若い民主党支持者の9割以上が「別の大統領候補を選ぶ」
もう1つ、バイデン大統領の先行きに暗影を落としているのが「年齢の壁」だ。民主党支持者がバイデン大統領に代わる新たな候補者を求めている、最大の理由となっている。
同大統領は現在79歳と、すでに米歴代大統領の中で最年長だ。かつて「最年長大統領」として選出されたロナルド・レーガン氏(任期:1981~89年)は就任当時69歳、ドナルド・トランプ氏(2017~21年)は70歳だった。
特に若年層間で大統領交代を望む声が高まっており、ニューヨークタイムズ紙とシエナカレッジの世論調査では30歳以下の民主党支持者の94%が、全体の64%が「(次期大統領選では)別の大統領候補を選ぶ」と回答した。
全盛期の鋭敏失った「遅すぎた大統領」
「(バイデン大統領は)あまりにも疲弊していて集中力に欠けているように見えた」と前回の選挙戦を振り返るのは、ニューヨークタイムズ紙のコラムニスト、ミシェル・ゴールドバーグ氏だ。米国を含む多数の問題を抱えている国は「自信を刺激するのに十分な能力を持ったリーダーを必要としている」と指摘する。
誤解してはならないのは、「高齢だから指導者にはなれない」という意味ではないことだ。
この点については英歴史家のティム・スタンレー氏がテレグラフ紙で、「バイデン大統領はかつて恐れられた才能や精力を(大統領になる前に)使い果たしてしまった」と解説している。
スタンレー氏は、ローマ教皇フランシスコの名を挙げ、バイデン大統領より6つ年上であるにもかかわらず今尚絶大な支持を誇っていると言及した。要するに、バイデン大統領は全盛期の鋭敏さやカリスマ性を失ってしまった「遅すぎた大統領」という見方が広がっているということだ。
懸念される中間選挙の行方
支持率の低下に、党内からは深い懸念の声が上がっている。中間選挙に向けて強力なコテ入れが必要となるのは間違いない。
11月の中間選挙では、連邦議会上院議席の3分の1に値する34席、下院の全席435席が改選される。しかし、バイデン大統領の支持率と共に、民主党に対する国民の期待感もピーク時(2021年5月、63.0%)の半分以下(24.0%)へ低下していることから、苦戦が予想される。
現在、民主党は下院の過半数(221席)を保持しているが、上院は二分している。記憶に新しいところでは、民主党はオバマ政権下で、共和党はトランプ政権下で下院議席を失った。