本記事は、三崎優太の著書『時を稼ぐ男 新時代の時間とお金の法則』(KADOKAWA)の中から一部を抜粋・編集しています
お金を雑に扱う人は、お金から嫌われる
ある程度のお金を持つようになると、お金のありがたみを忘れがちになるものです。私の経験から言うと、お金を持てば持つほど、その傾向は強くなります。ただし、真のお金持ちになろうと思ったら、この傾向はすぐにでも矯正する必要があります。
お金をたくさん持っているからといって、それを自慢して見せびらかしたりするのはやはり感心しません。
これに対して、「ちょっと待って!」と言う人もいるでしょう。なぜなら私自身が、YouTubeなどで“金持ち自慢”のような動画を時折配信しているからです。しかしあれは、あくまでもエンタメとしての”ネタ”であり、日常の中でお金を見せびらかしたりはしません。
お金持ちと言われている人たちと一緒にいると、彼らがしばしば女性にお金を配ったり、食事会の帰りにタクシー代を手渡したりするのを見る機会があります。その光景を目の当たりにするたびに、私は大きな違和感を覚えます。
その理由は、そんなに簡単に人にお金をあげるものではないと考えているからです。
「単なるケチなのでは?」
こう思う人もいるかもしれません。しかし、それとはちょっと違います。お金を安易に人に配る行為は、お金を粗末に扱っている気がするのです。こうした行為が積み重なっていくと、お金を大切にする気持ちは薄れていきますし、またお金のほうも逃げていきます。
”お金を配るお金持ち”というと、多くの人が実業家の前澤友作さんを思い浮かべるかもしれません。とはいえ前澤さんは、自身の発信力を高めるために「お金配り」をしているだけで、普段の生活の中でむやみにお金を見せびらかしているわけではないはずです。
実は、お金を粗末に扱う人はお金持ちだけに限ったことではありません。むしろ、お金持ちでない人のほうが、お金を雑に扱う傾向が強かったりもします。
お金は本来、1円たりとも無駄にしてはいけません。その感覚を失った瞬間から、お金はゆっくり、ゆっくりと離れていきます。
小金が貯まった途端、飲食店で散財したり、酔った勢いでキャバクラへ行き、お金を湯水のように使ってしまった経験はないでしょうか。これらは、お金を粗末に扱う人たちの典型的なパターンです。
私自身も、気を緩めるとお金を雑に扱いがちな性分なので、いつも気を付けるようにしています。
「お金持ちを3年続けるのは難しい」
こんなことがよく言われているようです。飲食店やバー、クラブなどで見境もなくお金を使うようになったら、その人は早晩、お金で苦労するようになると考えて間違いないでしょう。
1円にしがみつくようでないと、お金をいくら持っていても、お金は自分に寄り付いてくれないものなのです。
雑な使い方を避ける方法
「お金を雑に扱うな」というのは、「お金を使ってはいけない」という意味ではありません。
「このお金を使うことで、自分にはどのようなリターンがあるのだろうか?」
お金を使うときは、このように意識的に自分に問い掛けてみることが大切です。
その際、ひとつもリターンを見込めないようなら、間違ったお金の使い方をしていると考えていいでしょう。
食事会の帰りに女性にタクシー代を渡した場合、何らかのリターンを見込めるでしょうか?そこで答えが「イエス」でないのなら、それは間違ったお金の使い方かもしれません。
では、酔った勢いで訪れたキャバクラでお金を使いまくるのはどうでしょう?
こうした形で一度間(ま)を置き、自分に問い掛けるようにしてください。
かつて私も、女性を家まで送る代わりに、タクシーに乗せて帰ってもらうことがよくありました。ただし、このときは必ずタクシーチケットを手渡して、それで支払いを済ませてもらうようにしていました。
現金でタクシー代を手渡すのと、タクシーチケットを手渡すのとでは、用途としては同じでも、実際には大きな違いがあります。
現金の場合、手渡した形跡は残りませんし、もしかしたら額が多すぎてしまうかもしれません。もしくは少なすぎて、相手が困る場合もあるでしょう。一方、タクシーチケットを渡す場合は、いくら使ったかをあとからしっかりと把握できるというメリットがあります。しかも、何となくお金を使うのとは違い、確実に人を家まで送り届けるために使ったという目的が明確化されるので、お金の管理という面でも好都合です。
理由が不明のままお金をばらまくような行為を繰り返すと、心の中に必ずほころびが生まれます。いつしかそれが大きくなり、取り返しのつかない事態に陥るかもしれません。それだけは避けるようにしましょう。
お金を呼び寄せるための財布の使い方
お金の使い方のみならず、お金そのものの取り扱い方にも注意するといいでしょう。
例えば、私がいつも行っているのは、お札を財布にしまうときに券種と裏表をしっかりとそろえ、券面の人物の頭が財布の奥に入るようにすることです。以前に「お金が貯まる人の習慣」という内容の記事を読み、共感するところがあったので自分でも始めてみました。
お札をそろえて財布に入れたからといって、それだけでお金が稼げるわけではありません。しかし、お札を財布から出し入れするたびに、お金を敬う気持ちを養えるという利点はあります。お金を貯めるには、こうした小さな行動を繰り返し、意識を変えていくといいでしょう。
自分が普段、お金をどのように扱っているか一度確認してみてください。
部屋のあちこちに小銭が散らかっていませんか?
財布にしまってあるお札の四隅が折れ曲がったりしていませんか?
机の引き出しの中にお札を乱雑に突っ込んでいたりしていませんか?
お金を貯めたいと思ったら、お金が喜んでくれるような環境を身の回りに整えることが大切です。
「借金」してでも投資
「お金の使い方」と言えば「借金」も重要な要素です。
私の会社は、創業以来、大きな借金をしたことがありません。
これを話すと、色々な人から「素晴らしい」と言われます。
私には、どこか臆病で物事に対して慎重になりがちな傾向があり、借金を背負ってリスクを膨らますことに抵抗がありました。これが無借金で通してきた理由です。
幸い、借金を必要とする場面に陥ることもなく、無借金経営を継続してきました。ただし、「もっと若いときに借金をしておけばよかったかな」と思うことはあります。
人からお金を借りられるというのは、十分な信用があるという証拠です。もしも私に借金をする度胸があったら、借りた資金をレバレッジとして使い、今よりももっと大きな会社を作れていたかもしれません。もしそうなっていたら、今見ている景色とは異なるものが目の前に広がっていたでしょう。
後悔先に立たず……。今さら何を言っても始まりませんが、臆病になりすぎて、思い切ったコミットができなかったのです。事業拡大を狙うのであれば、お金を借りるという方法はおすすめできる選択肢のひとつだと思います。
一方、他社からの出資の受け入れについては、これまでも積極的にお願いしてきました。ただし、出資の受け入れは借金とは性質が異なるので、同一視はできません。
借金について考えたとき、当然ながら期限までに決められた金額を返済しなくてはならないため、出資を受けるよりも「お金」に対して真剣になれるというメリットがあるのではないでしょうか。
何かを成し遂げようと思ったとき、この真剣さが最後にものをいうと私は考えています。自分の奥底から「真剣さ」を引き出したいと思うのであれば、思い切って借金をする方法を選ぶのも間違いではありません。
これまでお金について否定的な意見を色々と述べてきましたが、未来を切り開くために使われるお金(借金)については、私は肯定的な意見を持っています。
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