遺産分割時の評価はどうするか

遺産分割協議の際に、相続不動産がある場合、どのように評価を行うのか、もっとも一般的な方法は「不動産鑑定士による評価」となります。なお、ここで注意して頂きたいのが、相続税申告での土地評価と、遺産分割協議を行う上での土地評価は異なるという点です。土地評価を低くすれば、相続税を節税できると発想しがちですが、遺産分割協議時の評価は公正に行わなければなりませんし、その評価額が相続税申告に直結するものではないです。

話を戻しますが、遺産分割協議において、相続不動産評価を「不動産鑑定士による評価」にて相続者間で同意するのが一般的です。「不動産鑑定士による評価」は、有資格者である鑑定士が、総合的に評価し、鑑定書を発行するものなので、もっとも信頼性のある評価として考えられます。もしくは、相続人の同意を得て、不動産屋に依頼しすぐに売却したい物件として、売値を付けていただく、現金化するというのも一案です。

建屋が老朽化している場合、評価額が下がる場合もありますが、遺産分割協議自体に期限はないので、多少時間はかかっても、現金化することで、相続人間の同意は取りやすくなります。ただし、現金化した場合、売却による譲渡益に対して課税が発生するので注意が必要です。


「不動産鑑定士による評価」の注意点

「不動産鑑定士による評価」が一般的に多いケースであるとお伝えしましたが、評価を行う前に、当事者間で評価に対して同意する旨や、何社に依頼し、各社から出てきた評価額を基にどのように評価を下すのか、同意を得ておくことが重要です。

不動産鑑定士に評価を依頼した場合、費用は非常に大きいと言われております。評価対象となる不動産が多くあれば、なおさら費用もかさみ、そこまで費用を負担したのにもかかわらず、不動産鑑定から提出された評価に対して、相続人間で同意を得ることができなかった場合、最悪、再評価などということも起こりえます。よって、不動産鑑定士に依頼をする際には、依頼した結果出てくる評価額について、相続人すべてが同意することの確約をとっておくなど、話合っておくほうが良いです。


1物5価と相続

以上のように、一物五価と呼ばれる土地の評価方法5種類について概要を述べ、遺産相続協議時に、相続不動産をどのように評価すればよいのか、一般的な方法をのべさせて頂きました。

不動産の性質にもよりますが、相続人間での共同登記として、持分比率を決めるなどの方法もありますが、共有化はより複雑な事態、例えば共同登記者が被相続人となり、さらに共同登記人が複数になってしまう事態を招くため、不動産の場合、1人の相続人による単独相続、もしくは、譲渡益分に課税される所得税分も鑑みたうえでの現金化という方法がシンプルではないかと思います。

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