毎年12月はふるさと納税の利用件数が増加する。年々、ふるさと納税の利用者は増えており、うかうかしていると欲しい返礼品が次々と品切れになることも考えられる。そこで、あらためてふるさと納税のプロセスとともに、高所得者ならではの返礼品の選び方や注意点を説明する。とにかく手続きはお早めに!
年内に寄付金の支払いまで終える必要がある
わずかな自己負担(2,000円)で全国各地の特産品などが味わえるふるさと納税。2021年の控除枠が年内に使い切らなければ消えてしまうこのことは、第1回 「おうち時間」増加で寄付が激増 「巣ごもり需要」で返礼品にも異変が!で説明した通り。ぜひ年内に控除枠をギリギリまで使い切りたい。ここでふるさと納税のプロセスを説明しておこう。大まかな流れは次の通りだ。
フローチャート
【ふるさと納税のプロセス】
(1)寄付金額の上限を確かめる
自己負担を2,000円に抑えるには、まず自分の税金控除の上限から割り出される寄付金額の上限を確かめる必要がある。その年の年収や家族構成などによって異なるので、総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」、「ふるさとチョイス」や「さとふる」などのふるさと納税サイトで確かめよう。
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(2)寄付先の自治体を選ぶ
寄付先の自治体は寄付者の出身地でなくてもよく、自由に、いくつでも選べる。ただし、東京都と高知県奈半利町は対象外。ふるさと納税サイトでは、返礼品のジャンルや品目、予算、寄付金の使い道で寄付先の自治体を検索できる。
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(3)寄付をする(申し込み、寄付金を支払う)
寄付先の自治体を決めたら、ふるさと納税サイトや自治体の公式サイトで寄付を申し込む。決済方法は自治体によって異なるが、クレジットカードや電子マネーを利用すれば決済がスムーズに完了する。銀行振込や郵便振替の場合は後日届く納付書で払い込む。
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(4)確定申告書かワンストップ特例申請書を提出する
寄付先の自治体から届く「寄附金受領証明書」などを添えて、翌年の確定申告で期限内(原則3月15日まで)に税務署へ確定申告書を提出する。申告書で「寄附金控除」を申告すると、所得税が還付され、翌年度の住民税が安くなる。一方、「ワンストップ特例制度」(「年収2000万円以下」で「医療費控除がない」など、もともと確定申告が必要のない給与所得者などが、「寄付先5自治体以内」などの条件を満たした場合に利用できる制度)を利用する場合は、寄付先の全自治体に2022年1月10日までにワンストップ特例申請書を送付すると、確定申告をしなくても住民税が同額分控除されて安くなる。
(1)の基となる年収は2021年の1年間の総収入のこと。年によって変動する場合は12月末に確定する金額で判断する。共働きの場合、夫と妻それぞれに上限の枠があり、別々に寄付が可能だ。ただ、ふるさと納税は主に住民税が控除される制度なので、自分で住民税を支払っていない人(専業主婦や学生)は対象外だ。
年内の寄付は12月31日23時59分まで可能だが、寄付の申し込みだけでなく、寄付金の払い込みまで完了しなければならない。銀行振込や郵便振替の場合、納付書の到着や払い込み完了(自治体の受領)までにタイムラグが発生する場合もある。また、自治体によっては納付書扱いの年内の申し込みを早めに締め切るところもある。間に合わなければ翌年の扱いになってしまうので要注意!