本記事は、小松麻美氏の著書『マンガで学ぶ! 営業の超基本』(フローラル出版)の中から一部を抜粋・編集しています
プレゼン冒頭の「ショータイム」で心を動かす
プレゼン用の提案書が合意にいたるための論理的かつ感動を意識した台本だとしたら、プレゼンは本番の舞台のようなものです。提案書をそのまま読み上げるのではなく、確実にお客様の心をつかむもの、「感動」を呼ぶものであるべきです。
プレゼンの冒頭は「ショータイム」です。ここで確実に「心を動かす」ために、「かなえるべきお客様の理想」や、プレゼンそのものからさらに一歩踏み込んで「お客様の期待を超える未来像」を盛り込むことをおすすめします。
お客様の心を動かすために、冒頭には次のような内容を盛り込みます。
●お客様が課題を解決して目指すべき理想像 ●お客様の企業理念にもとづく未来像 ●社会情勢を踏まえた未来像
お客様に「そこまで考えてくれたのか」と思っていただき、さらに、「この会社でなければ実現できない」と思っていただければ成功です。冒頭でお客様の心を動かし、その解決策としての自社商材の導入を実現可能性や他社との差別化ポイントを押さえて論理的にご提案したほうが、スムーズにお客様の合意を得やすくなります。
冒頭の「ショータイム」をより感動的なものにするために、上長や開発現場の担当者などに同行してもらうのも一案です。「ショータイム」を盛り上げる「キャスト」として助っ人を呼ぶほうが効果的なら、ぜひそうすることをおすすめします。
具体的なトークは次のように展開していきます。
・プレゼンのトーク例
「本日は、御社の中途採用社員の即戦力強化のためのご提案にまいりました。採用した優秀な人材にいち早く現場で活躍していただくことで、営業部全体の受注増を目指します」(提案のテーマ/理想) 「今後、ますます優秀な人材が集まりにくくなります。採用した人材を育てるのはもちろんのこと、社員個人のキャリア形成にも役立つ学びを提供できる体制をつくることで、御社にさらに優秀な人材が集まる好循環を生み出します」(未来像) 「現状では、業界知識や自社商品の知識を学ぶまでに時間がかかり、なかなか即戦力化が実現できていないと伺っております。なぜなら中途採用の方の入社時期と研修のタイミングが合わないからです」(現状/問題/その原因) 「そこで、導入教育に必要な情報をオンライン上にまとめ、いつでも学べる環境をつくるご提案をさせていただきます」(具体的な解決策) 「実際に導入された企業様でとくに評価をいただいている点としましては……」「他社のサービスと比較しましても……」「具体的にはこのような研修プランとコース設計を考えております」(事例/差別化/導入イメージ) 「料金は、ご予算に合わせてこのようなご提案をさせていただきます」(料金説明)
実際には、この後に「質疑応答」「ディスカッション」「テストクロージング」「要望確認」などを経て、「クロージング」へと進みます。
どのようにしてお客様の心をつかむか、冒頭の展開を入念に考えてみましょう。
プレゼンのポイントは「相手の知りたいこと」に合わせる
プレゼンの基本的な流れはここまでお話ししたとおりですが、押さえるべきポイントは、相手によって変わります。プレゼンをする相手が社内で決裁権のある人か、あるいは現場で使う人なのかによって、相手の知りたいことも異なるからです。
プレゼン前に必ず「誰に対してプレゼンを行うのか」を明確にし、その相手がどのような課題や関心事を持っているかをきちんと理解するようにしてください。
相手が決裁者であれば、その後の意思決定につなげるべく、必要性や利益だけでなく、導入企業の成功事例や他社と比べた自社の優位性も示します。
一方で、現場で使う人に対しては、自社の優位性よりは、すでに導入されているお客様の活用事例やデモンストレーション、ワークショップで、現場での使用感や利便性を強調する必要があります。
プレゼンの参加者はさまざまですが、大きく分けると、「決裁者」「推進者」「運用者」にプレゼンする機会が多いと想定されます。
上の図に、それぞれの参加者がプレゼンに出席する目的と、プレゼンに必要な要素や流れをまとめました。ぜひ、今後意識してみてください。
もし、あなたがプレゼン相手の立場を十分に理解できていないとしたら、ヒアリングが不足しています。
その場合は、意思決定において誰がとくに重要なポジションなのかを確認しつつ、利害関係者を洗い出すようにしてください。
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