国内におけるIPビジネスの背景と実情
近年、国内では多くの企業がIPビジネスに乗り出している。ここからは国内におけるIPビジネスの背景と実情をまとめたので、IPビジネスを検討している経営者はしっかりとチェックしていこう。
IPビジネスが注目された背景
IPビジネスが注目された背景としては、「SNS」の存在が大きい。Twitterなどが世界的に浸透した影響で、最近ではクリエイター側が作品関連の情報を頻繁に発信するようになった。
また、SNSではクリエイターと直接コミュニケーションを取ることも可能であり、作品に対する感想や応援などのコメントを残すユーザーも珍しくない。中には「こんなグッズを出して欲しい」と具体的な要望を伝えるユーザーも見られるなど、SNSの影響で作品とユーザーの距離は確実に縮まっている。
そのほか、テレビ以外のメディアが急速に発達した点も、IPビジネスが注目されている一因だろう。ネット番組や動画配信サービスなど、さまざまな形でコンテンツを発信できるようになったため、クリエイター側がアピールする手段も増えてきている。
IPビジネスの実情
では、SNSや新しいメディアが普及した影響で、IPビジネスの市場はどれくらい膨らんでいるのだろうか。一般社団法人日本動画協会が公表した「アニメ産業レポート」によると、アニメ業界の市場規模は以下のように推移している。
次は、金融庁の情報をもとに算出されたIPビジネス全体の業界ランキングを紹介しよう。
上記を見ると分かるように、特にアニメ業界の市場規模は2010年代後半(※SNSが広く普及し始めた時期)から拡大している。また、サンリオやNexToneが売上高の上位に入っていることから、キャラクターや音楽に関するIPビジネスも大きな需要を生み出していると考えられる。
成功事例から学ぶIPビジネスのポイント
IPビジネスの成功事例からは、知的財産を生み出したりリスクを抑えたりするポイントを学べる。ここからは日本国内における成功事例を2つまとめたので、これからIPビジネスを始める経営者はぜひ参考にしていこう。
【成功事例1】IPビジネスと資本業務提携を組み合わせ、海外へと進出
カードゲームなどのコンテンツ製作を手がける「ブシロード」は、自社の知的財産をアニメやゲームの製作会社に提供している。また、2017年には海外進出の足がかりを作るために、配信プラットフォームをもつシンガポールの企業「MobiClix Pte Ltd」と資本業務提携を結んだ。
この事例を見ると分かるが、知的財産を活用する方法はIPビジネスだけではない。資本業務提携などほかの経営戦略と組み合わせれば、さらに大きなビジネスチャンスをつかめる可能性がある。
IT化やグローバル化が進んだ影響で知的財産の活用方法は増えてきているため、IPビジネスの計画を立てる際には視野を広げることが重要だ。
【成功事例2】知的財産の活用事例が多いパートナー企業と契約
総合エンターテイメント企業である「KADOKAWA」は、知的財産のライセンスを購入する側の企業だ。
同社は人気キャラクターのグッズ化のほか、タイアップや舞台化、書籍化など幅広いライセンス事業を手がけている。中でも伝統工芸品と作品をコラボレーションさせた製品は、ほかではあまり見られない斬新な発想だろう。
KADOKAWAのように活用事例が多い企業を選ぶと、発案者は自分の作品をより活かしやすくなる。実際にKADOKAWAを通して新たなファン層を獲得したケースも多いため、特に知的財産のブランドや知名度を重視している方は、こういったパートナー企業を探してみよう。