この記事は2022年1月7日に「ニッセイ基礎研究所」で公開された「粘り腰を見せる金価格~2022年の相場展望」を一部編集し、転載したものです。

要旨:金相場が大崩れする可能性は低いだろう

2022年の金相場展望
(画像=PIXTA)
  1. 昨年のNY金先物価格は下落した。「経済活動の再開」で世界経済が持ち直し、株価も上昇したことが安全資産である金の逆風になったほか、「FRBの緩和縮小・利上げ観測」によって米長期金利が上昇し、金利が付かない金の相対的な魅力を低減させたためだ。

  2. しかし、その割には下げ幅が小幅に留まり、意外と粘り腰を見せた印象だ。各種変異株の拡大に伴うコロナ感染の世界的な再拡大が安全資産である金の根強い需要に繋がったほか、米国などで急進したインフレが(インフレに強い)金の魅力を高め、相場の下支えに寄与した。米長期金利の上昇を予想インフレ率の上昇が相殺したことで、NY金先物価格と逆相関性が強い米実質金利は極めて低位に留まった。

  3. 今年の金相場を考えるうえでの最大の材料は米金融政策だ。2022年は年前半に量的緩和が終了され、以降3回の利上げ実施が見込まれるため、米長期金利は上昇するだろう。予想インフレ率の低下も相まって、相場を考えるうえでのカギとなる米実質金利が上昇することで、金相場が押し下げられると見ている。ただし、金相場が大崩れする可能性は低いだろう。米実質金利の上昇幅は限定的に留まり、水準もマイナス圏に留まると予想されるためだ。さらに、米中間選挙で「ねじれ」が発生し、米政治・経済の先行き不透明感が強まる可能性が高いことも金相場の支えになる。従って、メインシナリオとしては、年末時点の価格を昨年末比で1割弱低い1,650ドル程度と予想している。

  4. このように下落を見込むものの、コロナ変異株やFRBの金融政策、米国政治等の行方と影響については不透明感が強く、市場の先行きの不確実性は依然として高い。不確実性の高い状況であるだけに、内外株式などとは異なる値動きをすることが多く、資産運用にあたってリスクヘッジ機能の一翼を担う金の重要性は引き続き高いと考えている。

2022年の金相場展望
(画像=ニッセイ基礎研究所)