株式会社ZUUは2022年8月30日、Webセミナー「元スイス系プライベートバンカーが教える 富裕層が実践するヘッジファンド投資」を開催した。講師は元クレディ・スイスのプライベートバンカーであり、現在は株式会社ウェルス・パートナー代表取締役を務める世古口俊介氏。ヘッジファンドというと「超富裕層でなければ投資できない」というイメージがあるかもしれない。しかし、現在は小口化が進んで、10万米ドルから投資できるようになっており、資産1〜2億円くらいの富裕層でも十分に手が届く。もちろん、超富裕層にとっても重要な分散投資先になるだろう。本記事では上記セミナーの内容をコンパクトにまとめてお届けする。
ヘッジファンドを資産配分に組み入れる意義
ヘッジファンドとは、さまざまな取引手法を駆使して、絶対収益(市場が上がっても下がっても利益を追求すること)を目的としたファンドのことだ。ヘッジファンドというと「ハイリスク・ハイリターン」のイメージがあるかもしれないが、ヘッジ(hedge)という言葉がついているように、資産運用のリスクを低下させることがその役割だ。
ヘッジファンドを資産配分に組み入れるメリットとしては、以下のようなことが挙げられる。
- 絶対収益主義の恩恵
- 安定したリスク・リターンが期待できること
- 株式・債券との相関性が低く、分散効果が期待できること
- 世界のエリート運用者に資産運用を委託できること
それぞれ確認していこう。
(1)絶対収益主義の恩恵
ヘッジファンドを一言で表現すると「富裕層の“他人より、よい運用成果を得たい”という欲望が具現化した資産」と言えるだろう。平均的な運用パフォーマンスでよいのであれば、インデックスファンドを保有すれば十分だ。しかし、あえてヘッジファンドを保有する大きな意義は「絶対収益主義」の恩恵を受けられることにある。
絶対収益は「必ず儲かる」という意味ではないが、ヘッジファンドであれば、インデックスがマイナス圏に大きく沈んでいる時もプラスのリターンを運んできてくれる可能性がある。なお、インデックスファンド、アクティブファンド、ヘッジファンドの違いを表にまとめたものが以下の画像だ。
(2)安定したリスク・リターンが期待できること
続いて安定したリスク・リターンが期待できることが挙げられる。もちろん、ヘッジファンドの種類によって運用成績は大きく異なるが、ヘッジファンド全体をみれば、安定したリスク・リターンを期待できる。
ヘッジファンドダイレクト社の各種インデックスの月次リターンを用いて、2000年~2020年7月の年率換算リターンをウェルス・パートナーが計算したところ、ヘッジファンドは世界株より低いリスクで、より高いリターンをあげている。
(3)株式・債券との相関性が低く、分散効果が期待できること
3点目として、株式や債券との相関性が低く、分散効果が期待できることが挙げられる。ヘッジファンドに投資するような人は高い確率で株式や債券といった伝統的資産をすでに保有しているはずだ。そこに、株式や債券との相関性が低いヘッジファンドを組み込むことで、さらなる分散効果が期待できる。
(4)世界のエリート運用者に資産運用を委託できること
4点目として、世界のエリートファンドマネージャーに資産運用を委託できることが挙げられる。あくまで一般論だが、日本の運用会社のファンドマネージャーは基本的に終身雇用で、運用で成果を上げられなかったからといってクビになることはない。その代わり、報酬の大部分は固定給であることが多い。
一方で主に米国のヘッジファンドマネージャーは、まさに「デッド or アライブ」の世界を生きている。成果が出なければ容赦なくクビになる。報酬は実績連動で、運用に成功すれば、自分自身も巨万の富を得ることができる。あえて言えば「サラリーマン」ではなく「職人」であり、むしろ「プロアスリート」に近い存在と言ってもいい。その多くは世界のトップ大学を卒業している。「どちらに預ければ資産が増える可能性が高いか」は自明だろう。
ヘッジファンドの投資戦略
それでは、ヘッジファンド投資にはどのような(投資)戦略があるのだろうか。今回は株式ロングショート、マクロ・CTA、アービトラージの3つを簡単に紹介しよう。この3つでヘッジファンドの70%以上を占めると言われている。
「株式ロングショート戦略」は、割安と評価される銘柄を買う(ロングする)一方で、割高と判断される銘柄を売り建てる(ショートする)投資手法だ。ヘッジファンドの代表的な運用手法であり、特に近年はロング比率を高めた「ロングバイアス型」が多い。
「マクロ・CTA戦略」は、幅広い金融商品に分散投資して利益を狙う投資手法だ。代表例は、金融工学や統計学をベースに金融市場のトレンドを解析し、相場が一方向に傾くような場面でより運用成績が上がる「トレンドフォロー型」だ。
「アービトラージ戦略」は、リスクを低くしながら利ざやを稼ぐ投資手法だ。具体的には、同一の価値を持つ商品の一時的な価格差(歪み)が生じた際に、割高な方を売り、割安な方を買う。その後、両者の価格差が縮小した時点で、それぞれの反対売買を行うことで利益を狙う。
世界株の2倍のリターンを稼ぐヘッジファンドも
それではヘッジファンドは具体的にどれくらいの運用パフォーマンスを出しているのだろうか。この部分が気になっている人も多いだろう。今回は、エアーズシー証券が実際に取り扱っているヘッジファンドの運用パフォーマンスを、ファンド名を伏せた形で紹介しよう。
「ファンド1」はアービトラージ戦略を採用するヘッジファンドだ。年率平均リターンは約7%。前述のようにアービトラージ戦略は「同一の価値を持つ商品の一時的な価格差を狙う手法」であるため、安定的なリターンが出やすいと言われている。実際に、「ファンド1」は2008年の運用開始からマイナスになった年が一度もない。
「ファンド2」はロングバイアスの株式ロングショート戦略のヘッジファンドだ。年率平均リターンは約16%であり、同期間の世界株の年率平均リターン(8〜9%ほど)を大きく上回っている。ロングバイアスがかかっているため、株式市場の動向に比較的リンクするが、より効率的にリターンをあげることができていると言えるだろう。
「ファンド3」はさまざまな戦略を組み入れたマルチストラテジー型であり、年率平均リターンは10%ほどだ。
「ファンド4〜6」はどれも株式ロングショート戦略のヘッジファンドで、特に「ファンド4」は米国のネット企業に特化、「ファンド5」は米国のヘルスケア企業に特化している。近年は業界特化やテーマ特化のヘッジファンドが存在感を増しているという。
上記6つのリスク・リターンを表にまとめたものが以下の画像だ。ヘッジファンドによってリスクの振れ幅には大きな違いがあるが、どれも世界株(MSCI World)を上回るリスク・リターンを実現している。
現在は小口化スキームが普及しており、10万米ドルから投資可能
どのようにヘッジファンドに投資すればよいのだろうか。すべての証券会社が取り扱っているわけではないが、上記のエアーズシー証券のように、少なからずヘッジファンドを取り扱っている証券会社が存在する。そのような証券会社経由で購入することが可能だ。最近では、ヘッジファンドの取り扱いを始めた大手証券会社もみられる。
ヘッジファンドへの投資というと、以前は億単位の資産が必要だったが、現在は小口化スキームが普及しており、10万米ドル(1ドル140円計算で約1,400万円)から投資可能だ(*)。10万米ドルは決して低い金額ではないが、資産1〜2億円くらいの富裕層であれば十分に手が届く水準だろう。そのような小口化スキームであっても、ファンド・オブ・ファンズ(FoF:複数の投資信託を組み入れる投資信託のこと)の仕組みを活用することで、多くの人が知っている海外の有名ヘッジファンドに投資することも可能だ。
*:他に販売手数料(数%)がかかります。
注意点もある。ヘッジファンドは情報が表に出にくく、信用に足るファンドであるかは、慎重な判断が必要だ。具体的には、
● 免許を保有しているか
● 信用補完の仕組みが整っているか
● 監査法人が監査をしているか
などは事前に確認したい。運用パフォーマンスが高すぎる場合も注意が必要だ。
最も重要なのは資産配分
ヘッジファンドは富裕層の資産運用を進化させる重要な選択肢の1つだ。ただ、当然ながら、ヘッジファンドだけに投資をしておけばよいというわけではない。
「資産運用のリターンの8割は資産配分で決まる」と言われている。株式や債券、不動産などに分散投資したうえで、さらにヘッジファンドへの投資も検討する、という順番が正解だろう。それを理解したうえで、ヘッジファンドを上手に活用すれば、あなたの資産運用の選択肢は大きく広がるはずだ。
多くのヘッジファンドは、ネット証券から商品を購入するようなかたちで利用することはできず、一定の資産やコネクションが必要になる。現状は、ヘッジファンドとの取引実績を持つIFAなどの専門家を頼るのが無難な方法となるだろう。
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