SECIモデルとは?ナレッジマネジメントを成功に導くフレームワーク
ナレッジマネジメントの考案者である野中氏は、知識経営の基礎理論として「SECIモデル」も提唱している。SECIモデルとは、「共同化・表出化・連結化・内面化」のプロセスで社内のナレッジを蓄積するフレームワークだ。
共同化(Socialization)
それぞれの従業員がもっている暗黙知を、同じ体験を通して共有するプロセス。表出化(Externalization)
文章や図などを用いて、暗黙知を形式知に変換するプロセス。連結化(Combination)
表出化で創造した形式知と、これまで蓄積してきた形式知を組み合わせるプロセス。このステップまで進めば、個々人のナレッジが会社全体の知的財産となる。内面化(Internalization)
連結化した形式知を共有し、実体験を通して従業員に浸透させるプロセス。ここまでのステップにより、従業員に新たな暗黙知が蓄積される。
上記の1~4を繰り返すと、個々人に蓄積された暗黙知が形式知に変換されるため、社内に貴重なナレッジが次々と蓄積していく。
ナレッジマネジメントを導入する手順
SECIモデルのような流れを実現するには、どのような体制を整えればよいだろうか。以下では、ナレッジマネジメントを導入する手順を解説する。
1.導入の目的を決める
一般的な経営戦略と同じく、ナレッジマネジメントも最初に導入目的を決めることが重要だ。例としては、売上や生産性のアップ、ミスの防止などが挙げられる。
また、顧客とのトラブルや品質面のばらつきなど、抱えている課題を導入目的にする方法もある。目的によってこれ以降のプロセスが変わってくるため、明確なものを設定しよう。
2.蓄積したいナレッジを整理する
次は導入目的に合わせて、蓄積したいナレッジを整理していく。たとえば、生産性のアップが目的の場合は、効率的な製造プロセスや機器の使い方などをまとめる必要がある。
顧客へのアンケートやヒアリングも活用できるため、社内にあるナレッジにこだわる必要はない。個々人がもっていない知識・スキルも含めて、目的を達成できるナレッジをひとつずつ整理しよう。
3.ナレッジマネジメントの手法を選ぶ
ここまで決まったら、導入目的や蓄積したいナレッジを踏まえて、自社に合った手法を選ぶ。前述の通り、ナレッジマネジメントは手法によって効果が変わるため、実際の導入をイメージすることが重要だ。
また、ナレッジを可視化する方法や共有方法など、具体的な流れまで考えておくことが望ましい。中心となる現場にもヒアリングなどを行いながら、慎重に計画を立てていこう。