「わお! MX-5だ!」ブロードウェイの交差点でサイドブレーキを引くと、満面の笑みを浮かべた黒人の少年が駆け寄ってきた。MX-5とは日本の自動車大手マツダが製造・販売していた、オープンタイプのライトウェイトスポーツカーである。日本で「ユーノス・ロードスター」と呼ばれる、1996年式のVスペシャル・タイプIIの中古車を筆者が購入したのは10年前のことだ。1990年代の日本車は米国でも人気が高く、筆者もMX-5(ユーノス・ロードスター)を運転していると、通行人からよく声をかけられる。もちろん、古い車に乗るのはよいことばかりではない。悩みの種は、フロントのソフトトップの接合部から雨漏れがすること、燃費が悪いこと、そして原油価格の高騰だ。

2022年2月3日、ニューヨーク市場の原油価格(WTI原油先物の期近物)は、2014年10月以来7年4カ月ぶりに1バレル=90ドルを突破した。2月11日にはウクライナ情勢の緊迫化を背景に一時94.65ドルの高値を記録、年初からの上昇率は一時24.4%、過去1年では62.5%となる場面も見られた。

一方、米株式市場ではS&P500が2月11日までの1カ月間で5.39%安となるなか、エネルギー・セクターは14.65%高を記録、全11セクターで唯一のプラスとなった。ちなみに、2月11日時点のエネルギー・セクターの年初からの上昇率は26.47%、過去1年では59.37%となっている。前回の当コラム『米株式市場が直面する「三重苦」』でも指摘した通り、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ観測で米株式市場が軟調を強いられるなか、エネルギー・セクターだけが気を吐いている状況だ。

今回は原油価格とエネルギー・セクターの話題をお届けしよう。