本記事は、三崎優太の著書『時を稼ぐ男 新時代の時間とお金の法則』(KADOKAWA)の中から一部を抜粋・編集しています

時を稼ぐ男 新時代の時間とお金の法則1
(画像=PIXTA)

ビジネスは「市場」という領土の奪い合い

お金持ちになるために、起業して成功したいと考える人も多いと思います。

実際、私自身がお金に不自由しない生活を送れるようになったのも、起業をし、それを成功させたからでした。

そこで本記事では、起業のためのアイデアと、それを成功させるための実践的な提案をしていきます。

起業をする際に私が最も重要だと思っていることがあります。それは「ビジネスは市場という領土の奪い合い」という考え方です。

ビジネスというのは、そこに参入しているプレーヤーたちが命がけで「領土」を奪い合う“戦争”であり、価値のある領土を手にすることで勝者になっていきます。

例えば、市場規模が「100億円」の業界があったとしましょう。その業界で起業しようと思ったら、「100億円」という「領土」を奪い合う戦争に参入すると考えてください。

参入後、ビジネスがうまくいき、「1億円」の売り上げを達成したとします。この場合、あなたの会社は「1%」の領土を獲得したということになります。

さらに業績を伸ばし、ついに100億円の売り上げを達成できたとしたら、それはあなたの会社がその業界の市場(領土)の完全独占を成し遂げたことを意味します。

もちろん、領土を100%独占するなんて、そう簡単にできるものではありません。ですが、少しずつでも自分の領土を広げていくことを目標にしてください。

私自身も自らの領土を少しでも広げるべく、「ヘルスケア」という市場の中で奮闘を続けてきたのです。少しずつですがそれがうまくいき、100億円以上の売り上げを達成できるまでに会社を成長させることができました。

市場は領土。領土内の自分の占有率を高めていくことで成功への道が開けるのです。

持つべきは「競争優位性」

「市場という領土」は「業界の景気」によっても変化します。

先ほど、100億円という市場規模での占有率の話をしました。この市場規模のサイズは、どの業界でも常に変動しています。

例えば、日本経済もしくは世界経済の景気がよくなれば、どの業界も好影響を受け、市場規模は膨らんでいきます。100億円規模の市場が120億円規模に膨らめば、「20億円分の“領土“が増えた」ことになり、その業界に参入している企業には領土拡張のチャンスが訪れるのです。

しかし、景気はいつも右肩上がりとは限りません。不景気に陥り、100億円あった市場規模が80億円に縮小すれば、業界全体の領土は自動的に減少します。

すると、狭くなった領土を巡って競争は激化し、参入企業によっては売り上げ減を覚悟しなくてはなりません。こうした状況に陥ると、会社の先行きに黄信号が灯る可能性も出てきます。

起業のチャンスを窺(うかが)っている人からすると、起業にたどり着くまでが最大の難関のように感じるかもしれません。しかし実際は、起業後に待ち受けている競合他社との「領土の奪い合い」のほうがとてつもなくハードです。

この競争に勝つには、ライバル企業と比較して、少しでも高い「競争優位性」を持たなければなりません。自分たちの会社が他社よりも優れていれば、必然的に相手の領土を奪い、「自社の市場占有率」を高めることができます。

一方、自社の競争優位性が低ければ、他社の餌食(えじき)となり、自社の領土は狭くなる一方でしょう。最悪の場合、倒産という形で競争からの撤退を余儀なくされます。

ビジネスをする際には、「相対的に見て、自分の会社に競争優位性があるだろうか」という点を徹底的に検証することが必要不可欠なのです。

「ちょっとした差別化」ができれば誰にでも勝機はある!

「競争優位性といっても、他社に比べて多少優れている程度でしかない」
「それほど大きな違いはないのだけど……」

こう不安になる人もいるかもしれません。

ここで述べているのは「絶対的な優位性」ではありません。絶対優位性を求めると、キリがなくなります。

自社の商品やサービスが他社より少しでも優れていれば、それでいい。ちょっとした差別化が重要なのです。

その違いがあれば消費者は自分たちの商品やサービスを選んでくれます。この点をしっかりと理解しておくことが、ビジネスの世界では大切です。

「競争優位性」を別の言葉で表現すると、少々物騒ですが「武器」です。この武器を磨き、それを手にして競合他社との領土の奪い合いに臨んでいきます。

また、複数の武器や、より性能のいい武器を手に入れることによっても、領土の奪い合いに勝つことができるはずです。

大切なのは徹底した「市場調査」

ではどうしたら「競争優位性」を高めることができるのか……。次はそれを考えてみましょう。

最も大切なことは徹底的な市場調査です。

新たなビジネスを始めるに当たっては、その業界にはどんなライバルがいて、彼らはどんな競争優位性を持っているのかを細かく調べ、それを一覧化していくところから始めます。

私が業界を席巻することに成功した「青汁」の例で言えば、まずは競合他社が販売している青汁の値段を一覧化し、さらには各社の青汁の成分をすべて調べ上げました。

次に、どこの工場で製造しているのか、広告にはどんなタレントを起用しているのか、プロモーションはどうやっているのか、どんな味にしているのかなど、いくつもの項目を用意し、すべてについて答えを求めていきました。

各項目について細かく検討したあとは、他社の青汁よりも総合的かつ相対的に競争優位性を保てるような商品を開発していったのです(具体的なことは次の項目を参照してください)。ここまで徹底して自分たちの武器を確立していった結果、大成功に至りました。

わかりやすくするために青汁の例を引き合いに出しましたが、この原則は青汁以外の商品やサービスで勝負する際にも変わりません。

起業やビジネスというと、難しいビジネス理論や経営哲学をしっかり学ぼうと努力する人もいるのではないでしょうか。でも、知識を身に付けたとしても、ビジネスで成功できるとは限りません。ビジネス理論や経営哲学のような「知識」と、ビジネスにおける「実践知」はほぼ無関係と言っていいのです。

他社に対して競争優位性を持つ──。

こうしたシンプルな考え方を金科玉条とし、それを実践し続けたほうが、より確実に結果を出せるはずです。

時を稼ぐ男 新時代の時間とお金の法則
三崎優太(みさき・ゆうた)
1989年生まれ。北海道出身。実業家、起業家。高校を二度退学後、パソコン1台で起業し、18歳で株式会社メディアハーツ(現・ファビウス株式会社)を設立。2017年に「すっきりフルーツ青汁」が累計1億3000万個の大ヒット商品となり、年商130億円を達成。「青汁王子」の異名で注目を浴びる。2019年に開始した「青汁劇場」はフォロワー130万人を集め、大きな話題を呼んだ。SNSのフォロワー数は、YouTube登録者数45万人、インスタグラムのフォロワー55万人、ツイッターのフォロワー130万人で累計230万人に支持されている。現在は投資家として10社以上に出資を行い、年間総額300億円の売上を誇る。著書に『過去は変えられる』(扶桑社)がある。

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