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11月5日、日本初となるヘルスケアJ-REIT『日本ヘルスケア投資法人』が上場する。有料老人ホームなどに投資するヘルスケアREITが上場するのは初めてとなる。

『日本ヘルスケア投資法人』は大和証券グループ本社の完全子会社である大和リアル・エステート・アセットマネジメント株式会社は、エイ・アイ・ピー・ジャパン合同会社とアドバイザリー契約を締結し、設立された。これが日本発のヘルスケアREITであり、エイ・アイ・ピー・ジャパン(AIPジャパン)は、ヘルスケア業界に特化した投資会社となった。

同社は同年3月に、運用資産8物件、不動産鑑定評価額約90億円で、私募での運用を開始した。そして、250億円まで資産を増加し、また、エイ・アイ・ピー・ジャパンが調達した資金で施設を作り、同法人に組み入れるなどの体制構築を検討していた。

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ヘルスケアJ-REITとは

まず、J-REITとは収益不動産を投資対象とした金融商品(不動産投資信託)のことで、このうち運用対象先を、高齢者住宅をはじめとしたヘルスケア関連施設に特化したものがヘルスケア J-REIT と呼ばれており、総資産の50%超がヘルスケア施設であるJ-REITのことである。ヘルスケアJ-REITは、投資法人がヘルスケア施設運営者(オペレータ)に建物を賃貸し、物件管理は物件管理業務受託会社が担う。そして、オペレータが入居者にサービスを提供し、入居者はオペレータに施設利用料または賃料を支払う仕組みになっている。
国土交通省が公表した「高齢者向け住宅等を対象とするヘルスケアJ-REITの活用に係るガイドライン」では、対象施設をサービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム、認知症高齢者グループホームとし、病院については今後検討される予定である。
ヘルスケア施設の事業特性を十分に理解している者を配置または関与させることが認可要件で、重要な使用人の配置、外部専門家からの助言、投資委員会などへの外部専門家の配置などのうちいずれかの方法をとる必要がある。ヘルスケアJ-REITのスキームにより、介護事業者は少ない資本で運営を始められるため、不足が叫ばれるへルスケア施設・高齢者施設増加の期待も高まるだろう。


メリットとデメリット

介護事業者などのオペレーターにとってのメリットは、施設が市場資金を調達でき、施設の所有リスクや借入金を負担しなくても済むことだ。また、証券化することにより信用を得ることができる。
デメリットについては、資産運用会社の手数料や投資家への配当金などJ-REITの関係者に支払う費用があるため、自己所有と比較して負担がかかる。また、施設の修繕や改築を自己所有のようには行うことができないことや、コベナンツ(特約)に経営指標の水準などが定められる可能性があり、経営上制約を受ける恐れがあることだ。
入居者にとってのメリットは、サービスレベルの維持を期待でき、上場されることで情報開示が進むことだ。それに対してデメリットは、オペレータのコスト増加が転化され、利用料が高いまたは高く改定されるおそれがあることだ。