4回に渡って太陽投資に関するさまざまな情報をお届けしてきた。投資家によって年収、資産、家族構成、目標、ライフスタイル、知識などが異なるため、一概に「太陽光投資が良い、悪い」を論じることはできないが、「安定的に資産運用をしていきたい高所得者」のニーズに合致する運用商品と言えるのではないだろうか。【特集:太陽光投資の今】の最終回となる第5回は、高所得者と太陽光投資の親和性の高さについて見ていこう。
第4回「太陽光投資vs不動産投資 両者の違いを徹底検証」に引き続き、第5回も株式会社フィット代表取締役の鈴江崇文氏に登場してもらう。株式会社フィットは東証マザーズに上場(証券コード:1436)している上場会社で、「個人参加型、持続可能エネルギー社会の実現」をビジョンに掲げて、クリーンエネルギー事業やスマートホーム事業を手がけている。太陽光投資に関しては、2,000万円前後の野立て物件(同社はコンパクトソーラー発電所と呼称)を個人投資家へ販売している。太陽光投資のスペシャリストと言える存在だ。
「安定的に資産運用をしていきたい高所得者」にぴったり?
高所得者と太陽光投資の親和性は高いといわれている。実際、「太陽光投資は普通のビジネスパーソンでもフルローンを引きやすいが、当社の購入層を見ると、高所得者が多いのが実態だ」(鈴江氏)という。その大きな理由は、「所得税・住民税の節税をしながら、レバレッジをかけつつ、安定的に資産運用ができること」だろう。
日本の所得税は累進課税であり、最高税率は45%だ。住民税10%を加えれば税率55%になってしまう。最高税率にはタッチしなくとも、高所得者は少なからず重税感があるだろう。そこで、高所得者の節税としてよく活用されるのが「損益通算ができる不動産所得や事業所得で赤字を作り、給与所得と“ぶつけて”(損益通算して)課税所得を少なくする方法」だ。赤字を作る手法には、主に減価償却費の計上が挙げられる。
しかし、土地は減価償却資産として認められないため、不動産投資の場合は、物件価格に占める土地値が高いほど減価償却費は少なくなる。一方、太陽光投資は一般的に地方や郊外の土地を活用するので、土地値が安く、減価償却費を多く取りやすいというわけだ。また、太陽光発電設備の法定耐用年数は17年だ。不動産投資の場合は木造住宅であっても22年なので、法定耐用年数が短い分、短期間でより多くの償却を取ることができる。減価償却の方法には定額法と定率法が存在するが、太陽光投資の場合は定率法を選ぶ人が多い。
さらに、「当社の場合は借地を活用することが多いため、物件価格のほとんど全額を償却できる。一歩踏み込んだテクニックとしては、物件内訳をID(FITに基づいた営業権)と設備に分けて償却すると、IDは発電設備ほど法定耐用年数が長くないので、より短期間で償却を取ることが可能だ」(鈴江氏)という。【特集:減価償却ハック】の第5回「封じられた中古海外不動産での所得税対策 富裕層の新しい動きは?」で紹介した「コスト・セグリゲーション」に近い方法といえるだろう。
多くの人が知らない高所得者向けの節税マル秘テクニック
不動産投資から得られる所得は不動産所得であるが、太陽光投資から得られる所得は事業所得となる。