本記事は、松村雄太氏の著書『図解ポケット デジタル資産投資 NFTがよくわかる本』(秀和システム)の中から一部を抜粋・編集しています

NFT×アート

アート
(画像=GuGGGar/stock.adobe.com)

まずはアート業界でのNFTの活用について解説します。アートの世界ではすでに多くの試みが行われています。

NFTとアート

ビットコインなどの暗号資産が有名になったのは、ブロックチェーン自体の素晴らしさを大衆が理解したというよりも「ビットコインに投資すれば儲かる」ということが広く知られたからでした。いつの時代も、儲け話には注目が集まりますよね? 今までのところ、NFTも暗号資産と同じような道を辿っています。ブロックチェーンやNFTについてよくわからなくても、NFTアートが超高額で落札されたというニュースを見て、NFTに興味が湧いた人も多いのではないでしょうか?

偽者と本物

実際、NFTとアートはかなり相性が良いです。アートはその見た目よりも本物かどうかで価値が大きく変わるものです。例えば、ピカソが本当に描いた絵と、そっくりの偽物があるとします。多くの人はピカソが描いた本物と偽物を区別できないでしょうし、偽物を本物と信じきっていれば、偽物を所有していても本物を所有している時と同じ満足感を得られるでしょう。しかし、本物そっくりでも偽物は、金銭的価値は低いです。そのため、アートの世界では鑑定書が重要になりますが、その鑑定書も偽装される可能性があります。しかし、アートをNFTにすれば、そのNFTアートが本物であると証明できます。また、偽装されない鑑定書も発行できます。

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(画像=『図解ポケット デジタル資産投資 NFTがよくわかる本』より)

NFTアートの広がる可能性

ブロックチェーンにより、アーティストが真っ当な評価を受けやすい時代がやってきました。

アーティストへの正しい評価と金銭的リターン

アートのコレクターや投資家にとって、本物であるという安心感を持って、アートを購入・所有することができるのは素晴らしいことです。それと同時に、ブロックチェーンがアーティストにもたらす価値は大きいです。ブロックチェーンによって本物であると保証し、新たな価値を付与することで、今まで素晴らしいアートを創り出してきたアーティストが正しい評価を獲得し、真っ当な金銭的リターンを得ることにつながるのです。

アーティストへの還元方法

従来は一般的に、最初の所有者に販売した時しかアーティストに金銭的リターンはありませんでした。しかし、NFTの場合は、その最初の所有者Aが次の所有者Bに転売するときや、所有者Bが所有者Cに転売するときにも、その販売価格の一部をアーティストに還元できる仕組みを構築することもできます。これはブロックチェーン上で管理されるため、人が管理する必要はありません。そのため不正も生まれません。こういった点で、NFTはアートと非常に相性が良く、アートの可能性をさらに広げる革命的な仕組みと言えるでしょう!

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(画像=『図解ポケット デジタル資産投資 NFTがよくわかる本』より)

NFT×音楽

今まで過小評価を受けてきたミュージシャンも、NFTによって正当な評価を受ける機会が増えてきました。

著名でないミュージシャンの収入は限られていた

現代では、多くのミュージシャンがSpotifyなどの音楽配信サービスで音楽を配信し、収入を得ています。しかし、ミュージシャンへの支払い単価は大きいとはいえません。

利用される楽曲の多くは上位1%の人気アーティストのもので、著名でない限り、充分に稼げるチャンスは少ないです。年間100万回以上再生される中堅レベルのクリエイターでも、月々の収入は数万円にしかならないとされています。

NFTミュージックが音楽業界を変革

ところが、音楽をNFTにしたNFTミュージックは、資産性の高さも期待されることから、多額の金額で買い取られているケースもあります。加えて、レコードレーベルではなく、ファンに創作資金を出してもらうことも比較的容易になります。その結果、創造の自由も楽曲の権利もミュージシャンの手から離れることなく、収益性、創作の自由、ファンとのつながりを同時に、より良い形で維持できる可能性があります。さらに、楽曲の所有権が売買されるたびに、その楽曲を作ったミュージシャンに、販売価格の一部を還元できる仕組みを構築することもできます。

図解ポケット デジタル資産投資 NFTがよくわかる本
松村雄太(まつむら・ゆうた)
埼玉県立浦和高校、早稲田大学商学部卒。新卒で外資系IT企業に入社し、1年間のインド勤務を経験。その後、外資系コンサルティングファームを経て、メディア系ベンチャー企業にて、国内大手企業の顧客向けにスタートアップやテクノロジートレンドのリサーチを実施。

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