「スーパーシティ構想」とは、地域が抱える医療や介護、教育、インフラ整備といった問題を、AIやビッグデータ、ICTといった最新の技術で解決し、新たなサービスを提供することで未来の都市づくりを目指す計画だ。オープンラボは、スーパーシティの実現に必要な技術やノウハウを広く発信する場として、設けられたものである。スーパーシティの推進により、私たちの生活にどのような変化がもたらされるのか。オープンラボの詳細や現状などを確認しながら考えていこう。

目次

  1. 1. スーパーシティ構想におけるオープンラボとは
  2. 2. 実際のオープンラボのカテゴライズと企業メンバー(登録団体)
  3. 3. スーパーシティ・オープンラボと自治体のマッチング
  4. 4. 事業者、自治体にとってのスーパーシティ・オープンラボのメリット・デメリット
  5. まとめ:地域と企業をマッチングさせ、スーパーシティ実現を加速させるオープンラボ

1. スーパーシティ構想におけるオープンラボとは

【企業マップ解説】スーパーシティ構想におけるオープンラボとは?
(画像=PIXTA)

スーパーシティ構想とは、地域が抱える医療や介護、教育、インフラ整備といった問題を、AIやビッグデータ、ICTなどの最新技術で解決し、新たなサービスを提供することで、未来の都市づくりを目指す計画だ。社会のありようから変えてしまう「まるごと未来都市」を創造し、住民が安全で便利な生活を送れる都市の実現を目指す。

日本に先駆け世界では、最新テクノロジーを活用したスマートシティの整備を行ってきた。たとえば、ICT(情報通信技術)によるインフラの整備や、公共交通機関への自動運転の導入、無人店舗の拡大などだ。

▽内閣府国家戦略特区によるスーパーシティ構想のイメージ

日本政府は、スマートシティに必要な要素技術は国内にも十分揃っているとし、町全体を包括的に未来化させるスーパーシティの構想を打ち出した。オープンラボは、スーパーシティ構想の施策の1つだ。ここではまず、オープンラボの基本事項と役割について確認しよう。

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1.1. オープンラボとは

オープンラボとは、スーパーシティの実現に必要な技術・ノウハウ・その他知見を持つ事業者等の間で、情報を幅広く収集・共有するためのコミュニティだ。正式には「スーパーシティ・オープンラボ」と記載される。企業や団体が蓄積してきた知見を、スーパーシティの実現に取り組む地域の関係者に対し、積極的に提供することを目的としている。

▽スーパーシティ・オープンラボの概要

オープンラボへの参加を希望する企業はまず、申込書を内閣府国家戦略特区のホームページから取得し電子メールで事務局に提出しよう。参加を認められると、オープンラボの一員として活動ができるようになる。

【参考】内閣府戦略特区 スーパーシティ・オープンラボへの参加申し込みページ

1.2. スーパーシティ・オープンラボの活動内容

オープンラボの主な活動内容は、以下の4つである。

▽オープンラボの主な活動内容
1: SNSを通じた情報の発信
2:ホームページを通じた情報の発信
3:交流会等の実施
4:その他、スーパーシティの実現に資する活動

オープンラボでは、スーパーシティへの活用が期待できる技術などの情報の発信を主な活動内容とする。特に、FacebookなどのSNSやホームページなどインターネットを利用した情報発信が積極的に行われており、参加団体の所在地に関わらず広く情報を公開することが可能だ。

また、問題解決を望む自治体も、全国どこからでも情報を得られるようになっている。

【参考】内閣府国家戦略特区 | スーパーシティ・オープンラボについて
【参考】スーパーシティ・オープンラボのFacebook

2. 実際のオープンラボのカテゴライズと企業メンバー(登録団体)

▽スーパーシティ・オープンラボ登録企業マップ(2021年7月末時点)

オープンラボへの登録団体数は、2021年7月31日時点で260を超えた。2020年6月時点では124だったため、1年で2倍以上に増えたことになる。東証第一部上場企業も多く名を連ねており、今後も登録団体数の増加が期待される。

オープンラボの企業マップでは、それぞれの登録団体が持つ技術の内容などによって、活動内容がカテゴライズされている。

▽スーパーシティ・オープンラボの活動内容 7つのカテゴリ
・全体設計
・総合取組
・サービスアプリケーション
・都市OS
・通信網
・インフラ
・センサー

ここでは各区分の詳細と、参加する代表的な企業を解説してく。

2.1. スーパーシティ・オープンラボのカテゴリ1:全体設計

スーパーシティ・オープンラボにおける「全体設計」カテゴリには、スーパーシティを実現するための全体的な枠組みや仕組みに関する知見を持つ団体が参加している。たとえば損害保険会社の東京海上日動は、全国各地に保有する営業店などのネットワークを活かし、地方創世の取り組みを支援。安心安全な交通社会の実現や健康に暮らせる社会づくりなどに向けた、ソリューションの提案を行っている。

またNTTは、「DATA-SMART CITY SAPPORO」と銘打った「さっぽろまちづくりパートナー協定」を2015年9月に締結した。官民のデータを収集・かけ合わせることで新たな価値を創出し、商業・観光、スポーツ、交通、インフラメンテナンス、防災などの幅広い分野での問題解決を目指している。

▽さっぽろまちづくりパートナー協定の取り組みイメージ

2.2. スーパーシティ・オープンラボのカテゴリ2:総合取組

総合取組には、「まちづくり総合」として街づくり全体を担う団体が参加している。三井不動産株式会社は、駅を中心とするスマートコンパクトシティを、千葉県柏市柏の葉で展開。地域を駅前中核ゾーン、イノベーションキャンパスゾーン、大学共生ゾーン・その他、の3つに分類し、それぞれの地域に柔軟な役割分担を持たせることで、地域全体の価値の誕生と継続を目指した街づくりを行っている。

富士通株式会社は、インフラにIoT(Internet of Things)を活用することで、人・街・サービスがよりシームレスにつながる世界を目指している。その1つとして実現しているサービスが、静脈認証システムだ。これにより、手ぶらでのID(身分証)確認とキャッシュレス決済が可能になることから、安全で便利な地域システムの構築が期待される。

▽富士通の静脈認証システムによるナイトクラブでの入館イメージ

2.3. スーパーシティ・オープンラボのカテゴリ3:サービスアプリケーション

スーパーシティにおける具体的なサービスについては、以下の10の区分にカテゴライズされる。ここからは、それぞれのサービスの概要と、団体の取り組みについて見ていこう。

・サービスアプリケーション1:移動
移動カテゴリでは、自動車や地方都市交通などに関するソリューションの情報を発信している。たとえば、自動運転システムの開発、導入などだ。これにより、高齢者が多い地域や人口が減少している地域でも、人々の安全な移動手段を確保することができる。

株式会社ティアフォーは、自動運転システムである「Autoware」の開発や、自動運転EVを提供。公道を含めた多数の実証実験を行っており、自動運転社会を導入したスーパーシティの実現を目指している。

株式会社マクニカは、日本電気株式会社(NEC)、凸版印刷株式会社、株式会社コトバデザインと共同で、奈良県の平城宮跡歴史公園にて、テクノロジーを活用した新しい観光体験の実証実験を行った。その1つとして、ローカル5GとAIコンダクターを活用した、自動運転低速EVカートによる移動の安全性の確認を行っている。

▽ローカル5GとAIコンダクターを活用した歴史文化体験、移動体験の実証実験のイメージ

・サービスアプリケーション2:物流
物流カテゴリでは、配送サービスの効率化やコスト削減などを目指し、無人化やシステム化に取り組む団体が参加している。ネット通販の利用が拡大する中で、物流の整備は急務とされる。居住地域に関わらず、誰でもスムーズに品物のやり取りができる物流の確立は、スーパーシティでも重要な課題となるだろう。

株式会社ACSLは、ANAホールディングス株式会社および株式会社セブン-イレブン・ジャパンと共同で、ドローン配送サービスの実証実験を行っている。なお、ドローンの飛行に必要なネットワークは株式会社NTTドコモが提供する。

▽ACSL、ANAホールディングス、セブン―イレブン・ジャパンによるドローン配送サービスの実証実験イメージ

・サービスアプリケーション3:支払い・金融
支払・金融カテゴリには、安全なキャッシュレス決済プラットフォームの整備や、デジタル通貨の導入などを進める団体が参加している。キャッシュレスの広がりは、生活者と加盟店の両方にコストの削減と効率化をもたらすため、今後さらに広がると考えられる。

株式会社エムティーアイは、住民と企業、自治体をつなぐローカルキャッシュレスのプラットフォームの構築に取り組んでいる。東芝テック株式会社は、電子レシートのサービスを提供。電子レシートは資源の削減につながるだけでなく、スマホ上で家計やクーポンなどの管理ができるようになるといった利便性の向上も期待される。

▽東芝テックによる電子レシートサービス「スマートレシート」イメージ

・サービスアプリケーション4:行政
行政のカテゴリには、最新テクノロジーの活用によるコストの削減や行政手続きの簡素化などを目指す団体が参加している。

山形県では、日本電気株式会社(NEC)の顔認証システムを活用した児童館を実現。顔認証を利用することで、管理・運用コストが削減されただけでなく、利用者の利便性も向上した。

▽山形県の児童館にて採用されたNECの顔認証システムのイメージ

また、株式会社アクトは、インターネット投票の導入に向けた取り組みを行っている。現在の公職選挙法ではインターネット投票は認められていないが、今後導入された場合には、投開票事務の効率化や投票率の向上などが期待される。

・サービスアプリケーション5:医療・介護
医療および介護のカテゴリでは、オンライン診療・オンライン処方箋ネット受付の拡大や、医療事務の効率化などを進める団体が参加している。

ジェイフロンティア株式会社は、AIによる医療機関と患者のマッチングからオンライン診療、処方箋薬の即日配達までを一元化する、プラットフォームの提供を行っている。また、株式会社テクノシステムズでは、ウェアラブル端末から取得するバイタル値、透析装置の運行状況などをリアルタイムで送信する「ニプロハートライン」を提供。医師不足地域での医療不足の解消の他、乳幼児突然死症候群や高齢者孤独死防止への活用も期待されている。

▽ジェイフロンティアが提供するメディカルプラットフォームのイメージ

ジェイフロンティア_メディカルプラットフォーム
画像引用:ジェイフロンティア SOKUYAKU

・サービスアプリケーション6:教育
教育のカテゴリでは、地域による教育格差の是正と、効果的な教育の創出、事務の効率化による教育者の負担軽減などに取り組む団体が参加している。

リコージャパンでは遠隔授業ソリューションの提供により、離島や小規模学校の教育の充実に貢献。その他シスコシステムズ合同会社では、遠隔授業や学生間交流、教員同士のコミュニティなどを実現するデジタルラーニングプラットフォーム「シスコデジタルスクールネットワーク」を、アジア太平洋地域で展開している。

▽シスコデジタルスクールネットワークのプログラムイメージ

・サービスアプリケーション7:エネルギー・水・環境・ゴミ
エネルギー・水・環境・ゴミのカテゴリには、再生可能エネルギーやリサイクルシステムが導入された街づくりを行う団体が参加している。

京セラ株式会社は、クリーンエネルギーのパイオニアとして太陽電池の開発と供給を続けてきた。近年は、太陽電池による発電システムに、蓄電技術とIT技術を組み合わせたVPP(バーチャルパワープラント)による再生可能エネルギーの導入を目指している。また富士電機株式会社は、地熱バイナリーやメガソーラーによりクリーンエネルギーを発電。併せて、IT技術の活用による工場や店舗の自動化による利用電力の削減にも取り組むことで、エネルギー問題の解決を目指している。

▽京セラによるVPP(バーチャルパワープラント)のイメージ

・サービスアプリケーション8:防災・防犯
防災・防犯カテゴリには、AIや最新技術を活用することでより精度の高い防災や防犯の実現を目指す団体が参加している。

日東工業株式会社では、最新技術を活用した感電ブレーカーや放電検出ユニットの設置を進めることで、電気火災の防止に努めてきた。特に感電ブレーカーは、木材が多く使用された文化財で重点的に設置されるなど、普及が進んでいる。

ノキアソリューションズ&ネットワークス合同会社は、仙台市と共同でドローンによる津波避難広報の飛行実証実験を行った。実験結果を検証することでより効果的な避難計画の策定や、2次災害の防止効果が期待されている。

▽ノキアソリューションズ&ネットワークスと仙台市による津波避難広報の飛行実証実験

・サービスアプリケーション9:観光
観光カテゴリには、ITを活用した新たな観光の創生や観光地における人流の管理などに取り組む団体が参加する。

KDDI株式会社と御殿場市は2019年、富士登山をより安全で快適なものにするため、登山情報や天候、駐車場の混雑状況をスマホで確認できるサービス「ミエルフジトザン」を提供。また、山小屋でのau PAYでの支払いサービスも提供した。

富士通株式会社は北海道内の複数の観光協会や企業と共同で、Wi-Fiパケットセンサーを活用した人流の可視化・分析をする実証実験を2019年~2020年にかけて行った。この実験により、観光客の足取りの分析が可能となり、新たな観光やビジネスの創出に役立てられた。

▽KDDIが提供したスマホサービス「ミエルフジトザン」のイメージ

・サービスアプリケーション10:その他
オープンラボでは、その他さまざまな事業で活用できるIT技術やシステムの情報提供が行われている。たとえばNTTドコモは、牛の体温を監視することによって出産の兆候などをスマートフォンで管理できるシステムを開発。畜産業の抱える人材不足といった問題解決に努めている。またアットホーム株式会社では、内見から申込、契約までネット上で完結できるサービス「スマートシリーズ」を提供しており、手間や負担を抑えた引越を実現している。

▽NTTドコモによる牛の飼育管理ソリューション「Farmnote Color」イメージ

2.4. スーパーシティ・オープンラボのカテゴリ4:都市OS

スーパーシティ・オープンラボの4つめのカテゴリとして「都市OS」(オペレーティングシステム)が挙げられている。スーパーシティを運営していくための基盤となるシステムを担当するものだ。これまでにサービスアプリケーションとして解説してきた個別の技術を集めただけでは、それぞれがどれだけ素晴らしい内容であっても、全体として大きな成果を上げるには不足もある。より良いサービスやソリューションの提供を目指すなら、技術や情報が一元化されるのが望まく、それを実現するのが、都市OSなのである。

オープンラボでは、世界でのスマートシティ展開の実績を多く持つシスコシステムズ合同会社を筆頭に、日立やNECといった企業が参加。2020年には、トヨタ自動車とNTTが業務資本提携を行い、都市OS事業へ参入することを発表している。

▽トヨタ自動車とNTTによるスマートシティプラットフォームの概要イメージ

2.5. スーパーシティ・オープンラボのカテゴリ5:通信網

スーパーシティ構想では、それぞれの技術をつなぐ通信網の整備が不可欠だ。より強固な通信網を確立するために、NTTドコモなどの通信事業者は5G(第5世代移動通信システム)の設置を進め、地域創生に向けた実証実験を行っている。

▽NTTドコモの5Gを活用した遠隔診療実証試験のイメージ

2.6. スーパーシティ・オープンラボのカテゴリ6:インフラ

スーパーシティを実現するには、電気の送電・蓄電方法の変更や金融のデジタル化、公共交通機関への自動運転の導入など、既存のインフラを大きく変える必要がある。オープンラボの6つめのカテゴリとして「インフラ」が挙げられている。

NPO法人 電線のない街づくり支援ネットワークは、電線の地中化による安心・安全な街づくりを推進。 IHI運搬機械株式会社は駐車場をインフラの一部と考えており、防災施設としての活用を推進。その他、太陽光パネル・蓄電池・パワーコンディショナーを1つのユニットとし駐車場に併設する、再生可能エネルギーインフラパッケージの開発も行っている。

▽IHI運搬機械による駐車スペースを社会インフラ化するスマートシティ概念図

2.7. スーパーシティ・オープンラボのカテゴリ7:センサー

スーパーシティを実現するには、ヒトやモノの動きをデジタルで把握するためのセンサーが必要だ。オープンラボでは「センサー」を7つ目のカテゴリとして設定している。

日立は高感度・低電力センサーの活用を進めており、第一弾として水道管の漏水エリアを高精度に特定するシステムを開発。漏水による断水や道路の陥没といった事故を防ぎ、安全な都市づくりを目指す。また、凸版印刷株式会社は、通信規格の1つであるZETAと人感センサー・開閉センサーなどを組み合わせて医療施設に設置することで、遠隔での利用状況の確認を可能にするサービスを提供している。

▽凸版印刷による医療施設向け見守りサービスのイメージ

3. スーパーシティ・オープンラボと自治体のマッチング

▽スーパーシティ・オープンラボを通じた自治体とのマッチングイメージ

オープンラボでのマッチング方法は大きく分けて2つある。1つは、広く公開されるスーパーシティ・オープンラボのFacebookへの投稿だ。取り組みや技術内容や実証実験結果、イベントの告知などを掲載し、地方自治体からのアプローチを待つ。

もう1つは、非公開のFacebookスーパーシティアイデア公募自治体を活用する方法だ。こちらでは、より詳しい資料を発信することで、具体的なサービス内容の発信とマッチングを目指した活動ができる。

4. 事業者、自治体にとってのスーパーシティ・オープンラボのメリット・デメリット

オープンラボは、最新技術を活用した新たな事業やソリューションの開発を目指す企業に、広く開かれたシステムだ。では、オープンラボを活用した企業や自治体には、どのようなメリットおよびデメリットがあるのだろうか。整理してみる。

4.1. スーパーシティ・オープンラボの事業者、自治体のメリット

企業がオープンラボに参加する最大のメリットは、知名度のアップだろう。政府が作成する国家戦略特区ホームページに企業名が出たり、企業マップに掲載されたりすることで、その企業を知らない人や自治体担当者に名前を売るチャンスとなる。

また、SNSに掲載されることによる広告宣伝効果も大きい。企業が売り出したいと考える技術を発信できるだけでなく、ソリューションを求めている人の目に事業内容が留まる可能性が高いのも、オープンラボを活用するポイントだ。

オープンラボが地域にもたらすメリットは、課題解決策が見つけやすくなる点だ。自治体が独自に解決策を持つ企業を探すには、大きな手間と時間がかかる。オープンラボを利用すれば、求めている技術を持つ企業をピンポイントで見つけられる可能性も十分あるだろう。

4.2. スーパーシティ・オープンラボの事業者、自治体のデメリット

オープンラボを活用するデメリットは、活動にいくつかの規定があることだ。たとえば、遵守する規定の1つに、金銭の授受を伴う個別の営業活動は行ってはならないというものがある。つまりオープンラボを利用した地方自治体とのマッチングは、原則として事務局を通して行わねばならず、金銭の授受が発生する独自の営業活動は禁止されている。

【参考】内閣府 国家戦略特区 | 「スーパーシティ・オープンラボ」規約(PDF)

その他、事務局において不適切と認められる発信があった場合は、事務局の要請に応じ必要な削
除または訂正が行われることも注意点として知っておこう。

まとめ:地域と企業をマッチングさせ、スーパーシティ実現を加速させるオープンラボ

スーパーシティ構想は、AIやビッグデータ、そして5Gをはじめとした最新のテクノロジーを活用したインフラ整備やサービスの提供を行うことで、未来の都市づくりを目指す計画だ。オープンラボは、その実現に向けたノウハウや知見を持つ企業が情報の共有や公開を行うコミュニティである。

オープンラボの目的は、ノウハウを持つ企業と最新技術による問題解決を求める地域とのマッチングだ。事業パートナーをスムーズに見つけられるため、企業にとっても地方自治体にとっても魅力的なシステムだといえるだろう。

オープンラボには、NTTやトヨタ、三井不動産、日立といった大企業が多く名を連ねる。また、スーパーシティの実現に向けた実証実験をすでに行っている企業も多い。政府は2030年までに未来都市が実現するとの考えを示しており、今後10年の間にどのような画期的な技術やソリューションが誕生するのかに注目していきたい。