この記事は2022年1月18日に「ニッセイ基礎研究所」で公開された「2022年の税制改正による住宅ローン契約者への影響 ―― 住宅ローン減税から得られる経済メリットの最大化問題について」を一部編集し、転載したものです。

要旨

住宅ローン減税,経済メリット
(画像=PIXTA)
  • 2022年の税制改正において、住宅ローン減税が延長され、カーボンニュートラルに向けた省エネ住宅等に対する優遇が行われる一方で、控除率の引き下げ(1% → 0.7%)や新築一般住宅に対する最大限度額の引き下げなどが行われる

  • 控除率の引き下げと、借入限度額が徐々に引き下げられることで、住宅ローン減税から得られる経済メリットが縮小することになる

  • 具体的には、住宅ローン減税によって控除期間における利息支払額の合計額と所得控除額の合計額が一致する住宅ローンの借入額の水準が引き下げられる。たとえば、住宅ローンの適用金利が0.4%の場合、新築の一般住宅の場合、1億1,000万円から6,300万円に下がる

  • 住宅ローン減税から得られる経済メリットを最大化しようとした場合、最大控除額を13年間にわたって享受する程度に借り入れるのではなく、最大限度額よりも数百万円程度高い水準で借り入れるのが最適である

  • 現状の新築マンションの価格動向は、改正後も住宅ローン減税から経済メリットを得られる水準にある

  • 控除期間終了後であっても金利上昇が生じると、住宅ローン減税から得られる経済メリット分が消失することある。それを避けるには、少なくとも控除期間が終われば、繰り上げ返済を実行した方がよいだろう