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遺言には「遺言事項」と、「付言事項」の2つを書くことができます。後者は、法的拘束力はないものの、使い方により残されたご家族の相続争いの回避にも繋がります。付言事項の効果的な活用方法を押さえておきましょう。


「遺言事項」と「付言事項」とは?

遺言に書くことができる事項には2種類あります。1つは「遺言事項」で、こちらは「遺言で行うことができる法律行為」のことを指し、遺言者が亡くなった時に法的効果を生じさせるものです。具体的には、「認知」「遺贈」「後見人の指定」「後見監督人の指定」「寄附行為」「相続人の廃除」「相続分の指定」「遺産分割方法の指定」「遺産分割の禁止」「遺言執行者の指定」「祭杷主宰者の指定」などが該当します。

遺言事項以外にご遺族に伝えたい事項がある場合、それを遺言に書くことができ、それを「付言事項」と呼びます。付言事項は「ふげんじこう」もしくは「ふごんじこう」と読みます。こちらは遺言事項と異なり法的効果を持ちません。しかし、この付言事項をうまく活用することで相続人同士のわだかまりの解消などの効果を発揮します。


よくある付言事項の例

よくある付言事項としては、以下のものが挙げられます。

①家族(相続人)への感謝や愛情などを示す内容
②遺言事項(遺産分割等)について補足する内容
③遺留分がある相続人に対して、遺留分を行使しない様に依頼する内容

遺産分割の内容の補足説明としては、「特定の相続人に多く相続させるのは寄与分の考慮等によるものであり、他の相続人は自身の遺留分を下回っている場合もあるが、理解してほしい」等の内容が挙げられます。


付言事項の活用で相続トラブルを避けられる理由

例えば遺言に、「この不動産は長男に与える」「次男には少額の現金を与える」という内容が記載されていた場合、残された家族は「そのようにした意図」まではわかりません。相続分が多くない人にとっては、心にわだかまりを抱えることにも繋がります。せっかく仲の良かった家族が揉めないようにと残した遺言をきっかけに、家族が仲違いしてしまうケースも多いのです。

ここで、遺言に遺産の分け方だけでなく、「なぜそのような分け方にしたのか」という想いが付言事項として書いてあると、相続人の理解を得られやすくなり、家族間の争いを避ける上で一定の効果があります。