本記事は、山本敏行氏、戸村光氏の著書『投資家と起業家』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています

スタートアップ起業家の条件

条件
(画像=bonbon/PIXTA)

起業したい人のうち99%はスタートアップには向いていない?

結論からいうと、起業したい人のうち99%は、そもそもスタートアップの起業家に向いていません。高学歴の方やMBA取得者もたくさんいますが、「頭のいい人=スタートアップの成功者」ではありません。

スタートアップ企業の経営はしんどいことがずっと続きます。会社が成長すればするほど、問題はさらに大きくなっていくし、理不尽なことがあちこちで起きるのです。その問題にくじけず、あきらめず、逆にそれを楽しめる人であるかが大事です。これはもはや頭の良さではなく、「それをやらなきゃいけないんだ!」という原体験や生き方の根本的なところから生まれる強い思いがないと続かないということなのです。

スタートアップ起業家の条件とは?

そういう思いを持ち続けられるのはどういう人なのか。必ずしもこれがすべてではないですが、いろいろなケースを見てきた上で、私が思うスタートアップ起業家に向いているかどうかを判断するには20歳くらいまでに次の条件に当てはまっているかどうかが1つの目安になると考えています。

  • 本気で死にたいと思った経験がある
  • 幼少期に超貧乏だった
  • いじめられていた
  • 身近で大切な人が亡くなった
  • 頭に雷が落ちるような衝撃的な体験や出会いがあった
  • 一般の人からクレイジーだといわれる

直面する問題が大きくなっていっても、それにめげずにやっていけるあきらめの悪さ。それ以上にもっとつらい体験や苦しい体験、「この事業を絶対に、何としても実現したいんだ!」という思いになれる体験を若いときにしていることが非常に大きな要素です。

スタートアップ起業家に向いていなくても、あきらめる必要はない

では、スタートアップ起業家に向いてない人はどうしたらいいか。スタートアップ起業家になれないから起業をあきらめる必要があるかというと、そうではありません。

私も含めスタートアップの起業家には足りないものだらけです。総合格闘技であるスタートアップの起業において、起業家ひとりですべてカバーすることはできないので、共同創業者となって一緒に立ち上げるという道もありますし、CTO(最高技術責任者)やCFO(最高財務責任者)などのスペシャリストとして参画する道もあります。

それでもどうしてもスタートアップの起業家になりたいということであれば、シリコンバレーに飛び込んでみてください。そもそも起業するようなタイプじゃなかった人が、シリコンバレーに行って何カ月か過ごしていると、起業することが当たり前に感じるようになります。「シリコンバレーに行くと熱病にかかる」といわれますが、これまで起業の熱病にかかってスタートアップの起業家になった方を何人も見てきました。

テキスト
山本敏行(やまもと・としゆき)
Chatwork株式会社 創業者。エンジェル投資家コミュニティ「SEVEN」のFounder。中央大学商学部在学中の2000年、留学先のロサンゼルスでEC studio(2012年にChatWork株式会社に社名変更)を創業。2012年に米国法人をシリコンバレーに設立し、自身も移住して5年間経営した後に帰国。2018年、Chatwork株式会社のCEOを共同創業者の弟に譲り、翌2019年に東証マザーズへ550億円超の時価総額で上場。現在はエンジェル投資家コミュニティ「SEVEN」に注力。著書に『自分がいなくてもうまくいく仕組み』(クロスメディア・パブリッシング)、『日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方』(SBクリエイティブ)。
戸村光(とむら・ひかる)
hackjpn 代表。高校卒業後の2013年に渡米。2015年、大学在学中にシリコンバレーでインターンシップを簡単に見つけられる「シリバレシップ」というサービスを開始し、hackjpn inc(ハックジャパン)を創業。その後、国内外のスタートアップ企業や投資家を評価するサービス「datavase.io」をリリース。 大手企業から政府機関、スタートアップまでおよそ 2,000社に導入されている。また、Forbes JAPAN official columnist、松竹芸能文化人でもある。

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