この記事は2022年4月22日に「ニッセイ基礎研究所」で公開された「消費者物価(全国2022年3月) ―― コアCPIは2022年4月以降、2%前後の伸びが続く見通し」を一部編集し、転載したものです。


消費者物価
(画像=PIXTA)

目次

  1. 1 ―― コアCPI上昇率は前月から0.2ポイント拡大
  2. 2 ―― 価格転嫁がさらに進む
  3. 3 ―― コアCPI上昇率は2022年4月に2%へ

1 ―― コアCPI上昇率は前月から0.2ポイント拡大

総務省が4月22日に公表した消費者物価指数によると、2022年3月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0.8%(2月:同0.6%)となり、上昇率は前月から0.2ポイント拡大した。事前の市場予想(QUICK集計:0.8%、当社予想も0.8%)通りの結果であった。

消費者物価(全国2022年3月)
(画像=ニッセイ基礎研究所)

原油高の影響でエネルギー価格の上昇率が高まったこと、食料品の伸びが一段と加速したことがコアCPIを押し上げた。

生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比▲0.7%(2月:同▲1.0%)、総合は前年比1.2%(2月:同0.9%)となった。

コアCPIの内訳をみると、ガソリン(2月:前年比22.2%→3月:同19.4%)、灯油(2月:前年比33.5%→3月:同30.6%)は伸びが鈍化したが、電気代(2月:前年比19.7%→3月:同21.6%)、ガス代(2月:前年比16.5%→3月:同18.1%)が前月から伸びを高めたため、エネルギー価格の上昇率は2月の前年比20.5%から同20.8%へと若干高まった。

消費者物価(全国2022年3月)
(画像=ニッセイ基礎研究所)

食料(生鮮食品を除く)は前年比2.0%(2月:同1.6%)と9ヵ月連続で上昇し、上昇率は前月から0.4ポイント拡大した。原材料価格の高騰を受けて、食用油(2月:前年比29.8%→3月:同34.7%)、マヨネーズ(2月:前年比13.1%→3月:同19.7%)の伸びが一段と加速したほか、菓子類(2月:前年比1.6%→3月:同2.0%)、調理食品(2月:前年比2.2%→3月:同2.3%)、飲料(2月:前年比2.1%→3月:同3.0%)なども前月から伸びを高めた。

コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが1.53%(2月:1.47%)、食料(生鮮食品を除く)が0.46%(2月:0.37%)、携帯電話通信料が▲1.48%(2月:同▲1.54%)、その他が0.29%(2月:0.30%)であった。

2 ―― 価格転嫁がさらに進む

消費者物価指数の調査対象522品目(生鮮食品を除く)を前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、3月の上昇品目数は320品目(2月は319品目)、下落品目数は146品目(2月は148品目)となり、上昇品目数が前月から増加した。上昇品目数の割合は61.3%(2月は61.1%)、下落品目数の割合は28.0%(2月は28.4%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は33.3%(2月は32.8%)であった。

食料(生鮮食品を除く)の上昇品目割合は2月の60.6%から64.0%へと高まった。原材料価格の高騰を販売価格に転嫁する動きはさらに広がっている。

消費者物価(全国2022年3月)
(画像=ニッセイ基礎研究所)

3 ―― コアCPI上昇率は2022年4月に2%へ

原油価格(ドバイ)は、1バレル=100ドル台で高止まりしているが、燃料油価格激変緩和措置(石油元売り会社への補助金)の影響で、エネルギー価格の前年比上昇率は3月をピークに徐々に鈍化することが見込まれる。

消費者物価(全国2022年3月)
(画像=ニッセイ基礎研究所)

一方、上昇ペースの一段の加速が見込まれるのは食料品(除く生鮮食品)である。食料品は2021年7月の前年比0.1%と上昇に転じた後、2022年3月には同2.0%まで上昇率が高まったが、川上段階の物価は、輸入物価が前年比で20%台半ば、食料品の国内企業物価が前年比で3%台後半の高い伸びとなっている。食料品(除く生鮮食品)の物価上昇率が2%を超えた2015年10~12月と比べると、川上段階(輸入物価、国内企業物価)の上昇率は現在が当時を大きく上回っている。

川上段階の物価上昇を消費者向けの販売価格に転嫁する動きがさらに広がることにより、食料品(生鮮食品を除く)の物価上昇率は夏場には3%程度まで加速する可能性が高い。

4月には、エネルギー価格の上昇幅が若干縮小する一方、携帯電話通信料の下落率が大きく縮小し、コアCPI上昇率への寄与度が前年比▲1.48%から同▲0.4%まで縮小することが見込まれる。さらに、食料品の伸びがさらに高まること、年度替わりの値上げが一定程度行われることから、4月のコアCPI上昇率は2%程度まで高まる可能性が高い。その後、エネルギー価格の上昇ペースは鈍化傾向が続くものの、円安による物価上昇圧力が高まる中で、食料品に加え、日用品や衣料品などでも価格転嫁の動きが広がることから、2022年中は2%前後の推移が続くことが予想される。


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斎藤太郎(さいとう たろう)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 経済調査部長

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