企業の配当に対する方針を知る

まずは企業の配当に対する考え方や配当金の割合を知る必要があるでしょう。そこで重要となってくるのが、「累進配当」と「配当性向」「総還元性向」です。

企業は株主から資金を集めるために、経営計画を掲げ今後の事業の見通しを表明しています。その資料を見ることで、配当金に関する考え方がわかります。

例えば、「株主還元は配当金を基本とする」や「機動的な自己株取得」「累進配当政策を掲げる」などの文言です。累進配当では、配当金を減らさずに安定的に分配したり増配したりします。そのため累進配当を表明すると、安定的な配当金が期待できるでしょう。

配当性向は、企業が事業運営で得た利益から、配当金をどれくらい分配しているのかを表しています。配当性向の計算式は以下のようになります。

▽配当性向の計算式

配当性向(%)=1株あたりの配当金額÷1株あたりの当期純利益×100

純利益とは、税金を引いたあとの利益をいいます。この数字が100%を超えていると、もうけた利益を全部株主に還元していることになります。

反対に配当性向が低いと、株主還元への意識が低い企業に見えるかもしれません。しかし、新興企業だと設備投資や事業拡大に費用がかかるために、内部留保して投資に回している可能性があります。将来性と株主還元を天秤にかけて考えましょう。

配当性向とあわせて知っておきたい指標が総還元性向です。総還元性向は配当性向に自社株買いを加味した指標で、配当性向と同じように、もうけからどれだけ株主に還元したのかがわかります。

自社株買いがどうして株主還元につながるのかというと、企業が発行した株式を企業自身が買って消却すれば発行済み株式数が減ります。出回っている株式が減れば、1株あたりの価値が上がり配当金が増える可能性があるのです。

長期的に高利回りが維持できそうな財務体質かを確認する

長期的に高い配当金を分配するには、財務体質が健全でなければなりません。そこで確認するものが、決算書です。上場会社は有価証券報告書の提出が義務づけられており、これを確認すればお金の流れがわかります。一見すると黒字に見える企業であっても、倒産リスクを秘めている可能性があるため、財務分析は重要です。

企業業績が安定しているかを確認する

一時的な売り上げの増加や、過去の利益を切り崩しながら経営をして配当金を分配している企業は、継続的な分配が難しくなります。そのため、配当利回りの高さのみで銘柄を決めるのは危険です。直近の決算書だけでなく、過去の決算書も合わせて分析し、配当金を支払うだけの資金力と企業業績の見込みがあるのかも判断しましょう。

またROE(自己資本利益率)で、企業が自己資本を元手にどれだけ利益をあげたのか確認する方法もあります。さらに、売上高から商品の原価を引いた売上総利益(粗利)で、その企業の商品やサービスに魅力があるのかをチェックすることもできるので、さまざまな指標を駆使して分析しましょう。

分散投資をすることで減配リスクを回避

A社の配当金が高く魅力的だからといって、A社のみに投資していると減配リスクが発生します。A社の業績が変わらず安定している場合や、業績アップしているときはいいでしょう。しかし、どの優良企業にもいえることですが、いつどんなリスクが降りかかってくるか誰にもわかりません。

業績悪化にともなって、減配するリスクはどの企業にも存在します。そのリスクを軽減するためにも、株式投資する際は、銘柄を分散して保有するようにしましょう。

東証一部、時価総額上位の高配当銘柄10選

東証一部上場の株式で、高い配当金を分配する予想がでている銘柄を10社紹介します。

時価総額2.5兆円、配当利回り(予想)4%以上でソート

今回は、大和証券のスクリーニング機能を活用して、東証一部上場、時価総額2.5兆円以上、配当利回り(予想)4%以上で検索しました。時価総額上位から順に10銘柄紹介していきます。

▽東証一部上場で時価総額2.5兆円以上、配当利回り(予想)4%以上の銘柄

銘柄 時価総額 配当利回り(予想)
日本電信電話(9432) 9兆6,583億円 4.03%
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) 6兆521億円 5.61%
ソフトバンク(9434) 6兆318億円 6.82%
武田薬品工業(4502) 5兆6,749億円 5.00%
日本たばこ産業(2914) 4兆2,540億円 7.24%
三井住友フィナンシャルグループ(8316) 4兆2,196億円 6.18%
ゆうちょ銀行(7182) 3兆9,600億円 5.68%
三菱商事(8058) 3兆7,001億円 5.38%
みずほフィナンシャルグループ(8411) 3兆5,143億円 5.41%
日本郵政(6178) 3兆4,173億円 6.58%
※本記事の情報は11月13日時点のものです。また紹介した銘柄は一例であり、当該銘柄への投資を推奨するものではありません。

ネット証券はスクリーニング機能が充実している

各証券会社のホームページでは、国内株式の銘柄検索ができます。しかしそういったサイトでは、初心者には使いこなす上で、わかりにくい場合もあるでしょう。そこでおすすめなのが、証券会社のスクリーニング機能です。口座開設すると自分専用のIDを使ってログインでき、より詳しいスクリーニングができるようになります。

特にネット証券のスクリーニング機能が充実しており、各種財務指標、市場予想にもとづいた指標、テクニカル指標など細かく銘柄を絞り込んでいくことが可能です。自分が銘柄検索で重要視しているもので、ある程度絞り込めば、銘柄選定に時間をかけずスムーズに取引できるでしょう。また、想定していなかった銘柄が見つかることもあるので、新しい発見にもつながるはずです。

高配当銘柄で資産形成を

高配当銘柄を取り入れた株式投資は、安定的な配当によって、どれだけ利益を得られるかがわかりやすいので、資産形成していくうえではメリットが大きいでしょう。ただ、1つの銘柄に集中して投資したり、高い配当金だけに目を向けると、足をすくわれる可能性もあります。

高配当銘柄に投資する際は分散投資を心がけ、企業業績や財務状況などの分析も欠かせません。また、高配当銘柄を選定する場合は、ネット証券などのスクリーニング機能を活用して銘柄を絞り込み、そこから分析していくと効率的でしょう。

執筆:山村 望愛

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