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(画像=ZUU online)

筆者(玉川陽介)は自らさまざまな資産に投資をする傍ら、多くの個人投資家にその投資戦略の手法や極意を聞いてきた。

日本株、FX、オプションなど様々な分野で、億を超える財をなした「億り人」が存在する。筆者が直接面識ある人数だけでも50人を超えるだろう。その投資方法は十人十色だが、それだけのサンプル数を集めて分かったのは、「億単位のリターンを上げる手口には『多くの共通点』がある」ということだ。本稿ではその1つを紹介したい。皆さんの資産運用の参考になれば幸いだ。

資産100億の常勝投資家・玉川陽介氏インタビュー
玉川 陽介(たまがわ ようすけ)
コアプラス・アンド・アーキテクチャーズ株式会社代表取締役。1978年神奈川県生まれ。学習院大学卒。大学在学中に情報処理受託の会社を創業し成長させる。M&Aにより上場会社に同社を売却後は、国内外の株式、債券、デリバティブ、不動産など多様な種類を取引する個人投資家となる。現在は不動産を中心に100億円超に投資。東洋経済、ダイヤモンド、日経新聞などへの寄稿多数、過去に学習院さくらアカデミー講師(金融リテラシー)ほか金融経済、不動産の講演を開催。金融商品分析や不動産投資の書籍は計10万部を超えるロングセラー。

分散投資やポートフォリオはいらない

投資の教科書に必ずといってよいほど書かれている「分散投資(卵は1つのかごに入れるな)」を実践している読者は多いだろう。しかし、それは本当に正しい投資法なのだろうか。実は、100万円のような少額から「億り人」を目指す過程において、分散投資は有効ではない。

ましてや、「株、債券、不動産といった複数の資産や、日本、米国、発展途上国といった複数の地域に分散する」といったような模範的な分散方法で、大成功を収めた個人投資家は誰もいないと断言しよう。その理由は明白だ。投資先を分散すれば尖った損益は平滑化されて、統計上、年率リターンは±10%以内に落ち着くことが大半だ。100万円を投資して期待できる利益は年間約10万円。そこから2万円ほどは手数料で消えてしまうだろう。これではいつまで経っても資産が増えるわけがない。

では分散投資は何のためにあるのか。運用資産が100万円ではなく10億円だったとしよう。先ほどの計算式をそのまま当てはめれば年間約8,000万円の利益がでる。これだけあれば、配当(運用益)だけで生計を立てることができるだろう。分散投資は、資産家が低リスクで安定リターンを得たい時には効果を発揮する。

つまり、国際分散投資などはプライベートバンキングで運用する富裕層の投資手法であり、ネット証券で「億り人」の夢を追う、運用規模が小さい個人が取り入れるべき手法ではない。まずは、教科書を疑い、自分の目指すべき収益率から逆算して、投資資産への期待ボラティリティを計算し、それに見合う投資法を考えるのが正しい戦略だ。運用規模が小さい個人が「億り人」を目指すのであれば、ハイリスクの一点張り投資だけを考えれば十分だ。

「10倍→5倍→2倍で100倍」を目指せ

それでは、100万円から1億円を目指す方法には、どのようなものがあるのだろうか。米アップルのような100倍になる銘柄に長期投資をする手もあるが、そのような成長株を適切な時期に見つけることは困難であり、運良く巡り合ったとしても、100倍に成長するまでは何年もかかる。もう少し現実的な確率で1億円を目指す方法はないだろうか。

ステップ【1】10倍銘柄を探す

筆者が多くの個人投資家を見てきたところでは、日本株の投資家の必勝パターンは「10倍→5倍→2倍で100倍」だ。最初の100万円は捨てたつもりで10倍銘柄(10倍になりそうな銘柄)に全額を賭ける。捨て身の攻撃でいい。思惑が外れた場合は、次のボーナスまで待って、また100万円を10倍銘柄に賭ける。この繰り返しで、10回以内に10倍になれば勝ちだ。

頭では分かっていても、これを実践するには勇気が必要だ。多くの人は、資産を失う恐怖に勝てないだろう。しかし、サラリーマンの給与はインカムゲイン収入だと考えればよい。ここで100万円を失っても、翌月の給与は必ず振り込まれるし、多くの企業では定期的にボーナスも支給される。それを元手に同じことを繰り返す。とにかく運良く10倍まで持っていくことが重要だ。

では、どのような銘柄に最初の100万円を投資するべきか。10倍になる銘柄は、AI、FinTceh、新型コロナウイルス関連など「誰もが分かる大きなテーマ」のなかで、勢いのある中小型株であることが多い。「市場のテーマ性」というバブルの真ん中にいる銘柄に、その可能性がある。「10倍銘柄など分かるわけがない」と思うならば、逆に、「10倍になる可能性がなさそうな銘柄は買わない」というアプローチでもいいだろう。自分なりの10倍シナリオを考えて勝負していくしかない。

ステップ【2】5倍銘柄を探す

このようなバブルに首尾良く乗って、100万円を10倍にすれば、1,000万円という残高を目にすることができる。その後は、「せっかくの1,000万円を失いたくない」「天国から地獄への絶望を味わいたくない」という心理との戦いになるだろう。

実際、多くの人にとって1,000万円はそれなりに大きな金額なので、守りの要素も重要になってくる。次の目標である5倍銘柄を探しつつ、ダウンサイドリスクが限定されている銘柄を選ぶなど、攻守両面を考える必要がある。そのため、このフェーズにある個人投資家の会合では、さながら競馬の予想のように、無名企業の業績や将来性が議論されている。

ステップ【3】2倍銘柄を探す

1,000万円を5倍銘柄で5,000万円にできたら、ハイリスクな勝負は控えて、「ダウンサイドリスクが限定されているにもかかわらず、アップサイドは狙える銘柄」を探すべきだ。そのような株式を数銘柄だけ保有する。

キーワードは「期待値」だ。「現在の株価は120。どんなに悪材料が出ても、100まで下がることはないだろう。それにもかかわらず、材料次第では500を狙える」といった銘柄は、わずか20のダウンサイドリスクに対して、380を得られる可能性があるといえる。期待値の高い銘柄だ。ロスカットラインも明確に設定しつつ、着実に2倍を目指したい。

個人投資家はペニー株を活用すべき

もちろん、増やし方は個人の事情や投資の時期によって様々であるが、あえてステップ化するのであれば、このような3ステップで100倍にたどり着くのが「株式投資における『億り人』に多いパターン」だと筆者は分析している。

つまり、東証一部のような「優良かもしれないが、値動きの少ない株」を保有しても、資産は大きく増えない。やはり、少額から億単位の資産を築きたい個人が取るべき最適な戦略は、時価総額の小さな株(中小型株)が2倍、3倍になるタイミングに乗る他ないだろう。

100億円を運用する機関投資家にはできない投資だ。100万円投資家の特権ともいえるペニー株(時価総額が極端に小さい株)を活用すべきだろう。日本株で2億円程度まで増やした個人投資家の多くは、この3ステップのパターンだと思う。いつでも投資タイミングがあるわけではないが、日々、何らかの暴騰銘柄が生まれていることも事実だ。それを探し当てるしかないだろう。

人生はゲームだ。大きく賭けろ

人生はゲームだ。大きく賭けろ ーー Life is a Game. Bet Big.

これは2009年のペプシコーラCMのキャッチコピーで、筆者の座右の銘の1つだ。

このような賭け方ができる投資家は強い。筆者の知人のなかには、日経平均のオプションを100万円買ったところ、数日で3億円になったが、そこで決済せず、30億円を目指して再び全額を賭けた強者がいる。結果的には6,000万円の利益に落ち着いたが、彼はいつか30億円を手にするのではないだろうか。少なくとも、その打席には立っている。その知人曰く「3億円を失う悲しみよりも、30億円を取り逃す悲しみの方が圧倒的に深く、そこから立ち直ることはできないので、3億円の時点で決済しなかった」とのことで、筆者も驚いた記憶がある。

このように、細かなお金に執着せず、大きく賭けてホームランを狙うことが、大きなリターンへの第一歩だ。ホームラン王は三振王でもいい。ヒットとホームランは、その構えからして違うのだ。このような賭け方が正しい方向性だとするならば、普通の人が選ばないだろう選択肢に躊躇なく大きく賭けることが必要だ。お金は損益通算できるので、100万円の負けが何度続いても、一度だけ2億円が出れば勝ちなのだ。

菅野陽平
菅野 陽平(かんの ようへい)
富裕層の資産管理に詳しいファイナンシャル・プランナー 兼 マネーライター。幼少期より学習院で育ち、学習院大学卒業後、2012年に新卒で野村證券に入社。多くの富裕層の資産管理を担当する。2016年、株式会社ZUUに入社し、日本最大級の金融・経済情報メディア「ZUU online」の編集長を務める。プライベートバンカー資格、AFP保有。編集著書に『富裕層・経営者営業大全』(一般社団法人金融財政事情研究会、2020年7月31日発売)。