本記事は、三崎優太の著書『時を稼ぐ男 新時代の時間とお金の法則』(KADOKAWA)の中から一部を抜粋・編集しています
本当に価値のあるお金の使い方とは?
お金は決して万能ではありません。ただし、お金によって効率化を図ることは可能です。
例えば、家政婦さんを雇い、家事の時間を夢やビジョンの実現に回すことができれば、より充実した人生が送れるでしょう。そういう意味では、時間の効率化を図るためにお金を費やすことが、最も価値のあるお金の使い方だと思います。
この世の中に生きている限り、時間の配分だけは公平に行われます。この時間だけは、いくらお金を払っても買えません。ただし、お金の力によって時間を効率的に使うことは可能です。
「人と比較しないほうが幸せだ」
こんな言葉を聞いたことがある人も多いと思います。
確かに、幸福度という観点においては、人と比較をせずに自分らしく生きたほうがいいのかもしれません。とはいえ、よいことではないと知りながら、ついつい比較してしまう。それが人間というものの性(さが)なのでしょう。
人との比較に関しては、お互いが競い合って成長するために必要なこととして、私は割り切って考えるようにしています。
私たちが与えられた時間は、万人に等しく1日24時間のみ。その時間枠の中で、ライバルや友人、同僚たちとの比較を行いながら効率的に時間を使い、より好ましい成果を得るために行動していけば、必ずいい結果がもたらされるでしょう。そうして得た成果の蓄積が、幸せや豊かさにつながっていくのです。
「死に金」と「生き金」
ある友だちは言います。
「たまにはゴルフでもしたらどうだ?」
いくら言われても、私は絶対にやりません。
その理由は、ゴルフはおじいちゃんになってからでもできるからです。それよりも私は、今しかできないことをしたいと思っています。
例えば、勉強。歳を重ねていくと脳細胞の劣化は進み、新しいことを覚えるのが大変になります。それならば、記憶力が衰えていない今のうちにできるだけたくさん勉強したほうが間違いなく効率的です。
お金には「死に金」と「生き金」があります。
私にとっての「死に金」は、わかりやすい例で言うと、キャバクラやバーで使うようなお金のことです。こうした場所で湯水のようにお金を使っても、そのお金を活かすことはできません。
では「生き金」とはどういうものか。自分や自分の周りの人たちに何かを確実に残すために使うお金のことです。
例えば私の場合、旅行に行くと、ホテルのスイートルームに必ず泊まります。その部屋の料金がたとえ1泊100万円であろうと、もしくは200万円であろうと、必ずスイートルームに泊まるのです。
別に贅沢をしようというのではありません。一流ホテルのスイートルームに泊まることで、普段はなかなか味わえない時間を過ごし、自分の知見を広げようと考えているのです。自分を成長させるための投資であれば、「死に金」にはなりません。
脱日常のような体験をすると、インスピレーションを感じやすくなるというメリットもあります。仕事やプライベートについて、それまで想像もしていなかったようなアイデアが生まれ、それが問題解決につながったりするのです。
このことは、私自身がこれまで何度も経験しています。
以前、会社の業績拡大がうまくいかないとき、箱根の旅館の特別室に宿泊したことがありました。部屋の中で一日中考えごとをしながらゆっくりとした時間を過ごしているうちに、自分の考えがまとまってきて、その後の会社運営の道筋が見えてきたのです。
静かで快適な空間に身を置きながら物事を考えることで頭の中がきれいに整理され、処理能力が高まった結果、いいアイデアが浮かんできたのでしょう。
私がなぜそこまでアイデアの創出にこだわるかというと、アイデアこそがお金を稼ぐ大きなファクターとなり得るからです。
アイデアの力は侮れません。たったひとつのアイデアで、ピンチがチャンスに変わるときがありますし、アイデアひとつでビジネスがプラスの方向に大転換していくことも珍しくないのです。
発想力や決断力を養うには、考える時間を定期的に持つ必要があります。そのためには、「生き金」を使い、普段感じることのできない感性に触れ、知見を広めていく。それを続けることで、確実に成長を遂げられます。
「非日常の環境」に身を置くと思ってもいない発想が浮かぶ
ホテルのスイートルームに泊まりたくても、経済的な余裕がなくて泊まれないという人もいるはずです。
その場合、無理をしてまでスイートルームに部屋を取る必要はありません。大切なのは、今あるお金を「死に金」にするのではなく「生き金」にするという発想なのです。
十分なお金がなければ、非日常の環境に身を置いてみるだけでもいいでしょう。一流ホテルに泊まらなくても、ホテル内のレストランで食事をするだけでも十分です。もしくは大自然の中に繰り出して、雄大な自然の美しさに触れてみるのもいいと思います。
そうした経験を通じて、「何かを変えたい」「何かをつかみたい」という意識を持ち続けることが大切です。
こうしたひとつひとつの行動を積み重ねることで、自分の中にこれまでなかった発想力や決断力が養われていきます。それに伴い、自分自身が少しずつ変わってきているのにも気が付くはずです。
世の中の多くの人たちは、大体がありふれた思考パターン、決まりきった判断しかしません。膠着(こうちゃく)し、代わり映えのしない自分の現状から一歩抜け出すには、ありふれた思考パターン、決まりきった決断から距離を置き、挑戦をしていく必要があります。そのための自己投資として「生き金」を使うのです。これが人間的に成長するということではないでしょうか。
非日常空間に身を置くことで訪れる「恵みの時間」
一度、この発想が身に付くと、多くの場面で自分磨きができるようになります。
私の例をいくつか紹介してみましょう。
海外旅行の帰りの飛行機の中は、発想力を磨くための格好のシチュエーションです。海外で過ごした非日常の余韻に浸りながら、翌日からの仕事についてじっくりと考えます。するといつしか体の底のほうから、「また明日からやってやろう」「ここからもう1回頑張るぞ」というエネルギーが湧き出してくるのです。
わざわざ国際線に乗らなくても、国内で同じような時間を作ることもあります。
何かに行き詰まり、どうしてもそれを打開するためのアイデアが欲しいとき、私はしばしば1人で箱根に出掛けます。滞在中は頭の中をなるべく整理して、シンプルな状態にしていくのです。
それがうまくできると、東京への帰り道で“恵みの時間”が訪れます。車を運転しながら色々と考えているうちに、どこからともなく魔法のようにインスピレーションが次から次へと降ってくるのです。
いつも同じ場所で、同じ顔触れとばかり接していると、新しいアイデアを生み出すのは至難のわざとなります。都会にいて、仕事ばかりしていても、頭の中は凝り固まっていく一方で柔軟な発想は生まれません。
こうした日常から脱するためにも、「生き金」を上手に使い、自分に合った方法で自己投資をすることをおすすめします。
お金の費用対効果
「生き金」という概念は、別の切り口から捉えると「費用対効果」を考えるということでもあります。
例えば食事の「費用対効果」を考えてみましょう。
仕事中に1人で食事をする場合、私はコンビニの弁当でも、ウーバーイーツでも十分だと思っています。
もちろん、贅沢をしようと思えば、毎日シェフに頼んで食事を作ってもらうことも可能です。しかし、費用対効果を考えたら、コストのほうが高くなりますし、リターンについてもなかなか際立ったものが頭に浮かんできません。こうなると、贅沢な食事をする気がしなくなるのです。
とはいえ、たまには気分転換も必要です。また、体にいい物を食べることを考えなくてはなりません。その場合は、お金を使うことを厭(いと)いません。
避けるべきなのは、ダラダラと目的を明確にしないまま贅沢を繰り返すことです。
これについては2つの理由があります。まずひとつめは、お金がもったいないということ。2つめは、毎日贅沢をしていると、感覚が麻痺してきて、そのありがたみがわからなくなるということです。贅沢が普通になってしまうと、いくらお金が掛かっていても飽きてきます。これほど恐ろしいことはありません。
アンチエイジングという投資
ヘルスケア業界に身を置いていることもあり、私は自分の健康やアンチエイジングのためにはお金に糸目は付けません。
先日、私はアンチエイジングの一環として幹細胞治療を受けました。この治療法は、再生医療を代表するものとして知られ、傷ついた臓器の再生を促すほか、若返りにも効果が期待できます。
治療の手順としては、自分の脂肪の中から幹細胞を採取したあと、それを培養し、再び自分の体の中に戻すというプロセスをたどります。私もこの手順に従って、脂肪を吸引してもらい、採取した幹細胞を培養したあと、冷凍保存してもらうことにしました。将来、それを体の中に再注入することで、若返り効果が得られるのです。
決して治療費は安くありませんが、これも自己投資のひとつです。
人は必ず老い、ある日死を迎えます。生きていられる時間には限りがあるのです。しかし、若さをいつまでも保ち、末長く生きられるとしたら、自分に残された時間は長くなります。いくらお金があっても過去の時間を買い戻せませんが、若返りによって寿命を延ばし、将来の時間を延ばすことは可能です。
1億円を払えば確実に1歳若返ることができるというなら、世の中のお金持ちはこぞってその若返り法を買い求めるでしょう。
老化を少しでも遅らせることができるのなら、私はこれからもそれにお金を費やしていくつもりです。若さや将来の時間には、それほどまでの価値があるのです。
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